一条真人の体当たり実験室
PS3のDLNA機能 徹底活用術<後編> DLNA対応NASやレコーダー、どれが一番使いやすいか
●バッファローLS-XHLは通常の3倍速い?
現在、バッファローのDLNA対応HDDの代表的機種は、2008年末に登場した「LS-XHLシリーズ」(製品情報)だろう。このLS-XHLの最大の特徴は転送速度がきわめて高速であることで、公称最大速度は66MB/s。実転送速度で同社のUSB接続HDDより約63%高速だという。
現在のネットワーク対応ハードディスクの転送速度は意外に低速なのだが、そのボトルネックはCPUの処理能力の低さにある。LS-XHLはCPUを一般的なNASレベルの約3倍高速なCPUを搭載することで、超高速転送を実現している。
実際にギガビットイーサネット環境で、LS-XHLの1TBモデルの転送速度を、ドライブベンチマークソフト「CrystalDiskMark」(作者:hiyohiyo氏)で測定してみた。単体の数値ではわかりにくいと思うので、アイ・オー・データのHDL-GSの500GBモデルの数値も測定したが、テストによってはLS-XHLが5倍以上高速という結果になった。HDL-GSは500GBモデル、LS-XHLは1TBモデルなのでダイレクトな比較はできないが、LS-XHLがかなり高速なのは確かだ。
また、100BASEでの転送速度と比較すると、ギガビットイーサネットの高速性もよくわかる。ハイビジョン映像のデータなどはサイズが大きいため、このLS-XHLの高速性は実使用時の快適性に効いてくるだろう。
また、このLS-XHLの面白い機能としては、PC連動電源機能がある。ネットワーク対応HDDでありながら、PCと連動して自動的に電源がオンオフできるのはなかなか便利だ。
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・転送テストに使用したPC環境
OS:WindowsXP SP3
CPU:AMD Athron X2 3800+
メモリ:2GB
MB:ASUS M2N-PVVM
HDD:SATA
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ここまで見てきたように、DLNA対応HDDは機能や価格、サイズなどが多岐にわたる。どれを選ぶかは、まさにユーザーが何を求めるか、で決まってくると言える。リビングで使うならHS1がベストと思えるし、リモートアクセスがしたいならアイ・オー・データのHDL-GSしか選択肢がない。ローカル環境で使うならバッファローLS-XHLの高速性にアドバンテージがあるだろう。
●対応モデルが続々登場するDLNA対応ビデオレコーダー
ここからはDLNAサーバー機能を搭載したビデオレコーダーについて見ていこう。現在、DLNAサーバー機能を搭載したレコーダーはソニー、東芝、パナソニックからリリースされている(シャープにもDLNAサーバー機能を搭載しているものがあるが、写真再生に限定されている)。ソニーのBDZおよび東芝のRD各シリーズは、現行製品はすべて対応しているし、DIGAも30シリーズ以降のBWシリーズで搭載している。
ただし、PS3のDLNAクライアント機能は、DTCP-IPに対応していないため、アナログ録画しないとDLNA配信することができない。ちなみにソニーのレコーダーは他の2社と異なり、HDDに録画する場合はアナログ録画もAVCだけしか使えないが、PS3ならAVCをデコードすることができる。
どれもビデオの配信にしか対応していないため、その機能の差はわずかと言えるが、設定の簡単さで比較すると、BDZ>RD>DIGAの順で、BDZがもっとも設定が行いやすい。
DIGAの030シリーズではDLNAサーバー機能では接続するクライアントをMACアドレスで指定して、接続を許可する必要がある。セキュリティに配慮しているのだろうが、高セキュリティモード、普通モードなどとして、指定なしで接続するモードも用意して良いのではないかと思う。
もっとも、DIGAはBW030シリーズではじめてネットワーク機能を搭載したため、このあたりは今後、改善されていく可能性もある。今後の機能向上に期待したい。
執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。