フォトカレンダー「COYOMI」も人気
富士フイルム、“年賀状づくりを楽しむ”ニーズの高まりに進化した手書き機能や「ちいかわ」など充実したキャラクターで応える
■人とのつながりや年賀状づくりを楽しむ需要が増えている
富士フイルムイメージングシステムズは、「2024年富士フイルムの年賀状概要発表会」を開催し、基本方針と展開施策について、コンシューマー事業推進本部プリント・ソリューション事業部長 岡本純氏が説明を行った。
昨年2023年用年賀はがきの総発行枚数は16.8億枚、対前年比88%と継続的な減少傾向に歯止めがかからず、2024年用年賀はがきの当初発行枚数も14.4億枚、対前年当初発行比88%(日本郵便)と引き続き同程度の減少が見込まれている。
そのようななか、「フジカラーの年賀状」では昨年、「ユーザーのお困りごとを解決したい」をテーマに掲げ、年賀状作成時に感じる “義務感” や “わずらわしさ” を、“楽しさ” や “簡単” に変えていく取り組みに注力し、手応えを掴んでいるという。
具体的には、「デザイン選定」では欲しいもの・選びやすいものの提供を心がけ、写真がシンプルでデザインがおしゃれなLETTERS、キャラクターではちいかわが人気を獲得。宛名書き作業の煩わしさを解消する「宛名印刷サービス」は、対前年比1.3倍と伸長し、利用率にすると20%にまで拡大。「写真の選定」においては、インフルエンサー・アンバサダーによる被写体別&ユーザー目線での提案を強化。新たに導入した「手書きコメント」も好評を得た。
同社が実施したアンケート結果から岡本氏は「年賀状の目的が変化している」と指摘する。「毎年年賀状をもらうから」「毎年の挨拶だから」など “習慣” “義務感” で年賀状を作っていた層が減少。一方、「年賀状づくりが楽しい」「会う機会が減ったため」「連絡を取り合うきっかけになるから」など、“人とのつながりづくり” や “年賀状づくりを楽しむこと” を目的とする層の構成比が増加しているという。
こうした変化を捉えて、「子育てファミリー」「若年層(作品志向含む)」「様々な趣味層」「シニア層」という4つのターゲット層それぞれに、改めて幸せニーズと写真の価値を深掘りし、提案を進めていく構えだ。
昨年25万リーチを超えたインフルエンサー・アンバサダーによるSNS投稿もさらに強化する。「モノの価値ではなく、リアルなSNSの感想による年賀状を “つくる” “贈る” ことによるしあわせの価値提案を、顧客のしあわせ目線で展開を進めていきます」と力を込めた。
■相手を想い、年賀状を贈るまでの準備も楽しく幸せな行事のひとつ
2024年の具体的な施策として、多彩なデザインはフォーマルから自己を表現するものまで楽しく選べる450種をラインナップ。シンプルな写真が映える人気の「LETTERS」をはじめ、キャラクターはディズニーなど主要キャラクターが勢ぞろい。昨年人気のちいかわ、ゲームで話題を集めたピクミン、ディズニーには昔使用した「復刻アート」もラインナップする。
昨年「写真で想いを届けよう」をテーマに導入した「手書き機能」は、「子どもが楽しんで年賀状をつくれる」「自分らしいイラストを使える」など温かみが伝わると好評を得る一方、「ひとりひとり個別にメッセージを印字したい」との声に応え、宛名面の左端に相手ごとに違うひとことコメントを入れられる新機能を追加。メッセージ性をさらに高め、受け取るよろこびを膨らませていく。
直近2年で倍増する「宛名印刷」は、住所録のメンテ作業がより手軽になり、不評だった宛名面のバーコードを撤廃して見栄えも改善。フジカラーの年賀状のキレイな写真、品質へのこだわりを幅広く知ってもらう施策として好評を得る「1枚無料でお試しキャンペーン」を今年も実施する。
「年末ギリギリまでと後ろ倒しの傾向が止まりません」と年末10日間の注文ウエイトが対前年比127%と増加。注文の後半化が進むなか、最短1時間で仕上がる即時印刷や駆け込みでもすぐ受け取りできるパック販売も強化する。
「カタログも昨年までのモノとしての年賀状ではなく、贈る・もらうをイメージできるビジュアルへと表紙を刷新しました」とアピールする。「贈るしあわせアイデア」「つくるしあわせアイデア」などコンテンツも充実。「つくるきっかけを提案していきます。相手を想って贈るまでの準備も楽しくしあわせな行事のひとつです。新年の挨拶だけにとどまらず、今の自分や気持ちを伝える新しい年賀状のアイデアを紹介していきたい」とし、販売目標として店頭印刷が対前年比100%、ラボ処理が同93%、合計で同97%を掲げた。
年賀状と相乗効果が狙える商品としてフォトカレンダー「COYOMI」にも力を入れる。「リピーターが非常に多いのが特徴です。コロナ禍の影響もなく、年々右肩上がりに需要が拡大しています」という人気商品。今年は「写真をもっと大きくしたい」との要望に応え、全面に写真を掲載できる「スタイリッシュデザイン」を新たに導入。「まだまだ認知が十分とは言えません」と年賀状とともに拡販を図る。
「今年は『写真幸福論』に基づいた年賀状の施策となります。昨年までは、その先にある喜びというところまでプロモーションができていませんでした」と語る岡本氏。「写真を贈るということは誰かと幸せを分かち合うことだと我々は考えています。書く楽しさ、つくる楽しさを訴えていきたい」と年賀状の新たなステージ創造へ意気込みを示した。