環境保護も重視
Amazon、エッジAIで強化した新「Echo」シリーズ。画面が振り向く新「Echo Show 10」も
米Amazonは、現地時間9月24日にオンラインイベントを開催。スマートスピーカー「Echo」シリーズのラインナップ一新を発表し、デザインを変更したほか、エッジAIエンジンも搭載するなど進化を遂げている。
10インチのディスプレイを搭載する「Echo Show 10」は、ユーザーが呼びかけた方向へ自動でターンする「Smart Motion」など、注目機能を載せた大型リニューアルを行った。
以下に紹介する商品の多くは、日本のAmazonでも予約受付が始まっている。また、処理速度が速くなったFire TV Stickの新モデルや、米国ではすでに販売されていた車載用のEchoデバイス「Echo Auto」も日本で販売がはじまった。
■10インチのディスプレイを別筐体にした「Amazon Echo Show 10」
新しいAmazon Echo Show 10は、10インチのディスプレイと13MPのカメラをフロント側に配置。現行のEcho Show 8のように物理的な開閉操作ができるカメラカバーも採用した。
カラーはチャコールとグレイシャーホワイトの2色。米国では249.99ドルで発売を予定する。日本では年内の出荷開始が予定されており、価格は29,980円(税込)。
静音設計のブラシレスモーターを載せて、ユーザーの音声コマンドが聞こえた方向に、ディスプレイごと振り向くオートターン機能のSmart Motionを搭載する。モバイルのAlexaアプリからカメラの向きを変えて室内の様子を見守ることもできる。カメラはデジタルズームとオートフレーミングに対応する。
Alexa標準のビデオコールが1対1の通話だけでなく複数人数によるグループ通話にも対応した。加えてAmazonのオンライン会議・チャットツール「Amazon Chime」やZoomも利用可能になる。日本ではまだ利用できないが、Skypeによる音声・ビデオ通話にも対応する。
動画視聴機能についてはAmazonプライム・ビデオのほか、海外ではスキルを追加することによりAlexaによる音声操作からHuluを起動して視聴できる。さらにNetflixの視聴も新たに可能となる。
ディスプレイと完全に筐体を分けた円筒形の本体には1基のウーファーと2基のトゥイーターによる2.1chオーディオシステムを内蔵。迫力あるサウンドが楽しめる。設置した部屋の音響特性を自動解析して、サウンドの聴こえ方をベストコンディションに合わせる「Adaptive Sound」機能も備える。
■球体デザインになった「Amazon Echo」。音質もグレードアップ
スマートスピーカーのAmazon Echoシリーズはデザインが一新される。“スフィア”の愛称で知られる米シアトルのAmazon本社ビルの形にもよく似た球体として、外装には複数カラーバリエーションを揃えるファブリック素材をあしらう。話しかけると点灯するブルーのLEDは本体のボトム側に配置された。
ラインナップは下記の通り。米国ではオンライン予約販売を9月24日にスタートする。
・Amazon Echo/99.99ドル
・Amazon Echo Dot with Clock/59.99ドル
・Amazon Echo Dot/49.99ドル
日本でも9月25日から予約販売の受付が始まった。Amazon Echoは11,980円、Echo Dotは5,980円、Echo Dot with Clockは6,980円。価格はそれぞれ税込。
EchoとEcho Dotはチャコール/グレイシャーホワイト/トワイライトブルーの3色展開。10月22日から出荷が始まる。Amazon Echo Dot with Clockにはチャコールがない。出荷開始予定は11月5日。
上位モデルはEchoとして、従来のフラグシップであるEcho Plusのハイライトを統合した。3インチのウーファー1基と2つのトゥイーターを搭載する。Dolbyステレオ対応。
■Amazonが独自に開発したエッジAIエンジンを搭載
完全リニューアルを遂げたAmazon Echoシリーズの特徴については、米AmazonでAmazon EchoシリーズのVice Presidentを勤めるMiriam Daniel氏がオンライン発表会で詳細を説明した。
新しいAmazon Echoシリーズには、Amazonが独自に開発した第1世代の「AZ1 Neural Edge Processor」が搭載されている。ソフトウェアによる機械学習アルゴリズムをブラッシュアップし、新しいニューラル音声認識モデルを実装することにより、Alexaを音声で操作する際のレスポンスをミリセカンド単位で向上させたという。AZ1エンジンによるAI操作のレスポンス向上は米国から対応をスタートし、日本など諸外国にも徐々に提供を広げていく。
上位のEcho Show 10とEchoには、近距離無線Zigbeeの通信規格に対応する「Smart Home Hub」機能を内蔵する。
