支部役員功労者への表彰式も開催
家電公取協、定時社員総会を開催。安心して家電を購入できる環境構築に向けた新たな課題へ早期に取り組む
■活動の認知へ向けた発信力強化へ
公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会は、3年ぶりに会員が集まり、「令和4年度定時社員総会」と表彰式を開催した。議案審議が行われた結果、いずれも原案通りに承認可決された。
野村勝明会長(シャープマーケティングジャパン株式会社取締役会長)は「事業環境は新型コロナウイルスや経済情勢など先行きが見通しづらい状況にあるが、令和4年度はそれら環境変化を伴う新たな課題についても調査・研究、基準の精査など早期に取り組み、ネットワークやeラーニングも活用し、啓蒙、スキルアップを図っていきたい」と変化する環境にいち早く適合した取り組み強化を明言した。
続いて表彰式が行われ、支部長・副支部長を5年以上にわたり務めた支部役員のなかから8名が表彰され、代表して東京都支部支部長・福田勝則氏に、野村会長から表彰状と記念品が授与された。
理事会をはさみ、会の後半には来賓より3名が登壇。消費者庁 審議官・真渕博氏は「家電製品は多種多様な製品が存在するだけではなく、消費者が求める便利な商品が次々と生み出されている。変化のスピードも目まぐるしいなか、一般消費者が自主的かつ合理的な商品選択をするためには、皆様方における公正競争規約に則った適切な表示が不可欠。今後とも適切、厳正に運用いただくようお願いしたい」と期待を寄せた。
今年は景品表示法が施行60周年を迎えるが、6月29日には運用に対するガイドラインなどの改正が公表された。「近年、特にインターネット上の広告出稿の多様化、高度化に伴い、多く見られるようになったアフィリエイト広告に関して、景品表示法違反で措置命令が出される事例が見受けられる。そうしたことを踏まえ、事業者が講ずべき景品類の提供および表示の管理上の措置についての指針、あるいは、インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点と留意事項を改正した。さらに理解を深めてほしい」と訴えた。
続いて、公正取引委員会 経済取引局 取引部長・品川武氏は「家電業界は今、大きな変化のなかにある。いろいろな家電製品や新しい機能が世に出てくることは、消費者の目からすれば『なんだこれは?』というところから始まる。そうした時に消費者がしっかりと製品を理解できてこそ、適正な選択ができると思う」と指摘した。
そうした流れのなかで、「全国家庭電気製品公正取引協議会では様々な表示事項を定めていただいている。消費者がいろいろな選択肢の中から適正に選択できることは市場メカニズムの基本。それにより消費者が利益を得ることができ、ひいては経済の発展にもつながっていく」と同協議会の担う消費者の頼りとする大きな役割に改めて着目した。
経済産業省 商務情報政策局 情報産業課 課長補佐・村上敦子氏は、今日、大きな課題となる半導体問題に言及。「半導体不足が家電産業にも影響を及ぼしているが、経済産業省では国家事業として取り組むべく、半導体・デジタル産業戦略検討会議を昨年立ち上げた。まずは国内の半導体製造基盤の確保、強化を目指し、台湾TSMC社とソニー様、デンソー様が熊本県に設立する合弁会社に4,760億円を上限とした助成を行う。また、足元で不足しているマイコン、アナログ半導体、パワー半導体の生産能力の増強を目指し、国内の既存半導体工場にもトータル36件に約465億円の支援を行っている。さらに、先端半導体の生産施設の整備や生産を行う事業者に対しても今後助成金を交付していく」と支援体制について説明した。
さらに、デジタル人材の育成、確保に向けた取り組みも強化。まずは九州に産官学一体の半導体人材育成等コンソーシアムを設立し、さらに同様の取り組みを全国レベルに拡大していく構えだ。「DXの時代、消費者も業界も少しずつ変容を迫られることと思う。さらには家電を巡る取引のあり様も徐々に変わっていくことになる。こうした変化や新たに発生する課題、お困りごとなど、引き続き丁寧に拝聴させていただき、経済産業省としても業界の発展に貢献していきたい」と力を込めた。
最後に峯田季志副会長(全国電機商業組合連合会会長)があいさつを行い、「コロナ禍も消費者の生活は止まるものではなく、その環境を守るという使命において、私たちの活動の歩みを止めるわけにはいかない。わたくしが全国電商連で常に組合の皆様にお話しさせていただいているのは、自分の市場は自分で守っていこう、そしてしっかりと地域の声を届け、いい業界をつくっていこうということ。そうした意味では、この協議会はちょっと内向きで、もっともっと外に向け、私たちの存在や活動を、シンボルマークの『ただしちゃん』を含めてしっかりと認知いただけるように発信していかなければならない」と訴えた。
「日頃の努力が報われる業界でなければならない。そのためにもしっかりと取り組んでいきたい」と語る峯田氏。社会や業界を取り巻く環境が目まぐるしく変化していくなか、「景品表示法などの法令および公正競争規格などの自主ルールを積極的に啓発し、消費生活と家電業界が一層発展していくように心から祈念している」と締めくくった。