HOME > レビュー > 私はこうして楽しんだ!デノン「DNP-720SE」ユーザーレポート【第2回】

読者4名の皆様が迫る

私はこうして楽しんだ!デノン「DNP-720SE」ユーザーレポート【第2回】

公開日 2012/01/24 10:15 構成:Phile-web編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

「気持よく自然に音楽が聞ける」
(東京都/ザック様)

まず、我が家のオーディオ環境について少しお話しますと、PC(iMac)のiTunesに溜め込んだCD音源を聴くのに、家内と3人の子供たちが各一台づつ、iPod nano、iPod touch、iPod classicを利用。さらに私がiPhone 4Sと古くなったiPhone 3Gを所有。加えて先日、家族へのクリスマスプレゼントとしてiPad2を購入と、まさにApple製品に取り囲まれています。これにバックアップ目的で導入した、DLNA対応のNAS(Buffaro LS-WX1.0TL/R1)とWiFi環境があります。

こうしてみると、環境的にはサーバー(DMS)とコントローラー(DMC)に当たる機器は既に所有していることになりますので、あとは、サーバーのコンテンツを受け取って再生するためのプレーヤー(DMP)、レンダラー(DMR)に当たるネットワークオーディオプレーヤーやAVアンプさえあれば、いつでもPCオーディオや、NASを利用したネットワークオーディオへの移行、AirPlay機能の活用もできる状況にはありました。

ところが最近、我が家が行っているCD音源のリスニング方法はといいますと、私こそリビングでPCから光デジタルオーディオケーブルでデジタルアンプか、オーディオ・テクニカのワイヤレス ヘッドフォンアンプにつないで、iTunesのデータ(AACかアップルロスレス)をPC画面か、iPhoneのRemoteアプリで再生するというスタイルをとっていました。家内や子供たちはCDプレーヤーが故障して以来、操作方法が面倒ということで、比較的音がいいBDレコーダー(PANASONIC“DIGA”の「DMR-BW970」)やPS3での再生すらほとんどせず、CDディスクは自室のPCかコンポで再生するか、iPod用スピーカーで再生しているような環境にありました。


我が家の秘密兵器となり得る新たなオーディオ機器の導入へ

そこで、家族への汚名挽回を期して、ある作戦を開始しました。名付けて「Killer Queen」作戦です。

もともと、リビングのAV機器が多くなり、リモコンの再生操作が分かりづらいとの不満が家族から噴出していたこともあったので、まずiPhoneより大きな画面でリモコン操作を一元管理できるようにiPad2を導入しました。さらにこれと合わせて、我が家にとって秘密兵器となるだろう新たなオーディオ機器、名付けて「Killer Queen」を導入することで、自分でも納得できずにいたCD音源の大幅な音質改善とともに、再生操作や音源データ保管の方法を改善して、家族の誰でも分かりやすいように整理しようと検討をはじめていたところでした。

我が家にとっての「Killer Queen」は、PCオーディオに特定してUSB-DAC付のプリメインアンプにしておくか、AirPlayもネットワークオーディオもできるネットワークオーディオプレーヤーにするか、SACDのようなディスク再生も考えてネットワーク機能のあるユニバーサルプレーヤーとAVアンプにするか、とりあえずApple TVだけにしておくかと、実際にオーディオ店で比較試聴してみたり、雑誌やネットの情報を見たりしながら検討していましたが、堂々巡りして考えがまとまらずにいました。

そんなときです。なんとタイミングがいいことか。今回のデノン「DNP-720SE」のモニターレポートの企画に参加する機会をいただけることになりました。

というのも、オーディオ店でネットワークオーディオプレーヤーの比較試聴をした際に、価格も一番安く、かつ機能面で必要なものはほぼフルカバーされている。つまり「安くて美味しいもの」でありながら、カタログスペック上、一部(再生できるビット/サンプリングなど)で他社製品に負けていることから、当然、音質は期待できないのかなと思いきや、意外にも比較機器の中でも、一・二番目に数えられるほど、気持よく自然に音楽が聴けたことに驚いてしまい、店員に間違いがないか聞き返したことがあったからです。

そのとき感じたのは、自分の音の好みや試聴した曲の相性もあるとは思いますが、それにしてもスペックや価格では測れない、Hi-Fiオーディオで培ってきた技術やノウハウが違うのだろうかということと、機器選択はスペックに頼らずに必ず自分の耳で試聴してから決めるべきということでした。もちろんその時点で、我が家の「Killer Queen」最有力候補として、デノンの「DNP-720SE」は気になる存在になっておりましたが…。

