【特別企画】カワイイけれど本格アンプ!
井筒香奈江、トライオード「Ruby」でマイアルバムを聴く
トライオードより“女性限定”(?)をうたう小型の純A級真空管プリメインアンプ「ルビー」が登場した。
オーディオは男だけのものではない! という発想から生まれた真空管式プリメインアンプ。生活シーンに溶け込むセンスの良い、かわいらしい外観ながら、サウンドは本格的。恋人や奥様へのプレゼントにも喜ばれそう。ぜひ女性に聴いていただこうと、いまオーディオファンに人気の歌手・井筒香奈江さんにご自身のアルバムを聴いていただいた。聴き手&機器解説を担当するのは炭山アキラ氏だ。
■ヴォーカルを引き立ててくれる不思議なアンプ
井筒(以下 井) ルビー、小さくてかわいいアンプですね。
編集部(以下 編) 真上から見ると、真空管の周りと正面の赤いランプの形がシンクロしているんですよ。
井 わ〜、本当。灯がともるとさらにいい。この子(ルビー)が灯をともして、家で私の帰りを待ってくれていたら素敵ですね。安全面からして無理ですけど(笑)。
<井筒香奈江ソロ作品『時のまにまに』を聴く>
井 私がいつも非常に気にしている「こもり」がないです。すーっと来てくれる感じで、聴きやすいと思います。
炭山(以下 炭) アルバム制作の時、井筒さんとエンジニアの川瀬真司さんとで苦労された点などどう聴こえましたか。
井 私の癖でサシスセソや破裂音が強調されて耳に痛い時があって、それを調整するとモコッと丸くなったり、風船みたいな薄い膜の中で鳴っている感じになったりするので、調整には苦労しているんですが、いま聴いた音はそれが気にならない。ギターもヴォーカルも前に出てきています。
炭 よく抜けているんですよね。
編 なるほど。ところで、スピーカーを途中で井筒さんのすぐ前に置き換えましたね。
炭 はい。聴き始めたら、ニアフィールドで聴いてみた方がよいのでは、と思いまして。
編 その方が合いそうですね。井筒さんはご自宅ではEvoの白をお使いと聴いていますがご自宅と比べていかがですか。
井 ええ。とても好きなスピーカーです。再生機やアンプが違うとやっぱりだいぶ違いますね。今日聴く音の方が、さらにいいと思います。
<続いて井筒香奈江ソロ作品『時のまにまにU』を聴く>
井 気持ちがいいですね。
炭 とても静かな環境から声がふわっと聴こえるのがいいですね。真空管アンプというのは面白い特性がありましてね、ヴォーカルとそれ以外の楽器を区別してヴォーカルを引き立ててくれるんです。
井 そう。フッて、言葉にならない空気の名残りみたいなものまで表現してくれる。でも暑苦しくないんですよ。ガーッと迫ってくるようなオーディオもあるでしょう。そういうのって、こちらが疲れている時はちょっといいかな、って思う日もありますよね。でもこれはそれすら選べるというか。要するに自然なんでしょうね。
編 ほかにも、井筒さんが英語詞を歌っているレイドバックを聴いてみましょう。
<レイドバック『リトル・ウィング』『リフレイム』を聴く>
井 この『リトル・ウィング』、最初エレピで和音を録って、その上にベースが入ってピアノを被せた曲があるんですけれども、川瀬さんが何を間違ったのか和音を入れるのを忘れてミックスした音を納品してくれたんです。ところが、聴いたら「この方がいいね」って採用したんです。
炭 それでシンプルなんですね。でも音数少なくても、響きが深くてリッチな音がします。こういう音楽ってフルシステムで聴くより、小さい真空管アンプと小型スピーカーの方がいいんじゃないかな。
編 ええ、しかもニアフィールドで聴くのが録音と合っている気がしますね。耳元で囁くように聴こえるように、マイクを近くして録られていますから。ところで井筒さんは最初からこういう歌い方をされていたんでしょうか。
井 いえ。昔は声を張り上げていた時期もあります。川瀬エンジニアが、たまたま私が練習でウィスパーヴォイスで歌っていたのを聴いていて、「それで歌ってみて」って言ってくれたのがきっかけです。私もこの歌い方の方が思いが伝わるような気がしまして。
編 わぁ、そうだったんですね。ところで、ルビーって、“ニアフィールド向き”なのでしょうか?
炭 ニアフィールド用というか、出力を欲張らず、素直でバランスの良い音を目指したモデルなんですね。プッシュプル方式なら効率良く出力を稼ぐためにAB級という動作方式も使えますが、純A級のシングルドライブは、真空管をリニアにドライブできる限界のところまでしか使えないため、出力は大きくとれません。けれども回路がシンプルになりますので、こういうコンパクトなものでも無理なく設計できます。余計なことをしていない音の素直さ、バランスの良さがあると思います。
編 それって井筒さんの音楽とぴったり! 声を張り上げるのでなくて囁き声で素直に歌うという。
炭 濃やかな気は使うけれど、余分なものを足して、足していくのではなく。素の良さを出してくるというのでしょうか。ヴォーカリストの本質を出すにはこんなに適したアンプはないと思います。
井 素が出るのは恐ろしい。でも私のアルバムも、想いを伝えたいと持って音作りしていたら、素の音になってしまいました(笑)。
■オーケストラも良し。音楽聴くのって楽しい!