また昨年秋にAmazonが発表した、近距離無線を使った独自のIoTデバイス向けワイヤレスネットワーク「Amazon Sidewalk Bridge」にも、今回Bluetooth LEをベースとした技術を組み込む。
EchoシリーズがSidewalkのブリッジデバイスとして機能することで、BluetoothでつながったサードパーティのSidewalk対応IoTデバイスに対して、インターネット接続を必要とする機能やサービスが提供できるようになる。
新しいAmazon Echoシリーズはスマートスピーカー本体と、連携するAlexa対応のスマートホームデバイスが駆動する際に消費する電力消費をモニタリングし、無駄な消費をセーブするためのおすすめの使い方をレコメンドする機能も搭載される。
Amazon Echo Dotシリーズのスマートスピーカーは、内部の設計から外装のデザインまでゼロベースで見直しをかけた。伸びやかな中高域、パワフルな低音をコンパクトなサイズの筐体で鳴らしきるという。
また、Amazon Echo Dotをベースにパンダとタイガー、2種類のデザインをあしらった子ども向けの「Echo dot Kids Edition」もリニューアルする。価格は59.99ドル。
動物の鳴き声をテーマにした目覚ましアラーム、1,000作品を超えるディズニーやニコロデオン、ナショナルジオグラフィックのAmazon Audible Booksの読み聞かせオーディオブックが利用できる。ほかにも子どもが楽しめる歌にゲーム、親子で楽しめるコンテンツも充実させる。
「Alexa Voice Profiles for Kids」を搭載したことで、スマートスピーカーが子どもが話しかけていることを認識すると、子どもに話しかけるような口調で応答を返すという新機能も備える。
Daniel氏に続いてAlexaのAIエンジンをブラッシュアップした点について、President & Head ScientistのRohit Prasad氏が解説を加えた。
AIエンジンの応答については、より自然な会話に近付けているという。
例えば音声操作を間違えて「アレクサ、ストップ」と声をかけて停止した場合、現在はAlexaアプリから音声フィードバックに対してAIが正しく応答ができたかをユーザーが2択で判定することにより評価を与え、アルゴリズムを“鍛える”ことができる。
新たに搭載された機械学習アルゴリズムでは、Alexa自身が操作の結果が間違っていた場合、自身で分からなかった箇所を判別して正しい意味、ユーザーの操作意図を聞き直してくる。Alexaが深層学習ベースによる複数の構文解析を行いながら、会話のどこに間違いがあったかを判別する自己学習処理機能が加わる。
Alexaに毎度ウェイクワードを発話しなくても連続する会話が続けられる「会話継続モード」は日本語対応も行われているが、英語のエンジンは応答の「話し方」について、例えば会話に“息継ぎ”のような人間的な間合いを入れたり、きびきびと話したりなど、自然な会話表現力がアップする。
イベントでは英語によるスピーチのデモンストレーションが紹介されたが、英語がネイティブ言語ではない筆者でも、確かにAlexaの発話が人間味を増していることがわかった。日本語による会話もリズムよくこなせるようになるのかとても興味深い。
■環境保護を重視したものづくりを徹底的に推進する
オンラインイベントの冒頭には米AmazonのDevice & Serivices部門のSenior Vice PresidentであるDave Limp氏が登壇した。
Limp氏は2019年秋に発表した「Climate Pledge」宣言に即したプロジェクトの進捗状況について触れながら、「2040年までに事業全体で二酸化炭素排出量ゼロを継続的に目指しており、取り組みは順調に進んでいる」とアピールした。
再生可能エネルギーの利用を推進するプロジェクトにも積極的な投資を行い、当初の予定を5年前倒しする形で、2025年までに100%再生可能エネルギーへの転換を図る。Limp氏は「宣言を果たすためデバイスとサービス領域も含めたアマゾンの事業全域に、引き続き積極的な投資を継続していく」とした。
デバイスの製品段階ではリサイクル可能なマテリアルを使い、パッケージの簡略化を引き続き推し進める。さらにAmazonは今年から独自の「The Climate Pledge Friendly」プログラムを立ち上げ、エコフレンドリーな製造工程やマテリアルの選定を追求した、持続可能性の高い製品をコンシューマーが選別しやすいよう、商品パッケージにロゴを付与していく。
EchoシリーズとFire TVシリーズのデバイスについては100%リサイクルされたファブリック素材と再生アルミニウム、再生プラスチックを使っている。今回発表する新製品はAmazon.comの「The Climate Pledge Friendly」バッジを獲得した製品になる。
またAmazonはメーカーが作った製品は主に家庭に設置された後から多くのエネルギーを消費することに着目し、「ユーザーの手に渡った製品の環境持続性についてもメーカーは責任を持つべきである」とLimp氏は語った。