それでは、ここからはテストで確認できた内容について、順に記載していくことにします。


1. 無線LANでの接続は通信環境により不安定なこともあるので、音質重視ならば有線LANでの接続を選ぶべき

最初はWiFi環境を活かして無線LANでつないで試聴していましたが、そもそも我が家ではパソコンでの通信時にも同じなのですが、たまに音飛びを起こしてしまい、ストレスを感じる状況だったので、すぐさま有線での接続に変更しました。どうもこれは720SEの性能というより、我家の通信環境による現象と思われます。いずれの場合も設定は簡単にできますし、接続時の音質は大変自然で気持よく聴けてましたので、残念ですが仕方ないと思います。このように無線LANでの接続は通信環境を選ぶようですので、音質重視ならば有線LANでの接続を選ぶべきなのでしょう。

実は以前にも、もう10年近く前になりますが、他社製品で価格も本機の10倍くらいしたと思いますが、CD録音再生機能付きでHDDに取り込んだCD音源までのデータをGraceNoteを使って管理できる、当時としては非常に高音質の製品を試したことがありました。本体のサーバーから、子機に音声をワイヤレスで送信できる製品でしたが、やはり当時も我が家では、通信切断が頻発するような状況から、導入を断念したことがありました。

あれから10年近く経って、技術もはるかに進歩して、さらに高品質な音楽再生が低価格で実現できる時代になり、720SEのような良い製品が登場しました。そして我が家の通信環境も、光回線にWi-Fi環境まで実現していますが、それでもやはりまだHi-Fiオーディオに耐え得るところまでにないということでしょうか。本当に残念!


2. フロントパネルに配置されたUSB端子は大変重宝、しかも高音質再生が可能なんです!


リビングのAVボードの上に設置した720SEフロントパネルのUSB端子にiPad 2をデジタル接続し、お気に入りのJazz Singer
フロントパネルに配置されたUSB端子にiPhoneやiPad2を接続して、圧縮音源のAAC(256kbpsエンコード)やアップルロスレスの曲を試聴してみましたが、想像していた以上に音質が良く、ある意味で拍子抜けするほどでした。特に圧縮音源の質はそれなりかなと期待はしていなかったのですが、CDなどの物理的なディスクメディアではなく、直接デジタル接続したデータを処理することの優位性とは、このようなことなのかもしれません。実売価格3万円程度のものでも、本格的なHi-Fiオーディオ機器としてしっかりと味付けされると、こうも手軽に高音質を手に入れられるものなんですね。PCから光デジタルオーディオケーブルで直接、デジタルアンプにつなげて聞いていた音質とは全く違っており、ピュアオーディオ・クオリティとはこういうものなのかと改めて実感しました。

また、このUSB端子からはiPhoneやiPad2の充電ができるため、現在、我が家では取り合いとなるほど、重宝しているというおまけがつきます。はじめはこのUSB端子はおまけ程度のものと思っていましたが、今回は試していませんが、USBメモリーに保存したハイレゾ音源も再生できるようですし、実際には相当重宝する代物になりそうです。


3. AirPlayの音質は、CDクオリティまでだが、DLNA再生やCDディスク再生と比べても遜色ないどころか相当高音質!しかも操作はすこぶる安定!

AirPlayの使い勝手については一番気になっていたことでしたが、試聴結果からすると、全く問題ないどころが、積極的に利用したほうがよいと実感しました。

比較試聴の観点から、まず同じ楽曲(最近ハマっている、Chinese AmericanのJazz SingerであるBei Xuの「Both Sides Now」を選択)のCD音源(44.1KHz/16bit相当のデータ)を利用して、

【a】BDレコーダー(PANASONIC DMR-BW970)でCDをダイレクト再生
【b】BDレコーダーのHDDにCD音源の録音後に再生
【c】NASに保存してあるアップルロスレス(ALAC)の音源を720SEの付属リモコンを使って再生
【d】iPad2のMusicアプリでアップルロスレスをAirPlay再生
【e】iPhone4SのMusicアプリでAAC(iTunesPlus設定)をAirPlay再生
【f】iPad2のRemoteアプリでPC(iMac)のiTunesを操作してNASに保存してあるアップルロスレスをAirPlay再生
【g】NASに保存してあるアップルロスレス音源を、iPad2のPlugPlayer(DMC)をレンダラー(DMR)に指定して、iPad2経由でAirPlay再生
【h】PC(iMac)のiTunesを直接操作してNASに保存してあるアップルロスレスをAirPlay再生

