クルマは見かけによらない
ファンで路面に吸い付くバットマンカー風ミニ電気自動車、グッドウッドのヒルクライムでコースレーコード【Gadget Gate】
英国で毎年開催されている自動車フェスティバル、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのヒルクライムイベントで、バットマンカー風の電気自動車McMurtry Speirling(マクマートリー・スピアリング)がコースレコードとなる39.08秒を叩き出した。
これまでの最速記録はフォルクスワーゲンのヒルクライム用電気自動車「ID.R」が2019年に記録した39.9秒だった。ただし、ID.Rの記録は練習走行時のものであったため、公式のコースレコードとしては1999年にまでさかのぼり、F1マシンのマクラーレンMP4/13による41.6秒ということになる。いずれにせよ、McMurtryのタイムはそれらを凌駕する俊足ぶりを示している。
全長3,200mm、幅1,500mmという軽自動車サイズのこのマシンは、まるでティム・バートンが監督した90年代の映画『バットマン』に登場したバットモービルを、寸詰まりのチョロQにしたような外観のシングルシーターEV。60kWhのバッテリーを搭載し、ファニーな外観とは裏腹に、車体下部に搭載するツインファンを回すことで、静止した状態で約2トンものダウンフォースを発生。後輪を駆動する2つのモーターは合計800馬力以上を発生し、0−60mph(96km/h)は1.5秒を下回る、小さな怪物マシンだ。
McMurtry Spierlingは昨年のグッドウッドにも出場したが、マシン調整が最適化し切れていなかったため、高速でコーナリングをする際にマシンがスライドし、タイムをロスしていた。あれから1年、テスト走行とファンの改良を進めてきたMcMurtryは、見事にレコードタイムをかっさらったというわけだ。
これまでプロトタイプカーとして開発を続けてきたSpierlingの詳細なスペックは後日公開される予定だが、カナダ・Molicel製のバッテリーを使用し、カーボンファイバー製の車体にアクティブ昨ペンション、6キャリパーのカーボン製ブレーキ、カスタムスペックのタイヤを装着していることが明らかにされている。車体重量は1000kgに満たない。電気自動車なのでエキゾーストノートは発生しないが、そのかわりに強力なファンのおかげで巨大な掃除機のような音がする。
McMurtryは数台のサーキット用マシンの製作を経て、公道を走れる市販車を開発する意向だ。公道を走行するマシンにはファンで路面に吸い付く特殊機構は必要ないかもしれないが、今回のグッドウッドでのレコードタイムは革新的な電気自動車メーカーとしての活動の弾みになることだろう。
ちなみに、車体下部からファンでエアを吸い出してダウンフォースを強制的に発生するシステムは、発想としては別段新しいものでもない。カリスマ的カーデザイナーのゴードン・マレーが1978年代にF1マシンのブラバムBT46Bで投入し、圧倒的な勝利を収めた(が、1戦の出走のみで後に規定違反扱いとされた)。ゴードン・マレーは現在、自身が設立したゴードン・マレー・オートモーティブでやはりファンを備える最新の高級スポーツカーT.50を開発している。そのほかにも、北米のスポーツカーレースCan-Amシリーズでは1970年にファンカーのシャパラル2Jが登場している。
Source: Goodwood Road & Racing(YouTube)
via: Road&Track
※この記事は、現在プレオープン中のテック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」から転載したものです。
これまでの最速記録はフォルクスワーゲンのヒルクライム用電気自動車「ID.R」が2019年に記録した39.9秒だった。ただし、ID.Rの記録は練習走行時のものであったため、公式のコースレコードとしては1999年にまでさかのぼり、F1マシンのマクラーレンMP4/13による41.6秒ということになる。いずれにせよ、McMurtryのタイムはそれらを凌駕する俊足ぶりを示している。
全長3,200mm、幅1,500mmという軽自動車サイズのこのマシンは、まるでティム・バートンが監督した90年代の映画『バットマン』に登場したバットモービルを、寸詰まりのチョロQにしたような外観のシングルシーターEV。60kWhのバッテリーを搭載し、ファニーな外観とは裏腹に、車体下部に搭載するツインファンを回すことで、静止した状態で約2トンものダウンフォースを発生。後輪を駆動する2つのモーターは合計800馬力以上を発生し、0−60mph(96km/h)は1.5秒を下回る、小さな怪物マシンだ。
McMurtry Spierlingは昨年のグッドウッドにも出場したが、マシン調整が最適化し切れていなかったため、高速でコーナリングをする際にマシンがスライドし、タイムをロスしていた。あれから1年、テスト走行とファンの改良を進めてきたMcMurtryは、見事にレコードタイムをかっさらったというわけだ。
これまでプロトタイプカーとして開発を続けてきたSpierlingの詳細なスペックは後日公開される予定だが、カナダ・Molicel製のバッテリーを使用し、カーボンファイバー製の車体にアクティブ昨ペンション、6キャリパーのカーボン製ブレーキ、カスタムスペックのタイヤを装着していることが明らかにされている。車体重量は1000kgに満たない。電気自動車なのでエキゾーストノートは発生しないが、そのかわりに強力なファンのおかげで巨大な掃除機のような音がする。
McMurtryは数台のサーキット用マシンの製作を経て、公道を走れる市販車を開発する意向だ。公道を走行するマシンにはファンで路面に吸い付く特殊機構は必要ないかもしれないが、今回のグッドウッドでのレコードタイムは革新的な電気自動車メーカーとしての活動の弾みになることだろう。
ちなみに、車体下部からファンでエアを吸い出してダウンフォースを強制的に発生するシステムは、発想としては別段新しいものでもない。カリスマ的カーデザイナーのゴードン・マレーが1978年代にF1マシンのブラバムBT46Bで投入し、圧倒的な勝利を収めた(が、1戦の出走のみで後に規定違反扱いとされた)。ゴードン・マレーは現在、自身が設立したゴードン・マレー・オートモーティブでやはりファンを備える最新の高級スポーツカーT.50を開発している。そのほかにも、北米のスポーツカーレースCan-Amシリーズでは1970年にファンカーのシャパラル2Jが登場している。
Source: Goodwood Road & Racing(YouTube)
via: Road&Track
※この記事は、現在プレオープン中のテック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」から転載したものです。