Bluetoothは音が悪い、って、いつの話? − ロジテックから高音質Bluetoothヘッドホン2機種登場
「Bluetoothは音が悪いから」って、いつの話?
「Bluetoothって音が悪いから」「えっ、それっていつの話!?」− そんな会話がいますぐにでも交わされそうな新製品が、ロジテックから登場する。それがオンイヤーヘッドホン「LBT-AVHP06SE」と「LBT-AVOH03」だ。この2つの製品、実はapt-XやAACといった高音質Bluetooth音声規格に準拠しており、ワイヤレスならではの手軽さを保ちつつ、これまでのイメージとは全く別次元のハイクオリティサウンドを楽しむことができるのだ。
何故、今までのBluetooth製品は音が悪く、「LBT-AVHP06SE」や「LBT-AVOH03」では高音質な再生が楽しめるのだろう。実は、これにはちょっとしたエポックメイキングな部分がある。
Bluetoothという無線規格は、iPhoneやAndriod端末などのスマートフォンに標準搭載されたこともあって、近年は爆発的に普及したが、それまではパソコンや携帯電話の一部機種などに採用されるだけにとどまっていた。しかもその利用方法が、通話を行うヘッドセットが主目的。音楽再生用として、機能面ではフォローされていたものの、音質面までは考慮されてこなかったのだ。そのため、Bluetooth規格自身がどんなにハイスピードになっても、オーディオ用として使われるフォーマットはSBC(SubBand Codec)という、音楽データを約20分の1にも圧縮してしまう前時代的なロースペック規格のまま。これでは確かに「Bluetoothは音が悪い」といわれても仕方がない。
しかしここ1〜2年で、そんな様相ががらっと変化した。まずアップルがiPhoneやiPod touchなどにSBCとは格段のサウンドクオリティを誇るAACフォーマットを採用、続いてAndroidスマートフォンの一部(シャープ製AQUOS PHONE「SH-06D」「SH-07D」など)の機種では、apt-Xというさらに高音質の最新オーディオコーデックを搭載してきたのだ。そんなシチュエーションを敏感に察知して、「手軽でいい音のワイヤレスサウンド」をいちはやく実現してくれたのだ。これはうれしい。
とはいえ、実際のサウンドを聴いてみないと話が始まらない。ということで、「LBT-AVHP06SE」と「LBT-AVOH03」を借用し、その実力のほどを確認してみた。
解像度や表現力は格段のレベル。
カナル型「LBT-AVHP06SE」
ボックスレスで使いやすさも◎
まず最初に聴いた「LBT-AVHP06SE」は、イヤホン本体にレシーバー部を内蔵、ボックスレスタイプに仕上げた「LBT-AVHP06」をベースに、apt-X対応や最新チップセットの採用により、さらなる音質向上を果たしたというカナル型イヤホンだ。
ワイヤレスなのにボックスレスなのは、使ってみて大変手軽だし、マイク内蔵のリモコンもケーブルにレイアウトされているため、スマホ用のヘッドセットとしても十分に役立つ。しかも、バッテリーやチップセットが収まるイヤホン部がそれほど大きくなく、長時間の装着時にそれほど負担に思わない。また、ケーブルの取り出し位置を変更して外れにくい構造へと改良されているなど、実際の装着感についてはなかなかに好印象を持った。
さて、肝心のサウンドを確認すべく、まずはAQUOS PHONE「SH-07D」とapt-Xで接続してみる。接続は至って簡単で、Android側のapt-X接続をオンにしてからペアリングを行うだけ。apt-Xでつながらなかったときだけその旨のエラーが表示されるようだが、「LBT-AVHP06SE」はすんなり繋がってくれた。
そのサウンドは、確かに格段のレベル。解像度も抑揚の細やかさも「これ本当にBluetoothなの?」と疑いたくなるくらいのクオリティで、音色がとてもクリアだし、演奏がよりダイレクトに聞こえる。特に顕著なのがピアノの表現で、倍音成分の揃いが良いためか、とても伸びやかな、ストレスのない心地よい響きを堪能させてくれる。「SH-07D」って実はそこそこいい音を楽しめるんだと、感心したくらいだ。
続いてiPod touchも試してみたが、こちらもなかなかにいい。フォーマットがAACのためか、「SH-07D」までのクオリティは発揮されないものの、SBCに比べれば格段に澄んだ、桁違いの音数を持つ表現力の豊かなサウンドを聴かせてくれる。特に抑揚表現のダイナミックさが目を引き、ハードロックなどはなかなかに熱い演奏を楽しませてくれた。
ヘッドホンとして純粋にクオリティが高いのに驚き。
オーバーヘッドホン「LBT-AVOH03」
電源が切れても使えるのは嬉しい
