オンラインのみでの実施も引き続き検討
IFA2020は完全事前登録制によるリアル開催に決定。9月3日から3日間
毎年9月にドイツ・ベルリンで開催されている世界最大のコンシューマーエレクトロニクスショー「IFA」。今年は新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて、当初の予定から形式を変え、事前登録者限定のイベントとして実施されると発表された。スケジュールも9月3日から5日までの3日間に変更となる。
IFAを主催するメッセ・ベルリンは5月19日にオンライン記者会見を開催し、今年のIFAの実施形態についてIFA統括本部長のイエンズ・ハイテッカー氏が説明した。
IFA 2020は当初、例年通り2日間のプレイベントを加えた計8日間にわたって、ベルリン市内のメッセ・ベルリン展示会場を舞台に催されるとアナウンスされていた。ところが全世界で未だに新型コロナウィルス感染症の影響が収束に向かう兆しが見えないことから、4月下旬にはベルリン市当局が2020年10月24日までに5,000人以上の参加者を含むすべてのイベントの開催を禁止する方針を示した。
これを受けてメッセ・ベルリンは、ドイツの公共保険機関と数ヶ月間にわたって密接に連携しながら、来場者の健康と安全を最優先に置き、IFAを当初の9月から開催時期を移すことなくバーチャルではないリアルイベントとして開催するためのコンセプトを立案した。ハイテッカー氏が「幾度となく熟慮を重ねてきた」と語るイベントの実施概要は、現時点で以下のように発表された。
■IFA 2020は期間短縮/4つのイベントに分散/1日1,000人までの事前登録制
IFA2020は9月3日から5日まで、通常より期間を短縮して開催される。そしていつもはメッセ・ベルリンと市内のイベント施設であるSTATION-Berlinをメイン会場に、ひとつの大きなイベントとして開催されるIFAを4つの独立したイベントとして会場を分けて、さらに各イベントに「1日・1,000人まで」の人数制限を設けて上限5,000人の目標来場者を分散させる。
4つに枝分けされるイベントは、衛生管理面において万全を期すことを優先して、おそらくはすべてメッセ・ベルリンの施設内で実施されるはずだが、現時点で詳細は明らかにされていない。今後も募集を続ける参加出展社の規模感を見ながら追加情報として発表されることになるだろう。
IFAの期間中に併催される4つのイベントは、それぞれハイテッカー氏が「IFAのコア」として掲げる4つの機能・役割に沿ってセグメント分けされる。そのひとつである「ブランドが最新製品を発表するための見本市・展示会」として開催されるのが「IFA Global Press Conference」だ。
IFA Global Press Conferenceはメッセ・ベルリンの会場内に設けられる2つのステージに舞台を限定して、キーパーソンによる基調講演とメーカーの新製品・技術の記者発表会が3日間にわたって実施される。初日の9月3日には米クアルコムのクリスチャーノ・アモン社長がキーノートスピーチに登壇することが決まった。
■ブース展示も一部実施予定。特別商談エリアも用意
このほかにも、IFA Global Press Conferenceでは数に制限を設ける形でいくつかのブースも出展される。メッセ・ベルリンのIFAグローバル・シニア・エグゼクティブ・マネージャーであるディリク・コスロフスキー氏は「ドイツの公共保険機関が示す安全確保のためのルールに従いながら、すべての来場者・出展社に安全なミーティングポイントを提供したい」と語った。
「エレクトロニクスを革新する技術のプラットフォーム」として、「IFA NEXT」と「SHIFT Mobility」をひとまとめにしたイベントも予定する。前者については2017年に始まり、近年のIFAを熱く盛り上げているスタートアップの祭典だ。後者にはコネクテッドカーやモビリティに関連する欧州のトレンドが集められる。
「生産・調達関連のソーシングショー」として、毎年規模を拡大し続けてきたIFA Global Marketsは今年も欧州とアジアを中心としたODM/OEM企業を集めて独立したイベントとして開催する。ハイテッカー氏は「疫病の影響により全世界で崩れてしまったエレクトロニクス産業のサプライチェーンを、いま急いで復旧する必要がある。IFA Global Marketsのような大規模なソーシングショーを求める強い声がある」として、当イベントを“4本柱のひとつ”にする理由を述べた。
