キヤノン、動画クリエイター向けに特化したAPS-Cミラーレス「EOS R50 V」。ボディのみで約11.3万円
キヤノンは、ミラーレス一眼カメラ “EOS Vシリーズ” の新モデルとしてAPS-Cセンサー搭載の動画クリエイター向けモデル「EOS R50 V」を5月下旬に発売する。価格はオープンだが、同社オンラインショップでの販売予想税込価格は、ボディのみが113,300円、レンズキット「EOS R50 V・RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ」が140,800円としている。

EOS Vシリーズは、同社の「EOS R SYSTEM」の強みを生かしながら、さらにクリエイティブな動画機能を提供するミラーレスカメラの新シリーズとして打ち出しており、EOS R50 Vはラインナップの中でもエントリークラスに位置するモデル。

最大約2420万画素のAPS-Cサイズ・CMOSセンサーに、映像エンジン「DIGIC X」を組み合わせており、自然で美しく大きなボケ味や高感度・低ノイズ撮影を実現するとアピールする。動画記録サイズは、クロップなしの6Kアップサンプリングによる4K/30p・25p・24p、4K/60p(Crop)、音声あり2K/120pに対応する。YCC422 10bitによる色階調表現での撮影も可能としている。動画フォーマットはHEVC/AVCをカバー。


フォーカス方式は「デュアルピクセルCMOS AF」が採用されており、被写体に粘り強く追従する高度な動画AFを実現すると明かす。あらかじめ登場人物に優先してフォーカスを追従させる「登場人物優先」機能を投入しており、機能をオンにすることで多くの人が交差するシーンでも、撮りたい演者にピントを合わせ、粘り強く追従させることができるという。
ピントがボケた状態から合焦するまでのAF速度も設定でき、ゆるやかにピントを合わせるシネマティックな映像表現にも対応。被写体検出では、人物/犬/猫/鳥/モータースポーツカー(四輪)/モータースポーツバイク(二輪)、そこに馬/飛行機/鉄道が加わった。
優れたフォーカスブリージング補正を導入していることも特徴で、対応レンズ装着時はピント位置の移動による画角変動を自動的に補正する。例えば、「レビュー用動画」モードでは、至近優先で演者が紹介している製品と演者の顔へのピントが素早く切り替わる点を、本機能の特徴のひとつとして挙げる。また、頻繁にピントを移動するレビュー動画撮影時においても、画角の変化を抑えて自然な撮影が可能だという。

動画撮影の機能として、手軽にスローモーションや倍速で撮影できる「スロー&ファストモーション動画モード」を新搭載。3種類の撮影モードも選択でき、「美肌動画」「レビュー用動画」「手ブレ補正動画」のモードを用意している。

「EOS R SYSTEM」では初となる14種類のカラーフィルターを搭載。「StoryTeal&Orange」「StoryMagenta」「StoryBlue」「PaleTeal&Orange」「TastyWarm」「TastyCool」「BrightAmber」「BrightWhite」「RetroGreen」「Sepiatone」「AccentRed」「ClearLightBlue」「ClearPurple」「ClearAmber」といったカラーフィルターを撮影シーンに応じて選べるようになった。

加えて、プロの映像制作者向けの画作り機能「カスタムピクチャー」を導入しており、グレーディングを前提としたガンマで暗部ノイズを抑制しながら、最大13+stopsのダイナミックレンジを実現した「Canon Log 3」や「Canon 709」を備えている。.Cube形式の任意の3D LUTを適用した収録が可能な「Look File設定」もフォローする。

より手軽にライブ配信を行える機能として、UVC/UACに対応することで、PCからUSBケーブルを繋げるだけでライブ配信やビデオ通話が可能となる。また、PCからのUSB給電に対応するため、電池切れを心配することなく長時間の配信もカバーするとのこと。