という具合に、全部で8通りの方法で聴き比べてみました。


iPad 2でよく利用しているオーディオやラジオのアプリ
いずれの場合も、光デジタルオーディオケーブル接続でヘッドフォンアンプをスルーして、デジタルアンプに接続して比較試聴しましたが、何度も聴き比べているうちに、それほどの音質差がなく、どれも高音質で気持よく音楽を楽しめるレベルであることに気がつきました。

最初は、当然差があるものと考えていたため、(a)/(b)のケースではアナログアンプも同時についていたことに気がつかず、音の広がり感もやはり違うものと勘違いしてしまいました。実際には先入観でそう感じていただけで、(a)/(b)以外のケースでも、CD音源水準のビットパーフェクト送信が達成されているようなので、当然といえば当然なのでしょうが、遜色ないどころか720SEを経由している分、音の透明感、鮮度が増して、音楽をより楽しめる音色になっていました。

人間の脳の仕組みにはメモリー効果というものがあり、同じ曲を何度も聴いているうちに覚えてしまい、1番目より2番目、2番目より3番目に聴いた音のほうがよく聴こえてしまうそうです。そのため、音質の悪いものから良いものの順に聴いていけば問題ありませんが、その反対の順番に聴いていった場合には、スペック上の音質水準とは全く逆の結果になることすらあり得るらしいです。

ところで、比較試聴の8通りのパターンのうち、(d)から(h)の5通りが「AirPlay」による再生ですが、このように色んな再生方法が可能なほど「AirPlay」はとても「簡単、手軽、便利」で、しかもいずれの方法や経路でも、非常に操作が「安定」しています。接続できたりできなったりすることもなく、常に「高音質」で利用できるので万人に勧められます。

iPad2の音源をMusicアプリでAirPlay再生中

iPad2の音源をPlugPlayerアプリでAirPlay再生中

ただその「簡単、手軽、便利」さの反面、同じことが似たような画面の複数のアプリ(例えばiPhoneやiPad2のMusicアプリとRemoteアプリ、PCのiTunes)でできてしまうため、自分は出来ても、家族にとっては混乱の元になるかもしれないと感じました。そのため、複数の使い方を一度試した上で、これが便利、あるいはわかりやすいと決めた方法を家族に勧めるべきではないでしょうか。


4. NASからのDLNA再生で高音質なハイレゾ音源の再生が可能!ただ、サーバーの設定やコントローラーとの相性に課題あり

NASからのDLNA再生では、いちいちPCを起動することもなく、直接NAS内の楽曲が再生できて、実に静かに、心地よい音で耳と心にしっくりと音楽が鳴ってくれるという感じです。厳密には、PCでの再生のようにノイズ等がない分、同じCD音源でもさらに高音質での再生ができているのもあるとは思いますが、何よりもこの静かであることがとても気持いいです。

さらに、AirPlayでは対応していない96KHz/24bit等のハイレゾ音源の再生ができるため、よりいっそうの高音質再生が楽しめます。とはいっても、我が家の環境ではまだ積極的にハイレゾ音源の再生を進めるというよりは、48kHz/44.1kHzのCD音源の再生環境をしっかり作り上げることのほうが優先される状況なのですが、それでも、せっかくの機会なので、今回少しだけハイレゾ音源の再生もしてみました。

NetAudio誌の付録についていましたT-TOC RecordsのHigh Qualityマスター音源から5曲ほど、96kHz/24bitや44.1kHz/16bit のWAV、MP3データの比較試聴をしましたが、まるで薄いベールが剥がれたかのように、さすがに96/24ハイサンプリング音源だと、演奏に血が通って雰囲気がグッと生々しくなった感じが音からだけでなく、何となく雰囲気で肌にも伝わってきました。そういえば公表スペックでは、カバーされてないはずの96kHz/24bit のWAVのデータでしたが、難なく再生できてしまいましたね、あれ?

但し、我が家でこのレベルの音源を普通に再生できる環境を整えるには、クリアすべき課題がいくつもあり、もう少し時間が必要そうですので、先の楽しみに残しておくことにしようと思います。