いっぽうの「LBT-AVOH03」は、オンイヤータイプのBluetoothヘッドホンで、直線基調のスクエアフォルムがスタイリッシュなイメージを演出している。折りたたんでコンパクトに収納できたり、バッテリーが切れてもパッシブヘッドホンとして活用できるなど、ユーザビリティに関しても細やかな配慮がなされている。
まずは「SH-07D」との組合せから。「LBT-AVHP06SE」に対してもさらに音のピュア度が高まったかのような、美しい音色が素晴らしい。ヘッドホンだから当然かもしれないが、ダイナミックレンジもさらに幅広くなったうえ、抑揚表現のニュアンスも精細さを増し、演奏が一段とリアルに感じる。特にアコースティック楽器の多い演奏とは、相性がピッタリ。ギターもピアノも、余韻の豊かな、印象的なサウンドを聴かせてくれる。逆に、apt-Xとはいえ、ワイヤレスにここまでの情報量が盛り込まれているのかと、驚いたくらいだ。
しかも、イマドキの高解像度ヘッドホンにありがちな、高域がやたらと先鋭的な印象は全くといっていいほどない。ヘッドホンとして純粋に、クオリティが高いのだ。
元オーディオメーカー出身者がキッチリ音質監修
ロジテックといえば、おなじみのジャンルではPC周辺機器など、どちらかといえば機能品を数多く手がけているイメージの強いブランド。そこからこのような、クオリティ重視の製品が登場してくるなんて、驚くばかりだ。しかしメーカーに事情を聴いてみると、実はもともとオーディオメーカーにいた人物が、いまエレコム(ロジテックは今エレコムの関連会社となっている)にいて、こちらの製品の開発に携わっているのだという。なるほど、それならば納得がいく。
このように、「LBT-AVHP06SE」と「LBT-AVOH03」は、apt-XやAACなどの最新トレンドをフォローすること、さらには音質をしっかりと追求した丁寧な製品作りによって、Bluetoothならではの手軽さを保ちつつ、これまでにない高音質を実現した秀逸なモデルといえる。この製品をきっかけに、そう遠くない未来には、Bluetooth=音が悪いという定評も過去のものとなってしまうはずだ。
◆野村ケンジ プロフィール
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。
「Bluetoothって音が悪いから」「えっ、それっていつの話!?」− そんな会話がいますぐにでも交わされそうな新製品が、ロジテックから登場する。それがオンイヤーヘッドホン「LBT-AVHP06SE」と「LBT-AVOH03」だ。この2つの製品、実はapt-XやAACといった高音質Bluetooth音声規格に準拠しており、ワイヤレスならではの手軽さを保ちつつ、これまでのイメージとは全く別次元のハイクオリティサウンドを楽しむことができるのだ。
何故、今までのBluetooth製品は音が悪く、「LBT-AVHP06SE」や「LBT-AVOH03」では高音質な再生が楽しめるのだろう。実は、これにはちょっとしたエポックメイキングな部分がある。
Bluetoothという無線規格は、iPhoneやAndriod端末などのスマートフォンに標準搭載されたこともあって、近年は爆発的に普及したが、それまではパソコンや携帯電話の一部機種などに採用されるだけにとどまっていた。しかもその利用方法が、通話を行うヘッドセットが主目的。音楽再生用として、機能面ではフォローされていたものの、音質面までは考慮されてこなかったのだ。そのため、Bluetooth規格自身がどんなにハイスピードになっても、オーディオ用として使われるフォーマットはSBC(SubBand Codec)という、音楽データを約20分の1にも圧縮してしまう前時代的なロースペック規格のまま。これでは確かに「Bluetoothは音が悪い」といわれても仕方がない。
しかしここ1〜2年で、そんな様相ががらっと変化した。まずアップルがiPhoneやiPod touchなどにSBCとは格段のサウンドクオリティを誇るAACフォーマットを採用、続いてAndroidスマートフォンの一部(シャープ製AQUOS PHONE「SH-06D」「SH-07D」など)の機種では、apt-Xというさらに高音質の最新オーディオコーデックを搭載してきたのだ。そんなシチュエーションを敏感に察知して、「手軽でいい音のワイヤレスサウンド」をいちはやく実現してくれたのだ。これはうれしい。
とはいえ、実際のサウンドを聴いてみないと話が始まらない。ということで、「LBT-AVHP06SE」と「LBT-AVOH03」を借用し、その実力のほどを確認してみた。
解像度や表現力は格段のレベル。
カナル型「LBT-AVHP06SE」
ボックスレスで使いやすさも◎
まず最初に聴いた「LBT-AVHP06SE」は、イヤホン本体にレシーバー部を内蔵、ボックスレスタイプに仕上げた「LBT-AVHP06」をベースに、apt-X対応や最新チップセットの採用により、さらなる音質向上を果たしたというカナル型イヤホンだ。