編 次にヘッドフォンを試しましょう。ダイヤモンド・ティアーズというカワイイ系モデルをルビーのヘッドフォン出力につなぎます。
井 すごい。息遣いまでしっかり聴こえる。好きです、この音。
炭 ヘッドフォンというのは、インピーダンスという交流の抵抗値が大きいのが多くて、石のアンプより真空管の方が鳴らしやすいんです。真空管で鳴るヘッドフォンは独特な良さがありますね。アウトプットトランスで抵抗値を下げるのも、スピーカーに比べてグッと小規模に済ませられますし。
井 なるほど、何の邪魔もないと。
編 次にiPhoneから直接ヘッドフォン接続して聴いてみましょう。
井 あ、全然違いますね。やっぱり、ルビーを通す方が格段にいいです。iPhone直接ではきつい音も、ルビーを通すと優しい……。
編 ところで炭山さん、ルビーに井筒作品がぴったりなのは分かりましたが、オーケストラやジャズはどうなんでしょう?
炭 聴いてみましょうか?
<Evoに戻してオスカー・ピーターソンやオペラを聴く>
井 うわぁ。素晴らしい! これもすっごくいい!
炭 いいって分かっていたんだけど改めて聴くといいですね(笑)。
編 ダイナミックな音楽もばっちりですね。生き生きと聴こえます。
井 音楽の表情が豊かですね。こうやって聴くのって楽しい!こういう音で聴いて貰えたら、演奏者も嬉しいと思います。
炭 本当に楽しいですね! 真空管って、ソリッドステートのアンプをいくら追い込んでもどうしても出てこない良さがありますよね。
――というわけでこの日はいろいろな音楽を聴き倒して、楽しい時間を過ごしました。
井筒さん、炭山さん、ありがとうございました!
「Ruby」Specifications
●回路形式:6BQ5シングル●使用真空管:6BQ5×2、12AX7×2●定格出力:3W+3W(8Ω)●周波数特性:30Hz〜40kHz(±2dB)●SN比:88dB●入力端子:RCA×2●入力感度:800mV/100kΩ●出力インピーダンス:4〜8Ω●サイズ:188W×130H×175Dmm●質量:4.7kg●取り扱い:(株)トライオード
オーディオは男だけのものではない! という発想から生まれた真空管式プリメインアンプ。生活シーンに溶け込むセンスの良い、かわいらしい外観ながら、サウンドは本格的。恋人や奥様へのプレゼントにも喜ばれそう。ぜひ女性に聴いていただこうと、いまオーディオファンに人気の歌手・井筒香奈江さんにご自身のアルバムを聴いていただいた。聴き手&機器解説を担当するのは炭山アキラ氏だ。
■ヴォーカルを引き立ててくれる不思議なアンプ
井筒(以下 井) ルビー、小さくてかわいいアンプですね。
編集部(以下 編) 真上から見ると、真空管の周りと正面の赤いランプの形がシンクロしているんですよ。
井 わ〜、本当。灯がともるとさらにいい。この子(ルビー)が灯をともして、家で私の帰りを待ってくれていたら素敵ですね。安全面からして無理ですけど(笑)。
<井筒香奈江ソロ作品『時のまにまに』を聴く>
井 私がいつも非常に気にしている「こもり」がないです。すーっと来てくれる感じで、聴きやすいと思います。
炭山(以下 炭) アルバム制作の時、井筒さんとエンジニアの川瀬真司さんとで苦労された点などどう聴こえましたか。
井 私の癖でサシスセソや破裂音が強調されて耳に痛い時があって、それを調整するとモコッと丸くなったり、風船みたいな薄い膜の中で鳴っている感じになったりするので、調整には苦労しているんですが、いま聴いた音はそれが気にならない。ギターもヴォーカルも前に出てきています。
炭 よく抜けているんですよね。
編 なるほど。ところで、スピーカーを途中で井筒さんのすぐ前に置き換えましたね。
炭 はい。聴き始めたら、ニアフィールドで聴いてみた方がよいのでは、と思いまして。
編 その方が合いそうですね。井筒さんはご自宅ではEvoの白をお使いと聴いていますがご自宅と比べていかがですか。
井 ええ。とても好きなスピーカーです。再生機やアンプが違うとやっぱりだいぶ違いますね。今日聴く音の方が、さらにいいと思います。
<続いて井筒香奈江ソロ作品『時のまにまにU』を聴く>
井 気持ちがいいですね。
炭 とても静かな環境から声がふわっと聴こえるのがいいですね。真空管アンプというのは面白い特性がありましてね、ヴォーカルとそれ以外の楽器を区別してヴォーカルを引き立ててくれるんです。
井 そう。フッて、言葉にならない空気の名残りみたいなものまで表現してくれる。でも暑苦しくないんですよ。ガーッと迫ってくるようなオーディオもあるでしょう。そういうのって、こちらが疲れている時はちょっといいかな、って思う日もありますよね。でもこれはそれすら選べるというか。要するに自然なんでしょうね。