というのも、我が家の環境ではハイレゾ音源再生以前に、CD音源のDLNA再生においても、いくつかトラブルが発生しているからです。まず、NASに保管したデータはPCのiTunesに取り込んだAACやアップルロスレスのデータをバックアップしたものが中心なので、フォルダーの持ち方もそのままです。今回はまず、720SEの付属リモコンや「Denon Remote App」のSource選択で、Music Server機能からDLNA再生をしたところ、メニューにあるどの区分選択からも途中の階層までは選択できるのですが、最終的にちゃんと楽曲の選択までできるものと、楽曲データは確かにNAS内にあるのに、なぜか楽曲選択の段階で「-empty-」の表示になり、選択できないものが結構ありました。このような状況ですので、アップルロスレス以外のフォーマットでのリッピングや、詳細タグ情報の追加などを試みたり、もう一度サーバー内のデータを整備し直す必要がありそうなのです。


iPhone4Sの音源をDenon Remote AppでAirPlay再生中

Denon Remote AppのMedia Server機能でNASの楽曲を選択しているところ
でも、この作業はネットワークオーディオへの移行を正式に進めるのであれば、避けて通れない過程なのだと思います。いい機会ととらえたいと思います。そう思うと結構、これからの作業も楽しくなるかもしれません。さらなる高音質再生を目指して、保存するファイルフォーマットを変更することだって、この際必要なのかもしれません。といっても、我が家の状況からすると、iPodの利用を前提としたiTunesでのデータ管理が必要ですので、WAVやFLACというよりはせいぜいALAC(アップルロスレス)に落ち着きそうですが。

最近、Appleからアップルロスレスのオープンソース化が発表されたり、Linnなどの一部の配信サイトでALACでの配信がされ始めていますので、いずれ配信サイトもAV機器も、ALAC対応が当たり前になるのではないでしょうか。デノンの対応にも期待したいところです。

またNAS再生のデジタルメディアコントローラー(DMC)として、iPad 2にPlugPlayerをインストールして利用してみました。デジタルメディアサーバー(DMS)にNASを、デジタルメディアレンダラー(DMR)に720SEを指定して、プレイリストを作成した後にいざ再生しようとしたところ、720SE本体のフロントパネルの表示画面にはしっかり選択した曲情報が表示されるところまではいいのですが、0%のまま、再生が待てども始まらないのです。機嫌が悪くなるとPlugPlayerの画面が凍り付いて落ちてしまうことすらあります。

また、サーバー、レンダラーをiPad 2に指定した場合には普通に表示されるArtworkの表示もされません。この現象は、720SEとサーバーとの相性もあるんでしょうが、PlugPlayerのバグの可能性も高いと思います。いずれにしてもAirPlayの安定度と比較すると、使い勝手にまだまだ問題がありそうですね。


5. インターネットラジオの世界がまたすごいことになっていたのですね? 知らなかった!

インターネットラジオ機能は、本体メニューの「Source」選択から「Internet Radio」を選択し、ジャンル別・地域別など、簡単に好みのラジオ局の番組を選択できるようになっています。使い勝手のところまでは普通ぐらいに感じていましたが、やはり音質が違いました。

Denon Remote AppでInternet Radio機能のラジオ局を選択中

Internet Radio再生中のDNP-720SEフロントパネルの表示

Linn Classic、Linn Jazz、OTTAVA、AVROといったHigh Quality番組は、音質も相当に良く、BGMとして聴くのには申し分ない水準で、CDでなく、これでもいいじゃないかと思えるほどです。

学生の頃、お金を貯めて短波ラジオを買って、世界のラジオ局の周波数に合わせて、お気に入りの放送を聴いていた頃が懐かしく思われました。その時の音質に比べると嘘のように高音質であり、いとも簡単にあらゆるジャンルの番組にアクセスできる環境は素晴らしいと思います。このインターネットラジオとFM/AMチューナーの機能だけでも、720SEを買う価値があるとさえ思えます。

また、720SE本体のフロントパネルのメニューボタンや付属のリモコンでのラジオ局選択も、反応が相当俊敏でとても快適な操作水準といえます。ただし、もしもiPhoneやiPad2、特にiPad2を利用されている方ならば、さらにインターネットラジオの世界を楽しめるアプリがあります。

「Radiko」はとても有名ですが、「TuneIn Radio」や「AccuRadio」の機能は圧巻です。アートワークや文字情報の表示はもちろん、非常に細分化されたジャンルや選曲センスの良さ、聴いているラジオ局や楽曲からおすすめの局をアドバイスしてくれるなど、機能満載のアプリです。その上、これらのアプリの音声や文字情報も、AirPlay機能で送信して720SEから高音質で聴けるのですから、もう最高です。

iPad2でAirPlay再生中のラジオアプリ「AccuRadio」

同じくiPad2でAirPlay再生中の「TuneInRadio」

インターネットラジオやFM/AMチューナーの再生機能においても、Radiko、TuneIn RadioやAccuRadioの音源をAirPlay機能で720SEに飛ばして再生する音質は、720SE本体から直接再生する音質と比べても、遜色なく非常に高音質だと思います。