そして「年末商戦に向けた最大・最良の商談機会」として機能してきたIFAの役割について、「規模の大小に関わらす不可欠」としたハイテッカー氏は、今年は「IFA Business Lounge」と名付けた特別エリアを作り、イベントに参加する出展者とトレードビジターが安全に商談を展開できるスペースとして活用する計画を説いた。
■一般来場者は参加不可。代わりにオンライン配信も実施予定
IFAはベルリン市民を中心に、ドイツや欧州各国から集まる一般来場者も参加できるエレクトロニクスのイベントとして長年愛されてきた。しかし今年はウィルス感染症の拡大を防止する必要があることから、一般来場者を迎えることができない。ハイテッカー氏は「私たちにとっても苦渋の決断だった。代わりに足を運んでいただいくジャーナリストの皆様に、イノベーションの力を全世界に向けて発信してもらいたい」と呼びかけた。
■出展社は既に募集開始。参加希望者の事前登録も近日スタート
IFAの参加希望者については、近日IFAの公式サイトから事前登録を受付ける。出展社については既に募集を開始している。ジャーナリストについては、毎年春にメッセ・ベルリンが世界各国から300人近くのジャーナリストを集めて開催しているIFA Global Press Conferenceの参加者を招待するほか、事前登録による募集も行う。参加募集については先述した4つの独立したイベントごとに行う予定だ。
ハイテッカー氏は「それぞれの事情により、今年のIFAに足を運ぶことが難しい方々のために、オンラインからIFAに参加できる仕組みも用意したい」と語っている。新型コロナウィルス感染症の影響については、いわゆる第2波以降の感染発生に引き続き警戒しなければならない。万一、集団感染が再度起こることがあった場合はオンラインのみで開催するオプションについても検討を続ける。
ハイテッカー氏は、1930年にアルバート・アインシュタインがIFAのオープニングキーノートのステージに立ち「技術革新が人と人を結びつけて国を豊かにする」と語ったエピソードについて触れながら、「2020年もIFAは力強く前進していきたい。成果を2021年につなげられるように、メッセ・ベルリンのIFAチームは一丸となってエレクトロニクス市場の復興に全力を尽くしたい」と締めくくった。
ウィルス感染症の影響を受けて、世界規模の展示会・イベントが春から夏にかけて開催中止を余儀なくされている。秋以降のイベント開催がどのような形で実現できるのか、今後メッセ・ベルリンの挑戦に関心の目が注がれることになりそうだ。
IFAを主催するメッセ・ベルリンは5月19日にオンライン記者会見を開催し、今年のIFAの実施形態についてIFA統括本部長のイエンズ・ハイテッカー氏が説明した。
IFA 2020は当初、例年通り2日間のプレイベントを加えた計8日間にわたって、ベルリン市内のメッセ・ベルリン展示会場を舞台に催されるとアナウンスされていた。ところが全世界で未だに新型コロナウィルス感染症の影響が収束に向かう兆しが見えないことから、4月下旬にはベルリン市当局が2020年10月24日までに5,000人以上の参加者を含むすべてのイベントの開催を禁止する方針を示した。
これを受けてメッセ・ベルリンは、ドイツの公共保険機関と数ヶ月間にわたって密接に連携しながら、来場者の健康と安全を最優先に置き、IFAを当初の9月から開催時期を移すことなくバーチャルではないリアルイベントとして開催するためのコンセプトを立案した。ハイテッカー氏が「幾度となく熟慮を重ねてきた」と語るイベントの実施概要は、現時点で以下のように発表された。
■IFA 2020は期間短縮/4つのイベントに分散/1日1,000人までの事前登録制
IFA2020は9月3日から5日まで、通常より期間を短縮して開催される。そしていつもはメッセ・ベルリンと市内のイベント施設であるSTATION-Berlinをメイン会場に、ひとつの大きなイベントとして開催されるIFAを4つの独立したイベントとして会場を分けて、さらに各イベントに「1日・1,000人まで」の人数制限を設けて上限5,000人の目標来場者を分散させる。
4つに枝分けされるイベントは、衛生管理面において万全を期すことを優先して、おそらくはすべてメッセ・ベルリンの施設内で実施されるはずだが、現時点で詳細は明らかにされていない。今後も募集を続ける参加出展社の規模感を見ながら追加情報として発表されることになるだろう。
