「ASCマスタークラス in Japan '23」3日間開催
Netflixが日本初のワークショップを開催。“世界基準”を生み出すクリエイター支援の目指す先とは
Neflixは、現役の撮影監督および照明技師を対象としたワークショップ「ASCマスタークラス in Japan '23」を、3月24日-26日の3日間にかけて開催した。
■アメリカ最前線の技術・思考を学べるワークショップ
ASCマスタークラスはASC(American Society of Cinematographers/アメリカ撮影監督協会)が世界中で実施しているワークショップで、ASC所属の撮影監督から直に実技講習が受けられる貴重な機会だ。かねてよりNetflixは作品作りの現場や人材のサポートを行ってきており、その一環として本ワークショップを主催。日本での初開催に至ったという。
今回、デヴィッド・フィンチャー監督とのコラボレーションで知られるエリック・メッサーシュミット氏と、20年以上にわたって国内外のCM撮影を手掛けるビル・ベネット氏が講師として登壇。「マスタークラス」というだけあって、日本でも高い実績を持つカメラマンや照明技師などクリエイター約20名が参加したそうだ。
Netflixプロダクション・マネジメント部門の小沢禎二氏によると、日本だと今回のようなワークショップはあまり行われておらず、クリエイターも基礎は映画学校などで学べるが、実践的なことは現場で先輩の背中を見て覚える、というケースが多い。対してアメリカでは、このASCマスタークラスをはじめ、より実践的な技術を勉強する機会・場所が文化として存在しているという。
また、日本では撮影監督がカメラでの撮影を行う、いわゆるプレイングマネージャータイプが多いが、アメリカの場合、カメラ操作はオペレーターが行い、撮影監督はモニターを見つつ、照明などを含む全体の画作りに注力するとのこと。
日本映画とハリウッドの映画で画の雰囲気が違うというのは、多くの方が感じるところだろう。必ずしもハリウッドが正しいわけではないが、「アメリカの第一線で活躍するエリック/ビルからなにか1つでも感じるところがあって、これからの仕事のプラスになって、画が少しでもより良いものになってくれたら嬉しいです」と小沢氏は語る。
エリック氏もこういったワークショップには幾度と参加しているそうで、「あくまで授業ではなくサロンのような形式で、自分の経験をシェアするだけでなく、相手の経験をシェアしてもらえることも自分にとって重要なことだ」と説明。
ワークショップ自体は個人でも開催できるが、今回のようにNetflixなどが主催してくれることで日本のように普段来れない場所まで来ることができ、さまざまな国や地域の映像の作り方を吸収できる。こういった機会が増えてくれることは、映像業界全体にとっても良いことではないか、と述べていた。
また、ビル氏は師匠が若い頃に日本に駐在し、そこの写真クラブで学んでいたため、「自分が学んだことも、大元は日本式だ」という。日本式ベースの経験を日本で講義することに「長い時間をかけて1周した感じがある」としつつ、最も伝えたい・重要なこととして「完璧な構図とは足し算で作るのではなく、なるべく情報を引いていって最小の状態にしたもの。それが1番効果的に情報を伝えられる、ということ」だと語ってくれた。
当編集部が取材した24日午前の部では、エリック氏による座学が実施された。最初のテーマは「撮影監督は何をするのか」ということで、「1番大事なのはカメラ、照明、グリップなどの撮影クルーを管理すること。あまり語られることはないが、我々はマネージャーである」と、まさに日本とは異なる、アメリカ式の撮影スタイルが語られた。
その後、エリック氏が撮影監督を務めたデヴィッド・フィンチャー監督作品『Mank/マンク』のワンシーンなどを使いながら、どのような意図をもって画作りしたかなどを解説。参加者はもちろんのこと、ビル氏からも質問が飛び出し、まさにサロンのような、お互いに刺激し合える場になっていたように思う。
■アメリカ最前線の技術・思考を学べるワークショップ
ASCマスタークラスはASC(American Society of Cinematographers/アメリカ撮影監督協会)が世界中で実施しているワークショップで、ASC所属の撮影監督から直に実技講習が受けられる貴重な機会だ。かねてよりNetflixは作品作りの現場や人材のサポートを行ってきており、その一環として本ワークショップを主催。日本での初開催に至ったという。
今回、デヴィッド・フィンチャー監督とのコラボレーションで知られるエリック・メッサーシュミット氏と、20年以上にわたって国内外のCM撮影を手掛けるビル・ベネット氏が講師として登壇。「マスタークラス」というだけあって、日本でも高い実績を持つカメラマンや照明技師などクリエイター約20名が参加したそうだ。
Netflixプロダクション・マネジメント部門の小沢禎二氏によると、日本だと今回のようなワークショップはあまり行われておらず、クリエイターも基礎は映画学校などで学べるが、実践的なことは現場で先輩の背中を見て覚える、というケースが多い。対してアメリカでは、このASCマスタークラスをはじめ、より実践的な技術を勉強する機会・場所が文化として存在しているという。
また、日本では撮影監督がカメラでの撮影を行う、いわゆるプレイングマネージャータイプが多いが、アメリカの場合、カメラ操作はオペレーターが行い、撮影監督はモニターを見つつ、照明などを含む全体の画作りに注力するとのこと。
日本映画とハリウッドの映画で画の雰囲気が違うというのは、多くの方が感じるところだろう。必ずしもハリウッドが正しいわけではないが、「アメリカの第一線で活躍するエリック/ビルからなにか1つでも感じるところがあって、これからの仕事のプラスになって、画が少しでもより良いものになってくれたら嬉しいです」と小沢氏は語る。
エリック氏もこういったワークショップには幾度と参加しているそうで、「あくまで授業ではなくサロンのような形式で、自分の経験をシェアするだけでなく、相手の経験をシェアしてもらえることも自分にとって重要なことだ」と説明。
ワークショップ自体は個人でも開催できるが、今回のようにNetflixなどが主催してくれることで日本のように普段来れない場所まで来ることができ、さまざまな国や地域の映像の作り方を吸収できる。こういった機会が増えてくれることは、映像業界全体にとっても良いことではないか、と述べていた。
また、ビル氏は師匠が若い頃に日本に駐在し、そこの写真クラブで学んでいたため、「自分が学んだことも、大元は日本式だ」という。日本式ベースの経験を日本で講義することに「長い時間をかけて1周した感じがある」としつつ、最も伝えたい・重要なこととして「完璧な構図とは足し算で作るのではなく、なるべく情報を引いていって最小の状態にしたもの。それが1番効果的に情報を伝えられる、ということ」だと語ってくれた。
当編集部が取材した24日午前の部では、エリック氏による座学が実施された。最初のテーマは「撮影監督は何をするのか」ということで、「1番大事なのはカメラ、照明、グリップなどの撮影クルーを管理すること。あまり語られることはないが、我々はマネージャーである」と、まさに日本とは異なる、アメリカ式の撮影スタイルが語られた。
その後、エリック氏が撮影監督を務めたデヴィッド・フィンチャー監督作品『Mank/マンク』のワンシーンなどを使いながら、どのような意図をもって画作りしたかなどを解説。参加者はもちろんのこと、ビル氏からも質問が飛び出し、まさにサロンのような、お互いに刺激し合える場になっていたように思う。
次ページNetflixの取り組みをプロダクション ・テクノロジー部門シニアマネージャーに聞く