秋葉原駅旅客開業100年。秋葉原電気街も新しい100年のスタートへ
年末年始も好調な省エネ家電の買い替えを徹底訴求。秋葉原電気街振興会が新年交歓会を開催
■蛍光灯の製造・輸出入廃止決定やeスポーツオリンピック開催も起爆剤に
秋葉原電気街振興会は1月7日、賛助会員や関係企業の関係者が集い、「令和7年新年交歓会」を開催した。主催者挨拶で登壇した会長の小野一志氏は「年末年始の秋葉原電気街はカレンダー周りもあってか非常に活況で、国内外からたくさんの方にお見えいただくことができました。年末には恒例のコミックマーケット帰りの大きなアニメが描かれた紙袋を持った若者の姿も大勢見られ、元旦も午前はちょっと寂しかったので心配しましたが、午後にはたくさんの方に来ていただきました」と活気づく電気街の近況を紹介した。
商品別には、火事のニュースが目につくなど乾燥した状況が続くなか、「飛ぶように売れました」と加湿器が絶好調だったという。「昨年10月からバージョンアップしたゼロエミポイントに背中を押され、省エネ性能の高い冷蔵庫やエアコンを年末年始に求める方が多数いらっしゃいました」と省エネ家電も好調だ。また、“インバウンドの聖地” とも言え、「海外のお客様からは医薬品やフィギュアが人気ですが、今年は特に美顔器やヘアドライヤーの需要がとてもよかったです」と高額な理美容家電が人気を集めた。
秋葉原電気街振興会の昨年の活動では、最も重要な販促と位置付ける電気街まつりを春、夏、冬の3回にわたり開催。「今年は特にミスアキバ2024グランプリの城崎桃華さんと準グランプリの松山あおいさんに秋葉原の店頭まで足を運んでいただき、アナウンスや販促物の配布を手伝っていただきました。何と言っても秋葉原ですから、アニメとゲームとアイドルが切り口。アイドルによる効果は抜群で二人の呼びかけで売上げもぐんぐん上がりました」
「今年は昭和で言うと100年になります。1925年、今から100年前に山手線が環状線としてスタートしたそうで、その時に秋葉原駅もそれまでは貨物駅でしたが、旅客駅としてスタートしています。ですから今年は秋葉原駅の開業100年でもあります。100年前にわが国ではラジオ放送も始まっています。秋葉原電気街にとっても、今年は新しい100年のスタートになります」と大きな節目の年のスタートと位置付けた。
この100年の間に電気製品や生活を取り巻く環境が急速な進化を遂げるなか、小野会長はAIやロボットの台頭を取り上げた。「後世から見れば2025年はロボットと私たちが共存を始めた時代として振り替えられるのではないかと思います。ロボットとの共存へどう棲み分けていくのかが大きな課題になってくる気がしています」
今年の秋葉原電気街振興会の課題では、「最近、業界にあまり活気がないのは、メーカーさんが『これは凄い!』という電気製品を作ってくれないので、買い替え需要で終わってしまい、なんとなくシュリンクしている感じがするのだとこれまで言ってきましたが、それが大きな間違いであることに気づきました」と反省の弁を述べた。
「生成AIやデータセンターがどんどんでき、膨大な電力需要が発生しています。日本は島国ですから隣の国から電気をもらってくるわけにはいきません。ということは、私たちが販売している、使っている電気製品の消費電力量を抑えるしかない。私たちが “省エネ家電” を訴求することが非常に大切な誇りを持てる仕事だということに、つい最近やっと気が付きました」
さらに、一般照明用の蛍光灯の製造・輸出入が2027年までに段階的に廃止することが決定された報道を受け、「問い合わせが増えています。周りにはまだ蛍光管を使った事業所やオフィスがたくさんあります」。また、「eスポーツがIOCの認可を受け、第1回のeスポーツオリンピックがサウジアラビアで開催されます。eスポーツと言えば秋葉原。これを契機にeスポーツを新しくやってみたい若い方がたくさん秋葉原にいらっしゃると思います」。省エネ家電への買い替え、蛍光ランプのLED化、eスポーツの普及・拡大など、「今年の電気街まつりはやることがたくさんあります」と腕を鳴らす。
「秋葉原に行ってみたいけど、実際に行ってみたらたいしたことなかったという評価があると聞いています。行ってみたら一番良かった街が秋葉原だと言っていただけるような街づくりの活動を行っていきたい。いまも世界のどこかで戦争が行われていますが、そうした争いがなくなり、皆が秋葉原に来て幸せな買い物ができることを本当に祈っています。今年一年皆さんとともに電気街で大いに稼いでいきたい。秋葉原電気街振興会を宜しくお願いいたします」とあいさつを締めくくった。
続いて、来賓を代表してあいさつしたソニーコンスーマーセールス株式会社 代表取締役社長・向田茂樹氏は、「コロナ終息以降、世界情勢や自然環境の変化に大きな影響を受け、全世界的に見てビジネス環境は不安定、不確実なものとなっています。国内家電業界においても円安や物価高騰、消費行動の多様化で先行きが不透明です。そのようななか、市場では価値を評価された製品、ブランドが支持を集めて購入される傾向を感じとっています」と変化を指摘した。
旺盛なインバウンド需要は、本年4月に日本では20年振りとなる国際博覧会「大阪・関西万博」、9月に同18年振りとなる「東京2025世界陸上競技選手権大会」が東京で開催されることを取り上げ、「勢いはさらに加速していくと感じています。秋葉原地区はまさにインバウンドのご当地でもあり、これまで通り情報発信基地として、国内マーケット需要を牽引されることと確信しています」と大きな期待を寄せた。
「弊社としてもお客様の消費行動に合わせたマーケティングを強化しながら、今年も付加価値の高い商品を数多く販売していきたい。環境に配したエコによる買い替えをアピールし、需要の促進を図ります。ご購入いただいたお客様がより豊かな生活を送っていただき、環境にも配慮した生活ができるよう、しっかりご提案を行っていきます」と高付加価値商品による需要喚起へ決意を訴えた。
「今年は巳年です。脱皮するヘビは、成長・進化の象徴とも言われています。国内家電業界も脱皮するヘビのように、変化に対応しながら次の成長軌道に乗せるシナリオを確実に実行していかなければなりません。われわれはお客様の感動する商品やサービスを提供し、引き続き皆様と一緒に振興会の活動目的である秋葉原地区全体の活性化とお客様に喜んでお買い物をしていただける環境づくりに貢献して参ります」
続いて、乾杯の発声を行った東芝コンシューママーケティング株式会社 量販営業部部長・高岡繁樹氏は、勢いづく秋葉原電気街の活躍に、「秋葉原が活況である、これは凄くいいことです。私もかつて秋葉原で10年ほど勤務する機会がありました。当時と比べると時代の流れもあり変わっていますが、やはり『日本の電機って秋葉原だよな』と私はずっと思っています。秋葉原が元気であってこそ、日本の家電も元気になります」
「インバウンドも回復し、初売りも大盛況だということで、われわれメーカーとしても、商品開発や販促を含め、秋葉原電気街振興会のますますの発展にしっかりとご協力していきたい。メーカー一同で秋葉原を盛り上げていきます」と国内家電市場の一層の活性化を力強く訴えた。