そのうえで今回発表された新しいEchoシリーズ、Fire TVシリーズのデバイスに駆動効率を高める「ローパワーモード」を搭載することを明らかにした。今後は発売済みの製品についても、OTAファームウェアアップデートにより同じローパワーモードを追加する。
10インチのディスプレイを搭載する「Echo Show 10」は、ユーザーが呼びかけた方向へ自動でターンする「Smart Motion」など、注目機能を載せた大型リニューアルを行った。
以下に紹介する商品の多くは、日本のAmazonでも予約受付が始まっている。また、処理速度が速くなったFire TV Stickの新モデルや、米国ではすでに販売されていた車載用のEchoデバイス「Echo Auto」も日本で販売がはじまった。
■10インチのディスプレイを別筐体にした「Amazon Echo Show 10」
新しいAmazon Echo Show 10は、10インチのディスプレイと13MPのカメラをフロント側に配置。現行のEcho Show 8のように物理的な開閉操作ができるカメラカバーも採用した。
カラーはチャコールとグレイシャーホワイトの2色。米国では249.99ドルで発売を予定する。日本では年内の出荷開始が予定されており、価格は29,980円(税込)。
静音設計のブラシレスモーターを載せて、ユーザーの音声コマンドが聞こえた方向に、ディスプレイごと振り向くオートターン機能のSmart Motionを搭載する。モバイルのAlexaアプリからカメラの向きを変えて室内の様子を見守ることもできる。カメラはデジタルズームとオートフレーミングに対応する。
Alexa標準のビデオコールが1対1の通話だけでなく複数人数によるグループ通話にも対応した。加えてAmazonのオンライン会議・チャットツール「Amazon Chime」やZoomも利用可能になる。日本ではまだ利用できないが、Skypeによる音声・ビデオ通話にも対応する。
動画視聴機能についてはAmazonプライム・ビデオのほか、海外ではスキルを追加することによりAlexaによる音声操作からHuluを起動して視聴できる。さらにNetflixの視聴も新たに可能となる。
ディスプレイと完全に筐体を分けた円筒形の本体には1基のウーファーと2基のトゥイーターによる2.1chオーディオシステムを内蔵。迫力あるサウンドが楽しめる。設置した部屋の音響特性を自動解析して、サウンドの聴こえ方をベストコンディションに合わせる「Adaptive Sound」機能も備える。
■球体デザインになった「Amazon Echo」。音質もグレードアップ
スマートスピーカーのAmazon Echoシリーズはデザインが一新される。“スフィア”の愛称で知られる米シアトルのAmazon本社ビルの形にもよく似た球体として、外装には複数カラーバリエーションを揃えるファブリック素材をあしらう。話しかけると点灯するブルーのLEDは本体のボトム側に配置された。
ラインナップは下記の通り。米国ではオンライン予約販売を9月24日にスタートする。
・Amazon Echo/99.99ドル
・Amazon Echo Dot with Clock/59.99ドル
・Amazon Echo Dot/49.99ドル
日本でも9月25日から予約販売の受付が始まった。Amazon Echoは11,980円、Echo Dotは5,980円、Echo Dot with Clockは6,980円。価格はそれぞれ税込。
EchoとEcho Dotはチャコール/グレイシャーホワイト/トワイライトブルーの3色展開。10月22日から出荷が始まる。Amazon Echo Dot with Clockにはチャコールがない。出荷開始予定は11月5日。
上位モデルはEchoとして、従来のフラグシップであるEcho Plusのハイライトを統合した。3インチのウーファー1基と2つのトゥイーターを搭載する。Dolbyステレオ対応。
■Amazonが独自に開発したエッジAIエンジンを搭載
完全リニューアルを遂げたAmazon Echoシリーズの特徴については、米AmazonでAmazon EchoシリーズのVice Presidentを勤めるMiriam Daniel氏がオンライン発表会で詳細を説明した。
新しいAmazon Echoシリーズには、Amazonが独自に開発した第1世代の「AZ1 Neural Edge Processor」が搭載されている。ソフトウェアによる機械学習アルゴリズムをブラッシュアップし、新しいニューラル音声認識モデルを実装することにより、Alexaを音声で操作する際のレスポンスをミリセカンド単位で向上させたという。AZ1エンジンによるAI操作のレスポンス向上は米国から対応をスタートし、日本など諸外国にも徐々に提供を広げていく。
上位のEcho Show 10とEchoには、近距離無線Zigbeeの通信規格に対応する「Smart Home Hub」機能を内蔵する。
また昨年秋にAmazonが発表した、近距離無線を使った独自のIoTデバイス向けワイヤレスネットワーク「Amazon Sidewalk Bridge」にも、今回Bluetooth LEをベースとした技術を組み込む。
