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iPodのデジタル接続からDS再生まで − 山之内正氏が自宅視聴室でCHORD「Indigo」を聴いた

公開日 2010/01/05 15:12 オーディオ評論家・山之内正
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■iPodのデジタル接続からLINN DSまで − 山之内氏が自宅視聴室でIndigoのサウンドを聴いた


山之内氏の自宅試聴室でIndigoのテストを行った
同社のCDトランスポート「CODA」とのデュアルデータ接続では、一つひとつの音の粒子にきめ細かさと実在感があり、鮮度の高さが際立っている。その実在感は、派手な効果を狙って演出されたものではなく、楽器の響きや声の音色に実際に含まれる成分を忠実に引き出すことで実現している点が重要だ。ピアノやギーターなどのアコースティック楽器のサウンドは、息を呑むほどのリアリティがある。


山之内氏が愛用するLINNの「KLIMAX DS」
アナログ入力にはLINNの「KLIMAX DS」をつなぎ、プリアンプとしての基本性能を確認した。DSの特徴である透明な音場と広大なパースペクティブをストレートに伝えることはもちろんだが、KLIMAX DSならではの低重心のバランスも聴き取ることができた。CDをデジタル接続で楽しむ環境なら、1系統のアナログ入力に接続する利用スタイルはとても魅力的だ。


■本機の専用iPodでデジタル接続の高品位なサウンドが楽しめる

iPodドック部を大胆に造形した本機のデザインは強烈なインパクトがあり、設置しただけで部屋の雰囲気が一変するほどの存在感がある。そのiPodの音質は、専用機をデジタル接続したときのクオリティ感が群を抜いている。CDもかなわないような高S/Nを支えにして余裕のダイナミックレンジを発揮し、低重心のバランスと広大な音場感は、他のiPod対応コンポーネントとは一線を画している。

専用iPodに付属のドングルを装着すると、手元にiPodを置いたまま選曲し、ダイレクト接続と同等のクオリティを楽しむことができる。アンテナとの距離にはそれほど神経質になる必要はないが、激しく動き回る用法は避けるなど、ワイヤレスならではの注意点は守った方がよさそうだ。


■iPhone/iPod touchとのBluetooth接続によるリスニングも楽しめる

iPhone/iPod touchを持っているならBluetooth接続が快適だ。音の情報量や分解能は専用iPodに一歩譲るが、アナログ接続に比べるとレンジ感に余裕があり、ロスレス音源のメリットを実感できる。最初に接続するときはペアリング操作が必要だが、2回目以降は登録された本機をiPod/iPhone側で選ぶだけですぐに利用でき、使い勝手は良好だ。

iPhoneの音源をBluetooth経由で接続して再生。音質、操作性ともに良好だ

本機を導入するユーザーならデジタル接続とBluetoothでiPodを利用する組み合わせがお薦めだが、もちろん手持ちのiPodをアナログ接続で楽しむこともできる。本体のiPod用ドックを共有できるため、操作はセレクターをiPodアナログ入力に切り替えるだけでよい。力強いバランスの再生音に特徴があり、思いがけずスケールの大きなサウンドを楽しむことができた。

iPod touchをドック接続。アナログ接続での再生になるが、手持ちのiPodでもIndigoのパフォーマンスを楽しむことができる

iPhoneをドックに接続して聴いてみた。操作はセレクターをiPodアナログ入力に切り替えるだけでよい


iPodのアナログ接続にセレクターを切り換えたところ

Bluetooth接続の選択時


iPodデジタル接続時のセレクター表示

AES/EBU(XLRバランス)選択時の表示
パソコンとの組み合わせにはUSBインターフェースが役に立つ。ベルリンフィルのデジタルコンサートホールに代表される高音質配信サービスをはじめ、本機が活躍する場面は着実に増えているし、パソコン本体に保存した音源の再生にも手軽に利用できる。

PC内のオーディオソースもUSB接続で楽しめる

セレクターでUSBを選択時の表示

今後、オーディオグレードのUSB-DACをはじめ、多様なデジタルソースに対応した機器の利用価値は急速に高まることが予想される。いま、オーディオメーカー各社に真剣な対応が求められているが、そうした流れを先取りする製品として、本機の存在価値は大きい。



【Specifications】
●ハーモニックディストーション:<-103dB (1kHz,24bit@44.1kHz)、<-110dB (100Hz,24bit@44.1kHz) ●S/N:>120dB ●チャンネルセパレーション:125dB@1kHz ●ダイナミックレンジ:120dB ●デジタル入力:SPDIF(BNC同軸)×2、AES/EBU(XLRバランス)×2、TOSリンク×2、USB(B type)、Bluetooth A2DP、デジタルiPod Dock、ワイヤレスiPod digital ●アナログ入力:ステレオ(RCAアンバランス、XLRバランスのいずれかを選択)、アナログiPod Dock ●入力インピーダンス:47kΩ(アンバランス)、94kΩ(バランス) ●最大入力レベル:5.0Vrms(アンバランス)、10.0Vrms(バランス) ●アナログ出力:ステレオ(RCAアンバランス、XLRバランスのいずれかを選択)、ステレオラインレベル(RCAアンバランス、XLRバランスのいずれかを選択)、6.3mmステレオヘッドフォン ●出力インピーダンス:ステレオ出力100Ω、ステレオラインレベル出力75Ω ●USB Hub:USB(A type)×2 ●クロック出力(CHORD専用):1×44.1kHzワードクロック(BNC同軸)75Ω ●RAMバッファ:ゼロ/ミニマム/マキシマム 3切替 ●フェイズスイッチ:出力フェイズの正逆切替 ●入力サンプルレート:32〜96kHz(シングルデータモード)、176.4k,192kHz(デュアルデータモード) ●外形寸法:480W×125H×330Dmm(突起部含まず) ●質量:10kg(インテグラレッグ4本仕様)

【CHORD「Indigo」に関する問い合わせ先】
(株)タイムロード
TEL/03-5758-6070


◆筆者プロフィール 山之内 正 Tadashi Yamanouchi
神奈川県横浜市出身。東京都立大学理学部卒。在学時は原子物理学を専攻する。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。大学在学中よりコントラバス演奏を始め、東京フィルハーモニー交響楽団の吉川英幸氏に師事。現在も市民オーケストラ「八雲オーケストラ」に所属し、定期演奏会も開催する。

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