立体音響を強く意識したモニターヘッドホン
ソニー初の開放型モニターヘッドホン「MDR-MV1」をいち早く体験。銘機「CD900ST」「7506」こぼれ話も聞いた
別記事で紹介しているとおり、ソニーは同社初の開放型モニターヘッドホン「MDR-MV1」を発表。同製品をいち早く体験することができたので、同社スタッフから聞けた“ヘッドホンこぼれ話”とともにレポートする。
「MDR-MV1」は、昨今盛り上がる立体音響を強く意識したモニターヘッドホン。5月12日に発売予定で、オープン価格だが59,000円前後での実売が予想される。
背面開放型音響構造や専用開発ドライバーによって、超広帯域再生を実現。一般的に開放型ヘッドホンの弱点とされがちな低音域の再生能力にも配慮している。
インピーダンスが24Ωと低めであるため、USB-DACなどを介さずにウォークマンなどのような音楽プレーヤーをつないでも比較的鳴らしやすい点も特徴。プレスリリースではミュージシャンやスタジオエンジニアの音楽制作といった業務用途が前面に押し出されているが、一般ユーザーの音楽リスニング用途にも利用できるとも同社は説明している。なお、付属ケーブルの端子は6.3mmの標準プラグ。3.5mmステレオミニへと変換するプラグアダプターも付属する。
実際にウォークマン「NW-WM1ZM2」と接続して体験することができたが、なるほどたしかに音場が広く、立体的な音を感じさせる。360 Reality Audio音源で立体的に配置された音の数々を、その位置にしっかりと感じることができた。立体音響時代の音楽制作を強く意識したというのも納得できる。
こうした特徴は立体音響ではないステレオ音源の再生にも効果を発揮。一般的なヘッドホンより音空間が縦方向に広がったようなイメージで、本当はこんな情報まで含まれていたんだな、と楽曲が持っていた本来のポテンシャルをしっかり引き出す印象だ。
また、装着感も良好。記者は頭が大きめで、しかもメガネをしているので、側圧が強めのヘッドホンだと装着してから数分ですぐに締めつけ感に苦しくなってしまうこともあったりするのだが、MDR-MV1はかなり快適に装着し続けることができた。「具体名は言えないが、高級車などにも採用されているようなメーカーのかなり上質な素材」(ソニースタッフ)を使ったというスエード調人工皮革イヤーパッドのおかげなのかもしれない。
ただ、「実は、ソニーのヘッドホンのなかでは側圧は強めな製品」だとのこと。「装着位置がズレると音の聴こえ方も変わってしまうため、長時間の制作作業でも同じ位置で使い続けられるように側圧を強めにしている」そうだが、スエード調人工皮革イヤーパッドと、約223gという軽さによって、快適さも両立させたのだという。
デザイン面では、ヘッドバンド部には青地をバックに「Professional」と記載したシールを貼付しているのだが、これはソニーの定番モニターヘッドホン「MDR-7506」をオマージュしたもの。
ちなみに、同社スタッフによれば「実は、MDR-CD900STの『for DIGITAL』やMDR-7506の『Professional』といったシールは、購入後にユーザー自身が剥がすことを想定していた。しかし、なぜか皆さん剥がさず使うことが当たり前になっていた」とのこと。これらと同様にハウジング部にシールを貼ると開放部を塞いでしまうため、今回のMDR-MV1では、ヘッドバンド部へ小さめに配置するようにしたという。
また、MDR-CD900STのイヤーパッドにシワが寄っている点について「今の技術ならシワなしでピシッと革を張ることも可能だが、わざとシワを残している」との説明も。「モニターヘッドホンなので、昔から使っているユーザーのために、少しでも音に影響ある仕様変更をするわけにはいかない」との考えからだという。
この思想は今回のMDR-MV1にも引き継がれている。振動板素材にPETを採用した点などだ。最新技術を用いた珍しい素材などではなく、入手しやすいPET素材を用いることで、10年後、20年後という将来でも変わらないクオリティの音を提供できるようにしたのだそうだ。
