FIIO、最大4000mW出力のUSB DAC内蔵ヘッドホンアンプ「K17」。ハイエンドクラスの音質・機能を追求
エミライは、同社取り扱いFIIOブランドからUSB DAC内蔵ヘッドホンアンプ「K17」を、3月28日(金)より発売する。価格はオープンだが、税込165,000円前後での実売が予想される。カラーはシルバーとブラックの2色展開。


本機は、同ブランドの“K9 Proシリーズ”の後継機としてさらなるアップグレードが施されたUSB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ。
DACには、AKMのチップ「AK4191」+「AK4499EX」×2を用いたフラッグシップ・セパレートDACシステムを搭載。2基の「AK4499EX」はそれぞれ左右のチャンネルを担当し、LPFを8chから4chへまとめることによってコモンモードノイズを低減。音の分離とダイナミクスが向上しているとのこと。また、デジタル/アナログ完全分離構造の新設計技術に基づき、新開発の「DWA ROUTING技術」を導入。バックグラウンドノイズをさらにクリーンにし、解像度を高めているという。
ヘッドホンアンプは、フルディスクリートAB級アンプを搭載。オペアンプ+トランジスタによる電流増幅設計のオン・セミコンダクター製「MJE243/253」をペアで導入しており、低インピーダンス出力で大きな電流を生成するという。これによって、バランスモードで最大4000mWの出力を実現。K9 Pro ESSのほぼ2倍の出力となっており、さまざまな種類のヘッドホンやIEMを簡単に駆動することができる。


フルディスクリートAB級ヘッドホンアンプ
DACからI/V変換、ローパスフィルター、ヘッドホンアンプに至るまで、オーディオ回路全体は完全なバランス設計を採用。これによって、広いダイナミックレンジとクロストークの大幅な低減を両立したとしている。I/V変換段やLPF段を含むオーディオ回路の各部には、複数の低ノイズ精密オペアンプ「OPA1612」を使用。ダイナミックなオーディオ出力を実現したという。
クロックには、Accusilicon製の超低位相雑音クロックジェネレーターを採用。「AS318-L(45.1584MHz/49.1520MHz)」、「AS318-Pro(24.576MHz)」を含む3基を搭載することで、 オーディオ信号への位相ノイズの影響を大幅に低減し、さまざまなサンプリングレートの信号を正確かつ忠実に再生するとのこと。

電源部には、5基の4700μF大容量電解コンデンサを搭載した35W低ノイズリニア電源を搭載。純度の高い電源供給を確保していると説明。加えて2次電圧レギュレータには、超低ノイズかつ高PSRR(リップル除去率)のハイエンドLDOレギュレータ 「TPA7A47/7A33」を採用し、安定したピュアな電源の継続的な供給を目指している。また、電源部のみならず、アナログ部、デジタル部、D/A変換、LPF、トランジスタなどの各ステージに専用の電源制御回路を設けて分離。相互干渉をクロストークの低減を図っている。
DSPチップには、64ビットの倍精度浮動小数点演算が可能なCEVA製「M21586Q」を搭載。360MHzの高いクロック周波数で動作する。 さらにこのチップは、高性能ADC「ES9821Q」と特別にカスタマイズされた超低位相ノイズのフェムトクロックによって補完。この3つの組み合わせににより、合計31バンドの高精度ロスレスPEQ(パラメトリックEQ)を実現している。


PEQは、ダイナミックレンジコンプレッション(DRC)/ダイナミックレンジエクスパンション(DRE)/リミッター/コンプレッサーといったさまざまな調整機能を備える。「DEL(デュアル・エンジン・リミッター)」テクノロジーと独自のアルゴリズムにより、PCM 44.1kHz - 96kHzまでの信号をサンプルレート変換することなくPEQ処理することが可能だ。
加えて、オーディオパラメーターの精密な調整も可能。ゲインレンジは+12から-24dBまで、Q値レンジは0.4から128まで調整できる。さらに、ヘッドホンの周波数応答曲線をシミュレート・調整できるだけでなく、エクスポート/インポート/共有/保存といった機能もサポート。簡単にPEQチューニングを再現することができるという。なお、PEQはアナログ出力に対して有効となる。

SoCは、Lumissil製「X2000」マルチコアプロセッサーを搭載。「XBurst2」と「XBurst0」2種類のコアを組み合わせることで、優れた処理能力と強力なリアルタイム制御を実現しながら、省電力性能も確保。
加えて、低消費電力MCUシステムレベルチップ「ESP32-S3」も導入。240MHzまで動作可能なデュアルコアプロセッサー「Xtensa 32ビットLX7」と低消費電力のコプロセッサが搭載されており、高速でスムーズなリスニング体験を提供するという。

安全なリスニングのため、ヘッドフォンアンプ温度保護/トランス温度保護/出力過負荷保護/出力DC保護/電源入力過電流保護など、何重もの保護機能を装備。さまざまま異常状態を自動的に検出し、 デバイスの損傷を回避するとのこと。
また、細部のパーツにもこだわり抜いたハイエンドパーツを採用。コンデンサーにニチコン製やELNA製、パナソニック製のパーツを採用したほか、内部配線には銀メッキ無酸素銅ケーブル、コネクター部にはNeutrick製金メッキコネクターを使うなどして、高音質化が図られている。
筐体は、四角と円を調和させたデザインを採用。機能性とビジュアルの両面において考慮されたデザインとなっており、複数の操作ノブを配置することで操作性の向上を図ったほか、グリッド構造を導入することで放熱の効率化を狙っている。
フロントパネルには、タッチ操作に対応したカスタム仕様の3.93型・LCDスクリーンを搭載。設定の調整や各機能へのアクセスが素早く行える。5つの独立したコントロールノブも装備。オン/スタンバイの切り替えや、ボリューム、ゲイン出力などを簡単に調整可能。さらに赤外線リモコンを標準装備しており、動作モードやEQ、音量などを簡単に遠隔で操作できる。


前面にはXLR4ピン/4.4mmバランス/6.35mmシングルエンドのヘッドホン出力端子とUSB Type-C入力を各1系統ずつ装備。背面にはXLR×1/RCA×2/4.4mmバランス×1/USB Type-C×2/USB Type-A×1/光デジタル×1/同軸デジタル×1/LAN×1を備える。なお、USB Type-Aポートの最大電流出力は500mAとなっており、ポータブルHDDを接続する場合は専用の電源を別途接続する必要がある。ワイヤレス接続では、「AP6256」Wi-Fiモジュールを搭載。2.4GHz/5GHz帯のデュアルバンドWi-Fi接続をサポートする。


最大出力は、バランス:4000mW/アンバランス:1850mW。サンプリングレートはUSB Type-C接続時で最大PCM 768kHz/32bit、DSD 512まで対応。周波数特性は20kHz - 90kHz、THD+Nは0,00049%未満、S/N比は124dB以下。BluetoothのコーデックはSBC/AAC/aptX/aptX LL/aptX HD/aptX Adaptive/LDACに対応。
外径寸法は約244.6W×66.8H×213Dmm、質量は約2750g。付属品としてUSBケーブル×2、6.3mm to 3.5mm変換アダプター、リモコン、XLR4ピンジャック保護キャップなどを同梱する。