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21年度3Qのグループ全体連結業績

ソニー、21年度3Qは音楽/映画で大幅増収。PS5などゲーム減収、販売数も当初予想下回る

公開日 2022/02/02 20:08 編集部:川田菜月
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ソニーグループは、2021年度第3四半期の連結業績を発表。PlayStation 5(PS5)を含むゲーム&ネットワークサービス分野などの減収があったものの、音楽/映画分野やイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野などの増収を受け、前年比で業績がさらに良くなった。なお、2021年度の売上高見通しは10月時点からそのままとしているが、半導体を中心とした部材の供給不足などの影響により、PS5の販売台数は減少が見込まれる。

ソニーグループが'21年度3Qのグループ連結業績を発表した

今期第3四半期(2021年10月-12月)は、売上高が3兆313億円(前年同期比3,373億円増/+13%/以下同)、営業利益が4,652億円(1,133億円増/+32%)となった。四半期純利益は3,462億円(354億円増/+11%)を計上した。

売上高が3兆313億円と増収、営業利益も4,652億円と増益

売上高については、PS5を含むゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野、およびエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野が減収したものの、映画分野、金融分野、音楽分野の大幅増収を受け、前年同期比から13%の増収を記録。営業利益においても、映画分野およびI&SS分野の大幅増益と、G&NSの増益を主な改善要因として挙げ、EP&S分野の大幅な減益をカバーしている。

ゲーム分野などの減収がありつつ、音楽/映画分野などの大幅増収でカバー

2021年度通期の連結業績の見通しについては、10月時点の見通しから、PS5などのG&NS分野およびイメージング&センシング・ソリューション分野の売上高を下方修正。テレビなどのEP&S分野と、映画/音楽分野については上方修正し、全体の売上高見通しは9兆9,000億円を維持している。

営業利益は、映画/G&NS/EP&S/音楽分野で増益、その他/全社(共通)およびセグメント間取引消去の損失の縮小を見込むことから、2月時点の見通しを1兆2,000億円(1,600億円増/+15%)に上方修正した。税引前利益と純利益は、ともに前述の営業利益の見通しを上方修正を受け、こちらも10月時点から上回る見込み。税引前利益は1兆1,550億円(1,650億円増/+17%)、当期純利益は8,600億円(1,300億円増/+18%)とした。

第3四半期業績の分野別では、PS5などのG&NS分野が売上高8,133億円となり、前年同期比で700億円/8%の減収に。要因としてはハードウェアおよび周辺機器の売上減少、ゲームソフト販売の減少があるとしている。営業利益は929億円。製造コストを下回る価格を戦略的に設定しているPS5の損失縮小などにより、前年同期比121億円の増益となった。

世界的な半導体など部材の供給不足の影響から、PS5の販売台数は減少の見込み

なお2021年度通期の売上高見通しは、2兆7,300億円に下方修正。これは現在世界的に起きている半導体を中心とした部材の供給不足などの影響により、PS5の販売台数減少が見込まれるためとしている。営業利益については、販管費の減少により2月時点見通しを3,450億円とし、10月時点から上回る見込み。

EP&S分野では、オーディオ・ビデオやデジタルカメラ、スマートフォンなどの製品販売台数の減少による減収を受け、売上高は6,869億円(前年同期比121億円減/2%)となった。また同じくテレビやオーディオ、デジタルカメラの販売台数減少の影響から、営業利益は233億円の大幅減益となり、800億円にとどまった。

テレビやオーディオ分野は減収、減益となったが、様々に改善を図ることで通年見通しは前回から上方修正

通期の売上高見通しは、製品ミックスの改善などによるテレビの増収および為替の影響により、10月時点の見通しから上方修正。2兆3,600億円を見込んでいる。営業利益は同分野の対象製品の販売台数減少があるものの、デジタルカメラ等の製品ミックスの改善、オペレーション費用の削減によってこちらも上方修正し、2月の見通しを2,100億円とした。

I&SS分野ではモバイル機器向けイメージセンサーの増収を受け、3,248億円の売上高を記録。前年同期比で578億円/22%の大幅増収となった。この影響を受け、営業利益も大幅増益。また売上高/営業利益増加には為替も好影響を及ぼしているという。今年度の見通しは、今期増収したモバイル機器向けイメージセンサー、およびイメージセンサー以外の事業の減収が見込まれることから下方修正。2月時点の見通しを1兆700億円とした。一方で営業利益は為替の好影響を考慮し、10月時点の見通しと同額とした。

エンターテインメント事業は好調で、音楽分野は今期売上高が2,959億円と、ストリーミングサービスなどからの増収を受けて、前年同期比で314億円/12%の大幅増収となった。一方で映像メディア・プラットフォームにおける減収があり、営業利益は551億円、前年同期比40億円の減益となった。なお前年同期(2020年第3四半期)は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開などがあり、今期はそのアニメ事業の売上高や収益が変動したことも要因としている。

映画分野は売上高4,612億円、前年同期比で2,701億円/141%の大幅増収を記録。米ドルベースでは2,234百万米ドル(122%)の増収となっており、この主な要因としては、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の貢献による劇場興行収入の増加があるとしている。営業利益はGSN Gamesの事業譲渡にともなう利益(702億円)の計上を含め、1,291億円の大幅増益となり、2021年度の見通しについても、前述の映画作品の好調な興行成績を受けて売上高を上方修正している。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』などの好調な興行収入なを受けて大幅増収

金融分野は売上高を伸ばし、ソニー生命の増収を受け、4,713億円と前年同期比483億円/11%増となった。営業利益は352億円で、ベンチャーキャピタル事業における有価証券評価損益、およびソニー銀行における有価証券評価損益の悪化などを受けて減益した。2021年度の見通しは、ソニー生命における特別勘定の運用益の増加を考慮し、売上高は1兆6,100億円に上方修正した(相場変動による金融分野への影響は予測が困難なため、見通しに含まれていない)。

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