編 ほかにも、井筒さんが英語詞を歌っているレイドバックを聴いてみましょう。
<レイドバック『リトル・ウィング』『リフレイム』を聴く>
井 この『リトル・ウィング』、最初エレピで和音を録って、その上にベースが入ってピアノを被せた曲があるんですけれども、川瀬さんが何を間違ったのか和音を入れるのを忘れてミックスした音を納品してくれたんです。ところが、聴いたら「この方がいいね」って採用したんです。
炭 それでシンプルなんですね。でも音数少なくても、響きが深くてリッチな音がします。こういう音楽ってフルシステムで聴くより、小さい真空管アンプと小型スピーカーの方がいいんじゃないかな。
編 ええ、しかもニアフィールドで聴くのが録音と合っている気がしますね。耳元で囁くように聴こえるように、マイクを近くして録られていますから。ところで井筒さんは最初からこういう歌い方をされていたんでしょうか。
井 いえ。昔は声を張り上げていた時期もあります。川瀬エンジニアが、たまたま私が練習でウィスパーヴォイスで歌っていたのを聴いていて、「それで歌ってみて」って言ってくれたのがきっかけです。私もこの歌い方の方が思いが伝わるような気がしまして。
編 わぁ、そうだったんですね。ところで、ルビーって、“ニアフィールド向き”なのでしょうか?
炭 ニアフィールド用というか、出力を欲張らず、素直でバランスの良い音を目指したモデルなんですね。プッシュプル方式なら効率良く出力を稼ぐためにAB級という動作方式も使えますが、純A級のシングルドライブは、真空管をリニアにドライブできる限界のところまでしか使えないため、出力は大きくとれません。けれども回路がシンプルになりますので、こういうコンパクトなものでも無理なく設計できます。余計なことをしていない音の素直さ、バランスの良さがあると思います。
編 それって井筒さんの音楽とぴったり! 声を張り上げるのでなくて囁き声で素直に歌うという。
炭 濃やかな気は使うけれど、余分なものを足して、足していくのではなく。素の良さを出してくるというのでしょうか。ヴォーカリストの本質を出すにはこんなに適したアンプはないと思います。
井 素が出るのは恐ろしい。でも私のアルバムも、想いを伝えたいと持って音作りしていたら、素の音になってしまいました(笑)。
■オーケストラも良し。音楽聴くのって楽しい!
編 次にヘッドフォンを試しましょう。ダイヤモンド・ティアーズというカワイイ系モデルをルビーのヘッドフォン出力につなぎます。
井 すごい。息遣いまでしっかり聴こえる。好きです、この音。
炭 ヘッドフォンというのは、インピーダンスという交流の抵抗値が大きいのが多くて、石のアンプより真空管の方が鳴らしやすいんです。真空管で鳴るヘッドフォンは独特な良さがありますね。アウトプットトランスで抵抗値を下げるのも、スピーカーに比べてグッと小規模に済ませられますし。
井 なるほど、何の邪魔もないと。
編 次にiPhoneから直接ヘッドフォン接続して聴いてみましょう。
井 あ、全然違いますね。やっぱり、ルビーを通す方が格段にいいです。iPhone直接ではきつい音も、ルビーを通すと優しい……。
編 ところで炭山さん、ルビーに井筒作品がぴったりなのは分かりましたが、オーケストラやジャズはどうなんでしょう?
炭 聴いてみましょうか?
<Evoに戻してオスカー・ピーターソンやオペラを聴く>
井 うわぁ。素晴らしい! これもすっごくいい!
炭 いいって分かっていたんだけど改めて聴くといいですね(笑)。
編 ダイナミックな音楽もばっちりですね。生き生きと聴こえます。
井 音楽の表情が豊かですね。こうやって聴くのって楽しい!こういう音で聴いて貰えたら、演奏者も嬉しいと思います。
炭 本当に楽しいですね! 真空管って、ソリッドステートのアンプをいくら追い込んでもどうしても出てこない良さがありますよね。
――というわけでこの日はいろいろな音楽を聴き倒して、楽しい時間を過ごしました。
井筒さん、炭山さん、ありがとうございました!
「Ruby」Specifications
●回路形式:6BQ5シングル●使用真空管:6BQ5×2、12AX7×2●定格出力:3W+3W(8Ω)●周波数特性:30Hz〜40kHz(±2dB)●SN比:88dB●入力端子:RCA×2●入力感度:800mV/100kΩ●出力インピーダンス:4〜8Ω●サイズ:188W×130H×175Dmm●質量:4.7kg●取り扱い:(株)トライオード