ロジテック Bluetoothヘッドホン LBT-AVHP06SE ¥13,440(税込)11月末発売 音質にこだわったカナル型Bluetoothイヤホン。通常のBluetoothよりも圧縮効率が良く高音質な「apt-X」「AAC」に対応している。最新チップセットの搭載など、クオリティを重視したモデルだ。ボックスレスで、イヤホン部も外形寸法19×12×12mmとコンパクトになっている。 |
ワイヤレスなのにボックスレスなのは、使ってみて大変手軽だし、マイク内蔵のリモコンもケーブルにレイアウトされているため、スマホ用のヘッドセットとしても十分に役立つ。しかも、バッテリーやチップセットが収まるイヤホン部がそれほど大きくなく、長時間の装着時にそれほど負担に思わない。また、ケーブルの取り出し位置を変更して外れにくい構造へと改良されているなど、実際の装着感についてはなかなかに好印象を持った。
さて、肝心のサウンドを確認すべく、まずはAQUOS PHONE「SH-07D」とapt-Xで接続してみる。接続は至って簡単で、Android側のapt-X接続をオンにしてからペアリングを行うだけ。apt-Xでつながらなかったときだけその旨のエラーが表示されるようだが、「LBT-AVHP06SE」はすんなり繋がってくれた。
そのサウンドは、確かに格段のレベル。解像度も抑揚の細やかさも「これ本当にBluetoothなの?」と疑いたくなるくらいのクオリティで、音色がとてもクリアだし、演奏がよりダイレクトに聞こえる。特に顕著なのがピアノの表現で、倍音成分の揃いが良いためか、とても伸びやかな、ストレスのない心地よい響きを堪能させてくれる。「SH-07D」って実はそこそこいい音を楽しめるんだと、感心したくらいだ。
続いてiPod touchも試してみたが、こちらもなかなかにいい。フォーマットがAACのためか、「SH-07D」までのクオリティは発揮されないものの、SBCに比べれば格段に澄んだ、桁違いの音数を持つ表現力の豊かなサウンドを聴かせてくれる。特に抑揚表現のダイナミックさが目を引き、ハードロックなどはなかなかに熱い演奏を楽しませてくれた。
ヘッドホンとして純粋にクオリティが高いのに驚き。
オーバーヘッドホン「LBT-AVOH03」
電源が切れても使えるのは嬉しい
いっぽうの「LBT-AVOH03」は、オンイヤータイプのBluetoothヘッドホンで、直線基調のスクエアフォルムがスタイリッシュなイメージを演出している。折りたたんでコンパクトに収納できたり、バッテリーが切れてもパッシブヘッドホンとして活用できるなど、ユーザビリティに関しても細やかな配慮がなされている。
ロジテック Bluetoothヘッドホン LBT-AVOH03 ¥12,390(税込)11月末発売 オーバーヘッドタイプのBluetoothヘッドホン。こちらも「apt-X」「AAC」に対応し、音質に注力したモデルだ。3.5mmステレオミニジャックを備え、有線ヘッドホンとしての使用もできる。また、革調イヤーパッドで装着感を高めている。 |
まずは「SH-07D」との組合せから。「LBT-AVHP06SE」に対してもさらに音のピュア度が高まったかのような、美しい音色が素晴らしい。ヘッドホンだから当然かもしれないが、ダイナミックレンジもさらに幅広くなったうえ、抑揚表現のニュアンスも精細さを増し、演奏が一段とリアルに感じる。特にアコースティック楽器の多い演奏とは、相性がピッタリ。ギターもピアノも、余韻の豊かな、印象的なサウンドを聴かせてくれる。逆に、apt-Xとはいえ、ワイヤレスにここまでの情報量が盛り込まれているのかと、驚いたくらいだ。
しかも、イマドキの高解像度ヘッドホンにありがちな、高域がやたらと先鋭的な印象は全くといっていいほどない。ヘッドホンとして純粋に、クオリティが高いのだ。
元オーディオメーカー出身者がキッチリ音質監修
ロジテックといえば、おなじみのジャンルではPC周辺機器など、どちらかといえば機能品を数多く手がけているイメージの強いブランド。そこからこのような、クオリティ重視の製品が登場してくるなんて、驚くばかりだ。しかしメーカーに事情を聴いてみると、実はもともとオーディオメーカーにいた人物が、いまエレコム(ロジテックは今エレコムの関連会社となっている)にいて、こちらの製品の開発に携わっているのだという。なるほど、それならば納得がいく。
このように、「LBT-AVHP06SE」と「LBT-AVOH03」は、apt-XやAACなどの最新トレンドをフォローすること、さらには音質をしっかりと追求した丁寧な製品作りによって、Bluetoothならではの手軽さを保ちつつ、これまでにない高音質を実現した秀逸なモデルといえる。この製品をきっかけに、そう遠くない未来には、Bluetooth=音が悪いという定評も過去のものとなってしまうはずだ。
◆野村ケンジ プロフィール
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。