EchoシリーズがSidewalkのブリッジデバイスとして機能することで、BluetoothでつながったサードパーティのSidewalk対応IoTデバイスに対して、インターネット接続を必要とする機能やサービスが提供できるようになる。
新しいAmazon Echoシリーズはスマートスピーカー本体と、連携するAlexa対応のスマートホームデバイスが駆動する際に消費する電力消費をモニタリングし、無駄な消費をセーブするためのおすすめの使い方をレコメンドする機能も搭載される。
Amazon Echo Dotシリーズのスマートスピーカーは、内部の設計から外装のデザインまでゼロベースで見直しをかけた。伸びやかな中高域、パワフルな低音をコンパクトなサイズの筐体で鳴らしきるという。
また、Amazon Echo Dotをベースにパンダとタイガー、2種類のデザインをあしらった子ども向けの「Echo dot Kids Edition」もリニューアルする。価格は59.99ドル。
動物の鳴き声をテーマにした目覚ましアラーム、1,000作品を超えるディズニーやニコロデオン、ナショナルジオグラフィックのAmazon Audible Booksの読み聞かせオーディオブックが利用できる。ほかにも子どもが楽しめる歌にゲーム、親子で楽しめるコンテンツも充実させる。
「Alexa Voice Profiles for Kids」を搭載したことで、スマートスピーカーが子どもが話しかけていることを認識すると、子どもに話しかけるような口調で応答を返すという新機能も備える。
Daniel氏に続いてAlexaのAIエンジンをブラッシュアップした点について、President & Head ScientistのRohit Prasad氏が解説を加えた。
AIエンジンの応答については、より自然な会話に近付けているという。
例えば音声操作を間違えて「アレクサ、ストップ」と声をかけて停止した場合、現在はAlexaアプリから音声フィードバックに対してAIが正しく応答ができたかをユーザーが2択で判定することにより評価を与え、アルゴリズムを“鍛える”ことができる。
新たに搭載された機械学習アルゴリズムでは、Alexa自身が操作の結果が間違っていた場合、自身で分からなかった箇所を判別して正しい意味、ユーザーの操作意図を聞き直してくる。Alexaが深層学習ベースによる複数の構文解析を行いながら、会話のどこに間違いがあったかを判別する自己学習処理機能が加わる。
Alexaに毎度ウェイクワードを発話しなくても連続する会話が続けられる「会話継続モード」は日本語対応も行われているが、英語のエンジンは応答の「話し方」について、例えば会話に“息継ぎ”のような人間的な間合いを入れたり、きびきびと話したりなど、自然な会話表現力がアップする。
イベントでは英語によるスピーチのデモンストレーションが紹介されたが、英語がネイティブ言語ではない筆者でも、確かにAlexaの発話が人間味を増していることがわかった。日本語による会話もリズムよくこなせるようになるのかとても興味深い。
■環境保護を重視したものづくりを徹底的に推進する
オンラインイベントの冒頭には米AmazonのDevice & Serivices部門のSenior Vice PresidentであるDave Limp氏が登壇した。
Limp氏は2019年秋に発表した「Climate Pledge」宣言に即したプロジェクトの進捗状況について触れながら、「2040年までに事業全体で二酸化炭素排出量ゼロを継続的に目指しており、取り組みは順調に進んでいる」とアピールした。
再生可能エネルギーの利用を推進するプロジェクトにも積極的な投資を行い、当初の予定を5年前倒しする形で、2025年までに100%再生可能エネルギーへの転換を図る。Limp氏は「宣言を果たすためデバイスとサービス領域も含めたアマゾンの事業全域に、引き続き積極的な投資を継続していく」とした。
デバイスの製品段階ではリサイクル可能なマテリアルを使い、パッケージの簡略化を引き続き推し進める。さらにAmazonは今年から独自の「The Climate Pledge Friendly」プログラムを立ち上げ、エコフレンドリーな製造工程やマテリアルの選定を追求した、持続可能性の高い製品をコンシューマーが選別しやすいよう、商品パッケージにロゴを付与していく。
EchoシリーズとFire TVシリーズのデバイスについては100%リサイクルされたファブリック素材と再生アルミニウム、再生プラスチックを使っている。今回発表する新製品はAmazon.comの「The Climate Pledge Friendly」バッジを獲得した製品になる。
またAmazonはメーカーが作った製品は主に家庭に設置された後から多くのエネルギーを消費することに着目し、「ユーザーの手に渡った製品の環境持続性についてもメーカーは責任を持つべきである」とLimp氏は語った。
そのうえで今回発表された新しいEchoシリーズ、Fire TVシリーズのデバイスに駆動効率を高める「ローパワーモード」を搭載することを明らかにした。今後は発売済みの製品についても、OTAファームウェアアップデートにより同じローパワーモードを追加する。