バリエーション広がる“Xaプレミアム”シリーズ
“TDK”の新イヤホン&ヘッドホンを速攻レビュー − 初のバランスド・アーマチュア型の音質は?
TDK Life on Recordブランドから初バランスド・アーマチュア型を採用したイヤホン「TH-EBA100BBK」、折りたたみ式のオーバーヘッドホン「TH-HB700BBK」が9月に発売される。今回は両モデルの試聴機による速報インプレッションをお届けしよう。
なお、各製品のスペック等に関する詳細についてはPhile-webのニュース記事を参照して欲しい。
>>イヤホン「TH-EBA100BBK」のニュース記事
>>ヘッドホン「TH-HB700BBK」のニュース記事
■気軽に使えるバランスド・アーマチュアイヤホン
同社のイヤホン製品には、プレミアムシリーズの「TH-EB900」、スタンダードモデルの“CLEF”シリーズや、スポーツタイプの“CLEF-A”シリーズなどがある。「TH-EBA100BBK」はシリーズ初のバランスド・アーマチュア方式で、フラグシップ機に位置づけられる。
本体はブラックのモノトーン調に整えられた落ち着きのあるデザイン。ハウジングの外側にシャンパンゴールドのパーツをあしらい、ブランドロゴをさりげなく配置している。本体色がブラックのiPhoneやAndroidスマートフォン、iPod touchとの組み合わせにマッチするカラーリングだ。
イヤホン部はスピーカーのノズル部を長めに取って、やや本体を屈曲させた形状にしたことで、装着時のフィット感を高めた。確かに耳の奥まで、すっとノズル部が滑り込むような感覚で装着感も心地良い。標準的な装着方法とループ掛けのどちらも、フィット感は快適だ。イヤホン本体がとても軽いので、装着時の負担が非常に少ないのもメリットだ。
「TH-EB900」と同じく、Complyのフォームチップが標準装備として1ペア付属するので、シリコンイヤーチップとリスニング感やサウンドの好みで使い分けても良いだろう。イヤホン全体としての造りによるものか、リスニング時でも外部音を適度に取り込んでくれるので、屋外で使うときにも安全性が高い。
ケーブルは平型なので、ポータブルプレーヤーに巻き付けて持ち歩いても、使いたい時にさっとケーブルを解くことができ、とても扱いやすかった。衣服にケーブルが触れる時、僅かにタッチノイズが乗るが、付属のクリップで衣服の適所に留めておけば、ノイズは気にならない程度に軽減できるはずだ。
Complyフォームチップを装着して試聴を開始した。一般的なシングルタイプのバランスド・アーマチュア型イヤホンと比較すると、クリアで伸びのある高域再生能力を備えながら、中低域のボリュームが充実していて、力感のあるサウンドだ。
キリンジのアルバム「KIRINJI 19982008 10th Anniversary disc_2 [TH-SIDE]」から『牡牛座ラプソディ』を聴く。冒頭のベースラインの演奏は、しっかりと引き締まっている。筋肉の引き締まったような、ボディのしっかりとした音だ。ボーカルとバンドの演奏が重なり合うパートは立体感の描き込みが克明。作品のマスタリングエンジニアの音づくりの意図が、より明確に伝わってくるような感覚が得られた。
Ann Sallyのアルバム「fo:rest」から『あたらしい朝』を聴く。アコースティック・ギターの煌びやかな響きが印象深い。ボーカルの声のビブラートや、ギターの弦が弾ける音など、人間が紡ぎ出す音の一つ一つにリアリティがある。
シリコンのイヤーチップに交換して、同じ曲を試聴してみた。サウンドの傾向は変わらないが、Complyで聴いた方がサウンドの密度が濃く、ボーカルの声はより実体感が高まる印象。かといってシリコンの音が痩せているというイメージではないので、このあたりは付属品などを色々試すのが良さそうだ
実売価格が12,800円前後という手頃な価格設定であることも、“初めてのバランスド・アーマチュア”イヤホンとして良い選択肢になると思う。
■スタイリッシュな外観とタイトなサウンドが楽しめるヘッドホン