長時間の動画撮影による熱対策として、放熱性の高いマグネダイキャストボディの採用をはじめ、手持ちの撮影時の低温やけどを防ぐ「温度上昇警告」機能、手でつかむ箇所の温度制限を緩和する「自動電源オフ温度」機能を装備している。
オーディオ機能では、カメラ内部の不要な音声を低減する「3マイクノイズ低減技術」を採用。高品質なオーディオ入力として、リニアPCM 24bit/4chオーディオ入力に対応するという。
デザイン面では、カメラ前面と上部2箇所に大型の動画撮影ボタンやタリーランプを配置。前面ボタンはVlogや自撮り撮影、縦位置での撮影時に好適だという。モードダイヤルも動画撮影中心の仕様としており、従来の “EOSシリーズ” とは異なる、快適な動画撮影のためのデザインとしている。また、ダイヤルやボタンへの機能の割り当て、ブームレバーのズーム速度など、ユーザー自身でカスタマイズが可能だ。


EOS R50 Vでは、ファインダーを無くすことで動画向けアクセサリーとの親和性が高い、フラットで直線的なデザインを採用している。カメラ側面に三脚用のネジ穴を用意するなど、スマートフォンで視聴しやすい縦動画の動画撮影も配慮されたデザインが施された。小型軽量ボディであることもポイントで、外形寸法は約119.3W×73.7H×45.2Dmm、質量は約370g。




レンズキットモデルのレンズ「RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ」は、レンズ単体が7月下旬に発売。価格はオープンだが、キヤノンオンラインショップでの販売予想税込価格で55,000円としている。

RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZは、「RFレンズ」として初めてパワーズームを内蔵。15段階でズームスピードを自由に設定することが可能だという。一定速度でなめらかなズームイン/ズームアウトの映像表現もできる。また、本体のズームレバーとレンズのズームリングのどちらでもズーム操作に対応する。
ズームリングは、バネの力でリングが自動で元の位置に戻る中央復帰型のズームリングを採用。ズームリングの回す角度でズームスピードを2段階から変化させることができる。
リードスクリュータイプのSTM(ステッピングモーター)を搭載しているため、静止画撮影時の高速・高精度なAFに加え、動画撮影時の静かでなめらかなAFも実現する。最短撮影距離は0.15m、最大撮影倍率は0.38倍、被写体のディテールに迫る近接撮影もフォローする。
静止画撮影においては、レンズ内光学式手ブレ補正機構によって、5.0段の手ブレ補正効果を実現している。ボディ内手ブレ補正を搭載したカメラとの協調制御を用いることで、中央7.5段/周辺5.5段まで手ブレ補正効果を利用できる。
主な仕様は、フィルターサイズが58mm、焦点距離(35mm換算)が14 - 30mm、F値がF4 - 6.3、レンズ構成が9群10枚、外形寸法が約69.6φ×62Dmm、質量が約181g。

「EOS R SYSTEM」の交換レンズである「RF レンズ」の大口径超広角単焦点レンズ「RF20mm F1.4 L VCM」は4月下旬に発売。価格はオープンだが、キヤノンオンラインショップでの販売予想税込価格は283,800円としている。
開放F値1.4による大きく美しいボケ味と焦点距離20mmの超広角を生かしたダイナミックな表現が可能であり、加えて夜間などの暗いシーンでもノイズの少ないクリアな撮影が可能だと謳うレンズ。リアフィルターを装着すれば、星空やイルミネーションの撮影でも点光源のひずみを抑えた撮影に対応する。
「非球面レンズ」をはじめ、「UDレンズ」「スーパーUDレンズ」を効果的に配置、特殊コーティング技術や「BR光学素子」も併せて採用することで、諸収差とフレア・ゴーストを低減し、画面全域で高画質を実現するという。
「VCM(ボイスコイルモーター)」によるリアフォーカス方式を採用。EOS Rシリーズのデュアルピクセル CMOS AFと合わせることで、高速・高精度なAF、動画撮影時の滑らかなピント合わせが可能。動画撮影時のフォーカスブリージングを抑制する光学設計により、画角変化の少ない安定した構図での動画撮影も成し得ている。
主な仕様は、フィルターサイズが67mm、レンズ構成が11群15枚、外形寸法が約76.5φ×99.3Dmm、質量が約519g。