DRM付きコンテンツのネット経由での配信が可能に
【レビュー】外出先から録画番組視聴、アイ・オー「REC BOX + REMOTE」を試す
■「DTCP+」が必要とされる理由
DLNAおよびDTCP-IPを利用したネットワーク視聴が一般化した現在、録画したテレビ番組などビデオレコーダー上のコンテンツを離れた場所で視聴することはたやすい。スマートフォンやタブレットの普及により、Wi-Fiアクセスポイントを構える家庭が珍しくなくなった現在、視聴をワイヤレスで完結させたいというニーズも急増している。昨年DTCP-IPの運用規定が緩和され、Android端末のみならずiOS端末でもアプリの追加だけで視聴が可能になったことも、その流れに一層拍車をかけたといえるだろう。
この「DLNA/DTCP-IPによる視聴」をさらに追求しようとなると、そこには規格の壁が立ちはだかる。現在ビデオレコーダーやテレビに多く採用されているDTCP v1.3では、IPネットワークにおけるTTL(IPネットワーク上でパケットが通過可能なルータの数)とRTT(往復遅延時間)の値を制限し、視聴範囲をホームネットワークに留めているため、LANの外、すなわち自宅の外から鑑賞することができないのだ。
自宅の機器で録画したテレビ番組を外出先で視聴したい、というニーズは根強く存在する。それを後押ししているのが躍進著しいスマートフォンやタブレットであり、LTEなど高速通信網の整備により移動中に楽しむことすらハードウェア的には可能となってきた。そのような背景から2012年1月に策定されたのがDTCPの最新規格DTCP v1.4、通称「DTCP+(プラス)」なのだ。外出先から録画番組を視聴可能にするリモートアクセス機能は、このDTCP+の中の一機能だ。
■RECBOX +REMOTEの動作環境
今回取りあげるアイ・オー・データの「RECBOX(レックボックス)+REMOTE HVL-Aシリーズ」(関連ニュース)は、DTCP+をサポートしたNAS。従来のDLNA/DTCP-IP対応機器ではかなわなかった、インターネット経由での著作権保護付きコンテンツの配信を可能にする製品だ。
なお、DTCP+は特定のハードウェア/OSには依存しないが、本製品の場合再生ソフト「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」がWindowsのみのサポートとなるため、視聴にはWindowsが動作するパソコンが必須となる(つまり本製品ではスマートフォン/タブレットでの視聴は行えない)。
パソコンにも動作条件がある。DTCP-IPでは著作権保護付きコンテンツの視聴にはHDCP対応ディスプレイが必須条件であり、DVIなど他の接続方式では再生できない。外出先から利用することがアドバンテージのDTCP+の場合、移動の可能性も含めれば、ディスプレイの接続方式を考慮する必要のないノートパソコンでの利用が前提となるだろう。
DTCP+とは直接関係ないが、ビットレートに関する配慮も必要だ。本製品には、動画をリアルタイムに変換(トランスコード)する機能がないため、DRモードで録画された動画を狭い帯域の回線で再生しようとすると、滑らかな再生を得られない。聞いたところ、滑らかに再生できるビットレートは3Mbpsあたりが目安で、それ以下に抑えることが望ましいという。レコーダーでいえば、LPモードで録画した番組、あるいはLPモード相当に変換した番組ということになる。
■録画モードに配慮すれば、宅外からの視聴はOK
「RECBOX +REMOTE」のセットアップは、極めて簡単だ。すでに(DHCPサーバ搭載の)ルータが導入済であれば、同じLAN回線に接続する程度で完了する。手間取るのはパソコンのほうで、再生ソフト「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」のダウンロード、および再生ソフトの開発元が運営する認証用のサーバに登録する作業が必要だ。
セットアップが完了したら、次はコンテンツの準備。「RECBOX +REMOTE」自体には録画機能がなく、テレビチューナーも搭載されていないため、他のレコーダーからDLNA経由でムーブ/コピーすることになる(※ライブ再生は不可)。筆者の場合、nasneで録画した地デジ番組をダビングする方法を選択した。
なお、本製品は「ダウンロードムーブ」に対応している。nasneを例にすると、nasneに保存されている録画済番組をブラウズし、目的の番組を選びダビングを指示すればいいのだ。従来のムーブでは、レコーダー(DLNAサーバ)を操作しなければならず、スマートフォンやパソコンで持ち出す場合のストレスになっていたが、本製品ではそれがない。ただし、レコーダー側がダウンロードムーブに対応していなければならないので、その点は事前の確認が必要だ。
録画済番組の視聴テストは、外出先から携帯電話回線を通じて行った。iPhone 5(au版)のテザリング機能を利用し、下りの実効速度8Mbps前後のLTE回線を経由することで、平均2〜3Mbps程度のLPモードで録画した地デジの番組を滑らかに再生できるかどうかを検証したのだ。
その結果は、充分鑑賞に耐えるレベルだったといえる。録画モードがLPモードであるだけに、動きの激しいシーンではブロックノイズが目立つものの、コンテンツを再生するという目的に関しては申し分ない。あくまでLPモード相当の画質であり、その意味では自宅LANで再生しているときと同じと感じられた。なお、DRモードで録画したコンテンツの再生も試してみたが、映像が断続的に途切れてしまいとても鑑賞に耐えられるものではなかったことを添えておく。
屋外からの視聴をそつなくこなした「RECBOX +REMOTE」だが、再生環境がWindowsパソコンのみという現状は、いささか厳しい。やはりDTCP+が整備された趣旨からすると、スマートフォン/タブレットで再生できなければ消費者は納得しないだろう。だらこそ、今後Android版やiOS版アプリがラインナップされることに大いに期待したい。