TDK Life on Recordのヘッドホンシリーズには、EQコントローラーを搭載した「TH-ST800」、Kleer対応ワイヤレスヘッドホン「TH-WR700」が先行発売されている。新しく加わる「TH-HB700BBK」は、「ST800」よりも一回り本体がコンパクトになった折りたたみ式のポータブルヘッドホンで、シンプルな使いやすさを追求したモデルになっている。
装着方法はイヤーパッドを耳に乗せて聴くオン・ザ・イヤースタイル。フィット感はややタイトだが、長さ調整が可能なヘッドバンドと柔らかなイヤーパッドにより、長時間リスニングの負担を軽減できる仕様とした。イヤーパッドは遮音性も非常に高いので、外で音楽を聴く際にも音漏れを気にせずに楽しめる。ただし外部音がシャットアウトされるので、周囲の環境に気を配りながら使った方が良いだろう。
ケーブルは本体から48cmとやや短いが、これはスマートフォンやiPod nanoなど、コンパクトなプレーヤーを胸ポケットや肩に掛けたバッグに忍ばせて音楽を聴くのに最も適した長さを考慮しているのだという。実際に使ってみると、胸元からケーブルを引き出してくるとちょうど良い長さになる。不足の際には79cmの延長ケーブルを使うと、合わせて約1.2mの長さとなり、一般的なオーディオヘッドホンと同じ使い勝手が得られる。ケーブルは固めなこともあり、タッチノイズは非常に少ない。本体直出しの48cmのケーブルでプレーヤーにつないで聴く分には、衣服とケーブルとの接触がとても少ないので、ほぼタッチノイズとは無縁だ。
では本機のサウンドをチェックしていこう。まずはマドンナのアルバム「Confessions on the Dance Floor」から『Hung Up』を聴いた。ベース音はタイトで力強く、筋肉質な感じによく引き締まっている。ボーカルはエッジがシャープに整っており、シンセサイザーやドラムスの高域の音もしっかりと伸びて、気持ちよく突き抜ける。プログラミングのコーラスが重なり合う、終盤の音数の多いパートでも、演奏全体がゴチャっと混じり合ってしまうことなく、しかも全帯域に渡ってエネルギーに満ちている。音とダンスが体に深く浸透してくるイメージだ。
Ann Sallyの『あたらしい朝』は、暖かみのあるアコースティック・ギターの演奏に心落ち着かされる。ボーカルの声にもしっとりとした艶がある。イヤホンの「TH-EBA100BBK」と比べると、演奏全体の描き込みはシンプルで彫りは浅いが、そのぶんエネルギッシュなサウンドが楽しめるという利点を備えている。
なお、各製品のスペック等に関する詳細についてはPhile-webのニュース記事を参照して欲しい。
>>イヤホン「TH-EBA100BBK」のニュース記事
>>ヘッドホン「TH-HB700BBK」のニュース記事
■気軽に使えるバランスド・アーマチュアイヤホン
同社のイヤホン製品には、プレミアムシリーズの「TH-EB900」、スタンダードモデルの“CLEF”シリーズや、スポーツタイプの“CLEF-A”シリーズなどがある。「TH-EBA100BBK」はシリーズ初のバランスド・アーマチュア方式で、フラグシップ機に位置づけられる。
本体はブラックのモノトーン調に整えられた落ち着きのあるデザイン。ハウジングの外側にシャンパンゴールドのパーツをあしらい、ブランドロゴをさりげなく配置している。本体色がブラックのiPhoneやAndroidスマートフォン、iPod touchとの組み合わせにマッチするカラーリングだ。
イヤホン部はスピーカーのノズル部を長めに取って、やや本体を屈曲させた形状にしたことで、装着時のフィット感を高めた。確かに耳の奥まで、すっとノズル部が滑り込むような感覚で装着感も心地良い。標準的な装着方法とループ掛けのどちらも、フィット感は快適だ。イヤホン本体がとても軽いので、装着時の負担が非常に少ないのもメリットだ。
「TH-EB900」と同じく、Complyのフォームチップが標準装備として1ペア付属するので、シリコンイヤーチップとリスニング感やサウンドの好みで使い分けても良いだろう。イヤホン全体としての造りによるものか、リスニング時でも外部音を適度に取り込んでくれるので、屋外で使うときにも安全性が高い。
ケーブルは平型なので、ポータブルプレーヤーに巻き付けて持ち歩いても、使いたい時にさっとケーブルを解くことができ、とても扱いやすかった。衣服にケーブルが触れる時、僅かにタッチノイズが乗るが、付属のクリップで衣服の適所に留めておけば、ノイズは気にならない程度に軽減できるはずだ。