Internet Radio放送をAirPlay再生中の、DNP-720SE本体のフロントパネル表示

正直なところ、これらのアプリのiPad2での操作性と、AirPlay機能を利用した720SEの音質を知ったことで、iPad2をコントローラーとして720SEをプレーヤーに利用することが、リビングオーディオの一つの理想型に近いものなのではないかと、自分勝手かもしれませんが、そう感じてしまったのです。それほどまでにこの2つの機器は、「2つで1つ」となる切っても切れない、相棒のような関係と感じました。


6. 試聴テストを終えてみて感じたことや要望

ここまでテストを進めてみますと、普通のHi-Fiオーディオのように機器を設置すれば問題なく再生できて、何かトラブルがあっても、機器本体の問題とすぐに分かるという世界ではないのが、PCオーディオやネットワークオーディオだということがよくわかってきました。音質的には何の不満も感じられません。720SE本体の機能や音質だけを取れば、既に相当完成度が高いものと考えます。実に心地よい音で、音楽が楽しく聴ける、オーディオ専門メーカーの名に恥じないHi-Fiオーディオ機器だと思います。仕上げの良さも素晴らしく、とても3万円前後の価格の機器とは思えません。

PCを音源とするPCオーディオを例にとれば、PCを新しく買うなり、最新のOSに換えるだけでもノイズがなくなり、動作が速くなることで、また720SEから再生させる音質は今よりもずっと向上するはずです。また我が家で言うならば、iTunesに追加して再生エンジンを追加購入するだけでも、これまた音質が向上すると思います。NASのフォルダーやデータの整理、保存フォーマットの変更もしかりです。

普通のオーディオのように、メーカーが作ったスピーカーやアンプを換えたり、DACを加えて簡単にいい音を手にすること以外に、この世界はユーザー側もやることが沢山あり、自分なりに工夫して人と違う方法を発見することで、満足のいくレベルに到達できる新しい分野のオーディオなのかも知れません。それほどまでに奥の深い世界に、しばらくの期間でしたが、モニターとして参加できる機会をいただけたことを感謝しています。



最後にいちユーザーとしての要望をいくつかあげさせてもらいますので、ご検討のほど、よろしくお願い致します。

その1:DLNA機能でのアップルロスレス再生への対応
これが実現すれば、iOSデバイスユーザーにとっては朗報になると思います。

その2:Denon Remote AppのiPad2対応

その3:Denon Remote Appの検索機能の改善等、高機能化や操作性の改善

その2と3はセットでお願いしたいのですが、「(5)インターネットラジオ」のところで報告しました通り、iPad2のコントローラーとしての潜在能力は相当なものと感じました。プレーヤーの価値をあげるのも、Denon Remote AppのiPad2対応版の出来次第といっても過言ではないのではと、勝手に感じています。どこまでの操作性や機能をRemote Appに取り込むかは難しいところでしょうが、少なくとも、現状の検索機能の操作性は改善の余地があると思います。

その4:ハイビットハイサンプリングへの対応を実現した際にも、デノンらしさを

最後に余計なことですが、ハイビットハイサンプリングの音源で、逆に音が細くなってしまい、音楽が全然楽しくないなんてことのないよう、ぜひデノンらしい高音質を期待しています!


さて、今回、モニターさせていただき、一通りのテストをした結果、我が家にとって、どうしても必要な機能や機器が何なのかよくわかったような気がします。ここまで当方のレポートにおつきあいいただいた読者の皆さんも、何となくわかったかもしれませんが。最後に、我が家にとって秘密兵器となるだろう、新たなオーディオ機器を「Killer Queen」と名付けた種明かしとして、「Queen」の曲「Killer Queen」の歌詞から、一部抜粋して記載しておきます。

She's a Killer Queen
彼女はキラー・クイーン

Gunpowder, gelatine
火薬かゼラチンか
Dynamite with a laserbeam
レーザー光線付きダイナマイトか
Guaranteed to blow your mind anytime
いつでも君の心を吹き飛ばせる

Recommended at the price
その値段ならお値打ちもの
Insatiable an appetite
飽きることを知らない欲望
Wanna try ?
試してご覧あれ

そう、あなたもだまされたと思って、思い切って試してみてはいかがでしょうか。新しい分野のHi-Fiオーディオ機器ですから、それなりに試すのにも勇気がいりますが、それでも興味がおありならば、「Wanna Try ? 試してご覧あれ」というのが当方からの提案です。楽しいですよ、惑わされるのも…。きっと、彼女が「Killer Queen」だと気がつくと思いますが。

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: