ガジェット次回ミッション用の機体を前倒し
ロシア、冷却水漏れ「ソユーズ」の代替機を2月に無人打ち上げへ
ロシアの宇宙機関Roscosmosは、3月に飛行士をISSに送り込むために用意していたMS-23ソユーズの予定を1か月前倒して、2月に無人で打ち上げることを明らかにした。
昨年末、ISSにドッキング中のMS-22ソユーズ宇宙船で発生した冷却水漏れは、その宇宙船で帰還するはずだったロシアの飛行士2名とNASAの飛行士1名の帰還をどうするかという問題に発展した。冷却水がなくなった状態のまま帰還しようとすれば、再突入時の熱を逃がすことができなくなり、内部が危険な温度になるためだ。
もし故障したソユーズを使わないとなれば、考えられるオプションは、次回の有人輸送ミッション(MS-23)で使うソユーズの打ち上げ前倒しか、SpaceXが提供している飛行士輸送機であるCrew Dragonで帰還するかだった。ただ、現在ISSにドッキング中のCrew Dragon(Crew-5)の飛行士が着る宇宙服は、搭乗する飛行士それぞれの体型にフィットするように作られており、当初はソユーズの宇宙服で帰還することは困難だとの話も出ていた。また現在ISSに滞在しているCrew Dragonは設計上の定員である7人ではなく、4人分の座席しか装備されていない。そのため、そもそもソユーズのクルーが相乗りしても、座席も吊り革もない状態だ。
しかしその後、NASAはCrew Dragonでの帰還も実行可能な選択肢として残しており、あくまでも非常手段のひとつとしてRoscosmosと連絡を取り合っているとしている。
そして、記事執筆時点での最新情報によると、ロシアは3月のMS-23ミッションでクルーが乗り込む予定だったソユーズを、予定を早めて無人打ち上げすることを決めたという。Roscosmosの有人宇宙飛行プログラム担当者セルゲイ・クリカレフ氏は「排熱能力を失ったMS-22ソユーズをクルーとともに着陸させようとすると、熱条件が最大の問題になる」とし、船内と機器コンパートメントの温度が40℃以上に上昇し、それが少なくとも6時間は継続するため、飛行士にとって危険な状態になる可能性があると説明している。
新しく用意されるソユーズは、無人でISSへ送られ、ドッキング後はMS-22ソユーズから宇宙服など必要な機材を載せ替え、MS-22のクルーとともに帰還するという手立てになっている。また故障した方のソユーズも、無人で地上へ帰還させ、再突入時に内部温度がどのような状況になったかを確認する予定だ。
冷却水漏れが発生した原因については、クリカレフ氏は調査の結果、技術的な問題や製造上の問題ではないと発表。実験では直径約1mm、秒速7kmの粒子によって、今回の漏れと同様の被害が発生することがわかったとしている。
今回の問題が起こった当初は、軌道付近をふたご座流星群が通過する時期だったため、微細な隕石の衝突が冷却水漏れの原因になった可能性も取り沙汰されたが、穴の開いた方向はふたご座流星群の飛来する方向とは異なっている。そのため、原因が微細隕石によるものだとしても、その隕石は他の起源のものだと考えられる。
なお、NASAによると、代替ソユーズの打ち上げ日時や、これによって変わるであろうその後のロシアやNASAによるISSへの有人飛行、帰還ミッションのスケジュールは、今後数週間以内に発表される予定とのこと。どんな方法であれ、安全第一でクルーが無事に帰還できることを願うばかりだ。
Source: Space.com
via: The Verge
昨年末、ISSにドッキング中のMS-22ソユーズ宇宙船で発生した冷却水漏れは、その宇宙船で帰還するはずだったロシアの飛行士2名とNASAの飛行士1名の帰還をどうするかという問題に発展した。冷却水がなくなった状態のまま帰還しようとすれば、再突入時の熱を逃がすことができなくなり、内部が危険な温度になるためだ。
もし故障したソユーズを使わないとなれば、考えられるオプションは、次回の有人輸送ミッション(MS-23)で使うソユーズの打ち上げ前倒しか、SpaceXが提供している飛行士輸送機であるCrew Dragonで帰還するかだった。ただ、現在ISSにドッキング中のCrew Dragon(Crew-5)の飛行士が着る宇宙服は、搭乗する飛行士それぞれの体型にフィットするように作られており、当初はソユーズの宇宙服で帰還することは困難だとの話も出ていた。また現在ISSに滞在しているCrew Dragonは設計上の定員である7人ではなく、4人分の座席しか装備されていない。そのため、そもそもソユーズのクルーが相乗りしても、座席も吊り革もない状態だ。
しかしその後、NASAはCrew Dragonでの帰還も実行可能な選択肢として残しており、あくまでも非常手段のひとつとしてRoscosmosと連絡を取り合っているとしている。
そして、記事執筆時点での最新情報によると、ロシアは3月のMS-23ミッションでクルーが乗り込む予定だったソユーズを、予定を早めて無人打ち上げすることを決めたという。Roscosmosの有人宇宙飛行プログラム担当者セルゲイ・クリカレフ氏は「排熱能力を失ったMS-22ソユーズをクルーとともに着陸させようとすると、熱条件が最大の問題になる」とし、船内と機器コンパートメントの温度が40℃以上に上昇し、それが少なくとも6時間は継続するため、飛行士にとって危険な状態になる可能性があると説明している。
新しく用意されるソユーズは、無人でISSへ送られ、ドッキング後はMS-22ソユーズから宇宙服など必要な機材を載せ替え、MS-22のクルーとともに帰還するという手立てになっている。また故障した方のソユーズも、無人で地上へ帰還させ、再突入時に内部温度がどのような状況になったかを確認する予定だ。
冷却水漏れが発生した原因については、クリカレフ氏は調査の結果、技術的な問題や製造上の問題ではないと発表。実験では直径約1mm、秒速7kmの粒子によって、今回の漏れと同様の被害が発生することがわかったとしている。
今回の問題が起こった当初は、軌道付近をふたご座流星群が通過する時期だったため、微細な隕石の衝突が冷却水漏れの原因になった可能性も取り沙汰されたが、穴の開いた方向はふたご座流星群の飛来する方向とは異なっている。そのため、原因が微細隕石によるものだとしても、その隕石は他の起源のものだと考えられる。
なお、NASAによると、代替ソユーズの打ち上げ日時や、これによって変わるであろうその後のロシアやNASAによるISSへの有人飛行、帰還ミッションのスケジュールは、今後数週間以内に発表される予定とのこと。どんな方法であれ、安全第一でクルーが無事に帰還できることを願うばかりだ。
Source: Space.com
via: The Verge