注目製品レビュー
手軽に高品位サウンドが楽しめるポータブルスピーカー − GENELEC「6000A Tanaka Model」を聴く
GENELECのコンシューマー向けポータブルアクティブスピーカー「6000A Tanaka Model」が発売され、話題を集めている。今回は本機のサウンド・インプレッションをライターの岩井喬氏がレポートする。GENELECの本格サウンドが楽しめるコンパクトスピーカーの上手な使いこなし方についても検証を行った。
手軽にGENELECのプロフェッショナルなサウンドが楽しめるポータブルスピーカー
「GENELEC(ジェネレック)」と、エルメス『マレット・タナカ』のデザインで知られる田中肇氏とのコラボレーションによって生まれたポータブルスピーカーが「6000A Tanaka Model」である。田中氏が「GENELEC」本社のあるフィンランドに訪れた折、創業者イルポ・マルチカイネン氏に“ポータブルプレーヤーと接続できる最高の携帯型アクティブスピーカーができないか”と相談し、そのビジョンに意気投合して生まれたモデルであるそうだ。
「GENELEC」は1978年に創業し、その当時から“アンプとスピーカーは一体構造であるべき”という信念を持って製品を開発してきたブランドである。今では世界各国の録音スタジオにパワードモニターとして納入され、レコーディングエンジニアからも厚い信頼を得ている“プロ用モニターの名門”といえよう。アップルの故CEO、スティーブ・ジョブズ氏も自身のデスクトップで愛用したスピーカーブランドでもあるという。
「6000A Tanaka Model」の機能性について紹介していこう。見た目の通りこれ以上ないスマートなデザインで、円筒状の本体の両端にスピーカーが埋め込まれている。
スタンドは差し込み式で、キャビネットと同じアルミダイキャスト製だ。電源はACアダプター供給で、外部のポータブルプレーヤーにも電源供給が可能なUSB端子も設けられている。
音声入力はステレオミニジャックの1系統のみで、付属リモコンから音量レベルが調節できる。どんな場所でも簡単にセットできる手軽さも魅力で、iPhoneやiPodなどの携帯プレーヤー系、そしてPCなどを接続する以外に、サウンドが貧弱といわれることが多い薄型TVと組み合わせるのも有効だろう。持ち運びにも便利なキャリングバックも付属、スタンド底部にはネジ穴が設けられているので、壁掛けにも対応できそうだ。
このスタイルだと無指向性システムと思われるかもしれないが、厳密に言うと左右別々となっており、本体下側にあるシリアルナンバーが右側に来る向きに置くとL/Rが本来の定位となる。
音楽のジャンルを選ばないナチュラルな音色
サウンドはまさに「GENELEC」アクティブスピーカー直系のもので、素直でややドライな傾向だ。ボーカルはすっきりと声が通るが肉付きも良く、存在感がある。丁寧な描写と程よい解像感、S/Nの良さを持っており、クラシックもオーケストラの旋律は伸びよく、低域も制動の効いたどっしりとした響きを出してくる。
ジャズピアノは爽やかな浮き立ちで、粒立ちまろやかなタッチが広がってゆく。ロックのディストーションギターは金属のハリを伴った重みのあるリフを聴かせる。基本的にナチュラルな傾向で付帯感のない音色なので、ジャンルを選ばず楽しむことができるだろう。
ただし、いくら「GENELEC」であるとはいえ、定位感は甘めなのでモニターのような使い方は難しそうだ。試聴ではラックの上面においてiPodを繋いで鳴らしていたのだが、ラックの下段にも入るくらいのサイズであり、下段で鳴らした場合も想像よりもこもりが少なく、より低域が豊かに響いてBGMを流すシステムとしてはちょうど良いサウンドバランスである。これならTVラックの中にセットしたとしても程よい明瞭度が得られるかもしれない。
アイデア次第でさらに面白い鳴らしこみも期待できるユニークな製品であるといえるだろう。
【問い合わせ先】
日本コンテンツネットワーク(株)
TEL/03-5466-7787
◆岩井 喬 プロフィール
プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。
手軽にGENELECのプロフェッショナルなサウンドが楽しめるポータブルスピーカー
「GENELEC(ジェネレック)」と、エルメス『マレット・タナカ』のデザインで知られる田中肇氏とのコラボレーションによって生まれたポータブルスピーカーが「6000A Tanaka Model」である。田中氏が「GENELEC」本社のあるフィンランドに訪れた折、創業者イルポ・マルチカイネン氏に“ポータブルプレーヤーと接続できる最高の携帯型アクティブスピーカーができないか”と相談し、そのビジョンに意気投合して生まれたモデルであるそうだ。
「GENELEC」は1978年に創業し、その当時から“アンプとスピーカーは一体構造であるべき”という信念を持って製品を開発してきたブランドである。今では世界各国の録音スタジオにパワードモニターとして納入され、レコーディングエンジニアからも厚い信頼を得ている“プロ用モニターの名門”といえよう。アップルの故CEO、スティーブ・ジョブズ氏も自身のデスクトップで愛用したスピーカーブランドでもあるという。
「6000A Tanaka Model」の機能性について紹介していこう。見た目の通りこれ以上ないスマートなデザインで、円筒状の本体の両端にスピーカーが埋め込まれている。
スタンドは差し込み式で、キャビネットと同じアルミダイキャスト製だ。電源はACアダプター供給で、外部のポータブルプレーヤーにも電源供給が可能なUSB端子も設けられている。
音声入力はステレオミニジャックの1系統のみで、付属リモコンから音量レベルが調節できる。どんな場所でも簡単にセットできる手軽さも魅力で、iPhoneやiPodなどの携帯プレーヤー系、そしてPCなどを接続する以外に、サウンドが貧弱といわれることが多い薄型TVと組み合わせるのも有効だろう。持ち運びにも便利なキャリングバックも付属、スタンド底部にはネジ穴が設けられているので、壁掛けにも対応できそうだ。
このスタイルだと無指向性システムと思われるかもしれないが、厳密に言うと左右別々となっており、本体下側にあるシリアルナンバーが右側に来る向きに置くとL/Rが本来の定位となる。
音楽のジャンルを選ばないナチュラルな音色
サウンドはまさに「GENELEC」アクティブスピーカー直系のもので、素直でややドライな傾向だ。ボーカルはすっきりと声が通るが肉付きも良く、存在感がある。丁寧な描写と程よい解像感、S/Nの良さを持っており、クラシックもオーケストラの旋律は伸びよく、低域も制動の効いたどっしりとした響きを出してくる。
ジャズピアノは爽やかな浮き立ちで、粒立ちまろやかなタッチが広がってゆく。ロックのディストーションギターは金属のハリを伴った重みのあるリフを聴かせる。基本的にナチュラルな傾向で付帯感のない音色なので、ジャンルを選ばず楽しむことができるだろう。
ただし、いくら「GENELEC」であるとはいえ、定位感は甘めなのでモニターのような使い方は難しそうだ。試聴ではラックの上面においてiPodを繋いで鳴らしていたのだが、ラックの下段にも入るくらいのサイズであり、下段で鳴らした場合も想像よりもこもりが少なく、より低域が豊かに響いてBGMを流すシステムとしてはちょうど良いサウンドバランスである。これならTVラックの中にセットしたとしても程よい明瞭度が得られるかもしれない。
アイデア次第でさらに面白い鳴らしこみも期待できるユニークな製品であるといえるだろう。
【問い合わせ先】
日本コンテンツネットワーク(株)
TEL/03-5466-7787
◆岩井 喬 プロフィール
プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。