IFAの期間中に併催される4つのイベントは、それぞれハイテッカー氏が「IFAのコア」として掲げる4つの機能・役割に沿ってセグメント分けされる。そのひとつである「ブランドが最新製品を発表するための見本市・展示会」として開催されるのが「IFA Global Press Conference」だ。
IFA Global Press Conferenceはメッセ・ベルリンの会場内に設けられる2つのステージに舞台を限定して、キーパーソンによる基調講演とメーカーの新製品・技術の記者発表会が3日間にわたって実施される。初日の9月3日には米クアルコムのクリスチャーノ・アモン社長がキーノートスピーチに登壇することが決まった。
■ブース展示も一部実施予定。特別商談エリアも用意
このほかにも、IFA Global Press Conferenceでは数に制限を設ける形でいくつかのブースも出展される。メッセ・ベルリンのIFAグローバル・シニア・エグゼクティブ・マネージャーであるディリク・コスロフスキー氏は「ドイツの公共保険機関が示す安全確保のためのルールに従いながら、すべての来場者・出展社に安全なミーティングポイントを提供したい」と語った。
「エレクトロニクスを革新する技術のプラットフォーム」として、「IFA NEXT」と「SHIFT Mobility」をひとまとめにしたイベントも予定する。前者については2017年に始まり、近年のIFAを熱く盛り上げているスタートアップの祭典だ。後者にはコネクテッドカーやモビリティに関連する欧州のトレンドが集められる。
「生産・調達関連のソーシングショー」として、毎年規模を拡大し続けてきたIFA Global Marketsは今年も欧州とアジアを中心としたODM/OEM企業を集めて独立したイベントとして開催する。ハイテッカー氏は「疫病の影響により全世界で崩れてしまったエレクトロニクス産業のサプライチェーンを、いま急いで復旧する必要がある。IFA Global Marketsのような大規模なソーシングショーを求める強い声がある」として、当イベントを“4本柱のひとつ”にする理由を述べた。
そして「年末商戦に向けた最大・最良の商談機会」として機能してきたIFAの役割について、「規模の大小に関わらす不可欠」としたハイテッカー氏は、今年は「IFA Business Lounge」と名付けた特別エリアを作り、イベントに参加する出展者とトレードビジターが安全に商談を展開できるスペースとして活用する計画を説いた。
■一般来場者は参加不可。代わりにオンライン配信も実施予定
IFAはベルリン市民を中心に、ドイツや欧州各国から集まる一般来場者も参加できるエレクトロニクスのイベントとして長年愛されてきた。しかし今年はウィルス感染症の拡大を防止する必要があることから、一般来場者を迎えることができない。ハイテッカー氏は「私たちにとっても苦渋の決断だった。代わりに足を運んでいただいくジャーナリストの皆様に、イノベーションの力を全世界に向けて発信してもらいたい」と呼びかけた。
■出展社は既に募集開始。参加希望者の事前登録も近日スタート
IFAの参加希望者については、近日IFAの公式サイトから事前登録を受付ける。出展社については既に募集を開始している。ジャーナリストについては、毎年春にメッセ・ベルリンが世界各国から300人近くのジャーナリストを集めて開催しているIFA Global Press Conferenceの参加者を招待するほか、事前登録による募集も行う。参加募集については先述した4つの独立したイベントごとに行う予定だ。
ハイテッカー氏は「それぞれの事情により、今年のIFAに足を運ぶことが難しい方々のために、オンラインからIFAに参加できる仕組みも用意したい」と語っている。新型コロナウィルス感染症の影響については、いわゆる第2波以降の感染発生に引き続き警戒しなければならない。万一、集団感染が再度起こることがあった場合はオンラインのみで開催するオプションについても検討を続ける。
ハイテッカー氏は、1930年にアルバート・アインシュタインがIFAのオープニングキーノートのステージに立ち「技術革新が人と人を結びつけて国を豊かにする」と語ったエピソードについて触れながら、「2020年もIFAは力強く前進していきたい。成果を2021年につなげられるように、メッセ・ベルリンのIFAチームは一丸となってエレクトロニクス市場の復興に全力を尽くしたい」と締めくくった。
ウィルス感染症の影響を受けて、世界規模の展示会・イベントが春から夏にかけて開催中止を余儀なくされている。秋以降のイベント開催がどのような形で実現できるのか、今後メッセ・ベルリンの挑戦に関心の目が注がれることになりそうだ。