DLNAおよびDTCP-IPを利用したネットワーク視聴が一般化した現在、録画したテレビ番組などビデオレコーダー上のコンテンツを離れた場所で視聴することはたやすい。スマートフォンやタブレットの普及により、Wi-Fiアクセスポイントを構える家庭が珍しくなくなった現在、視聴をワイヤレスで完結させたいというニーズも急増している。昨年DTCP-IPの運用規定が緩和され、Android端末のみならずiOS端末でもアプリの追加だけで視聴が可能になったことも、その流れに一層拍車をかけたといえるだろう。
この「DLNA/DTCP-IPによる視聴」をさらに追求しようとなると、そこには規格の壁が立ちはだかる。現在ビデオレコーダーやテレビに多く採用されているDTCP v1.3では、IPネットワークにおけるTTL(IPネットワーク上でパケットが通過可能なルータの数)とRTT(往復遅延時間)の値を制限し、視聴範囲をホームネットワークに留めているため、LANの外、すなわち自宅の外から鑑賞することができないのだ。
自宅の機器で録画したテレビ番組を外出先で視聴したい、というニーズは根強く存在する。それを後押ししているのが躍進著しいスマートフォンやタブレットであり、LTEなど高速通信網の整備により移動中に楽しむことすらハードウェア的には可能となってきた。そのような背景から2012年1月に策定されたのがDTCPの最新規格DTCP v1.4、通称「DTCP+(プラス)」なのだ。外出先から録画番組を視聴可能にするリモートアクセス機能は、このDTCP+の中の一機能だ。
■RECBOX +REMOTEの動作環境
今回取りあげるアイ・オー・データの「RECBOX(レックボックス)+REMOTE HVL-Aシリーズ」(関連ニュース)は、DTCP+をサポートしたNAS。従来のDLNA/DTCP-IP対応機器ではかなわなかった、インターネット経由での著作権保護付きコンテンツの配信を可能にする製品だ。
なお、DTCP+は特定のハードウェア/OSには依存しないが、本製品の場合再生ソフト「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」がWindowsのみのサポートとなるため、視聴にはWindowsが動作するパソコンが必須となる(つまり本製品ではスマートフォン/タブレットでの視聴は行えない)。
パソコンにも動作条件がある。DTCP-IPでは著作権保護付きコンテンツの視聴にはHDCP対応ディスプレイが必須条件であり、DVIなど他の接続方式では再生できない。外出先から利用することがアドバンテージのDTCP+の場合、移動の可能性も含めれば、ディスプレイの接続方式を考慮する必要のないノートパソコンでの利用が前提となるだろう。
DTCP+とは直接関係ないが、ビットレートに関する配慮も必要だ。本製品には、動画をリアルタイムに変換(トランスコード)する機能がないため、DRモードで録画された動画を狭い帯域の回線で再生しようとすると、滑らかな再生を得られない。聞いたところ、滑らかに再生できるビットレートは3Mbpsあたりが目安で、それ以下に抑えることが望ましいという。レコーダーでいえば、LPモードで録画した番組、あるいはLPモード相当に変換した番組ということになる。
■録画モードに配慮すれば、宅外からの視聴はOK
「RECBOX +REMOTE」のセットアップは、極めて簡単だ。すでに(DHCPサーバ搭載の)ルータが導入済であれば、同じLAN回線に接続する程度で完了する。手間取るのはパソコンのほうで、再生ソフト「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」のダウンロード、および再生ソフトの開発元が運営する認証用のサーバに登録する作業が必要だ。
セットアップが完了したら、次はコンテンツの準備。「RECBOX +REMOTE」自体には録画機能がなく、テレビチューナーも搭載されていないため、他のレコーダーからDLNA経由でムーブ/コピーすることになる(※ライブ再生は不可)。筆者の場合、nasneで録画した地デジ番組をダビングする方法を選択した。
なお、本製品は「ダウンロードムーブ」に対応している。nasneを例にすると、nasneに保存されている録画済番組をブラウズし、目的の番組を選びダビングを指示すればいいのだ。従来のムーブでは、レコーダー(DLNAサーバ)を操作しなければならず、スマートフォンやパソコンで持ち出す場合のストレスになっていたが、本製品ではそれがない。ただし、レコーダー側がダウンロードムーブに対応していなければならないので、その点は事前の確認が必要だ。
録画済番組の視聴テストは、外出先から携帯電話回線を通じて行った。iPhone 5(au版)のテザリング機能を利用し、下りの実効速度8Mbps前後のLTE回線を経由することで、平均2〜3Mbps程度のLPモードで録画した地デジの番組を滑らかに再生できるかどうかを検証したのだ。
その結果は、充分鑑賞に耐えるレベルだったといえる。録画モードがLPモードであるだけに、動きの激しいシーンではブロックノイズが目立つものの、コンテンツを再生するという目的に関しては申し分ない。あくまでLPモード相当の画質であり、その意味では自宅LANで再生しているときと同じと感じられた。なお、DRモードで録画したコンテンツの再生も試してみたが、映像が断続的に途切れてしまいとても鑑賞に耐えられるものではなかったことを添えておく。
屋外からの視聴をそつなくこなした「RECBOX +REMOTE」だが、再生環境がWindowsパソコンのみという現状は、いささか厳しい。やはりDTCP+が整備された趣旨からすると、スマートフォン/タブレットで再生できなければ消費者は納得しないだろう。だらこそ、今後Android版やiOS版アプリがラインナップされることに大いに期待したい。