Complyフォームチップを装着して試聴を開始した。一般的なシングルタイプのバランスド・アーマチュア型イヤホンと比較すると、クリアで伸びのある高域再生能力を備えながら、中低域のボリュームが充実していて、力感のあるサウンドだ。
キリンジのアルバム「KIRINJI 19982008 10th Anniversary disc_2 [TH-SIDE]」から『牡牛座ラプソディ』を聴く。冒頭のベースラインの演奏は、しっかりと引き締まっている。筋肉の引き締まったような、ボディのしっかりとした音だ。ボーカルとバンドの演奏が重なり合うパートは立体感の描き込みが克明。作品のマスタリングエンジニアの音づくりの意図が、より明確に伝わってくるような感覚が得られた。
Ann Sallyのアルバム「fo:rest」から『あたらしい朝』を聴く。アコースティック・ギターの煌びやかな響きが印象深い。ボーカルの声のビブラートや、ギターの弦が弾ける音など、人間が紡ぎ出す音の一つ一つにリアリティがある。
シリコンのイヤーチップに交換して、同じ曲を試聴してみた。サウンドの傾向は変わらないが、Complyで聴いた方がサウンドの密度が濃く、ボーカルの声はより実体感が高まる印象。かといってシリコンの音が痩せているというイメージではないので、このあたりは付属品などを色々試すのが良さそうだ
実売価格が12,800円前後という手頃な価格設定であることも、“初めてのバランスド・アーマチュア”イヤホンとして良い選択肢になると思う。
■スタイリッシュな外観とタイトなサウンドが楽しめるヘッドホン
TDK Life on Recordのヘッドホンシリーズには、EQコントローラーを搭載した「TH-ST800」、Kleer対応ワイヤレスヘッドホン「TH-WR700」が先行発売されている。新しく加わる「TH-HB700BBK」は、「ST800」よりも一回り本体がコンパクトになった折りたたみ式のポータブルヘッドホンで、シンプルな使いやすさを追求したモデルになっている。
装着方法はイヤーパッドを耳に乗せて聴くオン・ザ・イヤースタイル。フィット感はややタイトだが、長さ調整が可能なヘッドバンドと柔らかなイヤーパッドにより、長時間リスニングの負担を軽減できる仕様とした。イヤーパッドは遮音性も非常に高いので、外で音楽を聴く際にも音漏れを気にせずに楽しめる。ただし外部音がシャットアウトされるので、周囲の環境に気を配りながら使った方が良いだろう。
ケーブルは本体から48cmとやや短いが、これはスマートフォンやiPod nanoなど、コンパクトなプレーヤーを胸ポケットや肩に掛けたバッグに忍ばせて音楽を聴くのに最も適した長さを考慮しているのだという。実際に使ってみると、胸元からケーブルを引き出してくるとちょうど良い長さになる。不足の際には79cmの延長ケーブルを使うと、合わせて約1.2mの長さとなり、一般的なオーディオヘッドホンと同じ使い勝手が得られる。ケーブルは固めなこともあり、タッチノイズは非常に少ない。本体直出しの48cmのケーブルでプレーヤーにつないで聴く分には、衣服とケーブルとの接触がとても少ないので、ほぼタッチノイズとは無縁だ。
では本機のサウンドをチェックしていこう。まずはマドンナのアルバム「Confessions on the Dance Floor」から『Hung Up』を聴いた。ベース音はタイトで力強く、筋肉質な感じによく引き締まっている。ボーカルはエッジがシャープに整っており、シンセサイザーやドラムスの高域の音もしっかりと伸びて、気持ちよく突き抜ける。プログラミングのコーラスが重なり合う、終盤の音数の多いパートでも、演奏全体がゴチャっと混じり合ってしまうことなく、しかも全帯域に渡ってエネルギーに満ちている。音とダンスが体に深く浸透してくるイメージだ。
Ann Sallyの『あたらしい朝』は、暖かみのあるアコースティック・ギターの演奏に心落ち着かされる。ボーカルの声にもしっとりとした艶がある。イヤホンの「TH-EBA100BBK」と比べると、演奏全体の描き込みはシンプルで彫りは浅いが、そのぶんエネルギッシュなサウンドが楽しめるという利点を備えている。