なお、ファイルウェブでは評論家による詳しいMDR-MV1レビュー記事を準備中だ。近日中に掲載予定なので、こちらもぜひ楽しみにしてほしい。
「MDR-MV1」は、昨今盛り上がる立体音響を強く意識したモニターヘッドホン。5月12日に発売予定で、オープン価格だが59,000円前後での実売が予想される。
背面開放型音響構造や専用開発ドライバーによって、超広帯域再生を実現。一般的に開放型ヘッドホンの弱点とされがちな低音域の再生能力にも配慮している。
インピーダンスが24Ωと低めであるため、USB-DACなどを介さずにウォークマンなどのような音楽プレーヤーをつないでも比較的鳴らしやすい点も特徴。プレスリリースではミュージシャンやスタジオエンジニアの音楽制作といった業務用途が前面に押し出されているが、一般ユーザーの音楽リスニング用途にも利用できるとも同社は説明している。なお、付属ケーブルの端子は6.3mmの標準プラグ。3.5mmステレオミニへと変換するプラグアダプターも付属する。
実際にウォークマン「NW-WM1ZM2」と接続して体験することができたが、なるほどたしかに音場が広く、立体的な音を感じさせる。360 Reality Audio音源で立体的に配置された音の数々を、その位置にしっかりと感じることができた。立体音響時代の音楽制作を強く意識したというのも納得できる。
こうした特徴は立体音響ではないステレオ音源の再生にも効果を発揮。一般的なヘッドホンより音空間が縦方向に広がったようなイメージで、本当はこんな情報まで含まれていたんだな、と楽曲が持っていた本来のポテンシャルをしっかり引き出す印象だ。
また、装着感も良好。記者は頭が大きめで、しかもメガネをしているので、側圧が強めのヘッドホンだと装着してから数分ですぐに締めつけ感に苦しくなってしまうこともあったりするのだが、MDR-MV1はかなり快適に装着し続けることができた。「具体名は言えないが、高級車などにも採用されているようなメーカーのかなり上質な素材」(ソニースタッフ)を使ったというスエード調人工皮革イヤーパッドのおかげなのかもしれない。
ただ、「実は、ソニーのヘッドホンのなかでは側圧は強めな製品」だとのこと。「装着位置がズレると音の聴こえ方も変わってしまうため、長時間の制作作業でも同じ位置で使い続けられるように側圧を強めにしている」そうだが、スエード調人工皮革イヤーパッドと、約223gという軽さによって、快適さも両立させたのだという。
デザイン面では、ヘッドバンド部には青地をバックに「Professional」と記載したシールを貼付しているのだが、これはソニーの定番モニターヘッドホン「MDR-7506」をオマージュしたもの。
ちなみに、同社スタッフによれば「実は、MDR-CD900STの『for DIGITAL』やMDR-7506の『Professional』といったシールは、購入後にユーザー自身が剥がすことを想定していた。しかし、なぜか皆さん剥がさず使うことが当たり前になっていた」とのこと。これらと同様にハウジング部にシールを貼ると開放部を塞いでしまうため、今回のMDR-MV1では、ヘッドバンド部へ小さめに配置するようにしたという。
また、MDR-CD900STのイヤーパッドにシワが寄っている点について「今の技術ならシワなしでピシッと革を張ることも可能だが、わざとシワを残している」との説明も。「モニターヘッドホンなので、昔から使っているユーザーのために、少しでも音に影響ある仕様変更をするわけにはいかない」との考えからだという。
この思想は今回のMDR-MV1にも引き継がれている。振動板素材にPETを採用した点などだ。最新技術を用いた珍しい素材などではなく、入手しやすいPET素材を用いることで、10年後、20年後という将来でも変わらないクオリティの音を提供できるようにしたのだそうだ。
なお、ファイルウェブでは評論家による詳しいMDR-MV1レビュー記事を準備中だ。近日中に掲載予定なので、こちらもぜひ楽しみにしてほしい。