HOME > レビュー > 3D&フルHD対応で10万円以下のハイCP機 − BenQのDLPプロジェクター「W1070」実力徹底解剖

【特別企画】兄弟機「W1080ST」との連続視聴第1弾

3D&フルHD対応で10万円以下のハイCP機 − BenQのDLPプロジェクター「W1070」実力徹底解剖

公開日 2013/04/19 10:18 鴻池賢三
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

映画「アバター」では、DLPらしく映像の輝度落ちが少なく、明るく力強い。結果、コントラストが高く色彩も豊かで、アバターのブルーや密林のグリーンなどの原色に近い色も鮮やかに映る。

クロストークの少なさも特筆に値するレベルで、字幕周辺を念入りにチェックしても確認できなかった。クロストークの少なさは、字幕に限らず映像全体の解像度にも関わる重要な性能指標だ。3D映像でも失われないフルHD解像度と色抜けの良さは、ハイエンドプロジェクターと比較しても劣らない。まさに驚きの高画質3Dだ。

側面のようす

映画「カーズ」では、暗部の再現性能とコントラスト性能が堪能できた。薄暗い海のシーンでは、波を伴う海面が画面奥の水平線に向かって暗さを増すが、黒が十分に沈みつつ諧調表現も適切で立体感を維持できている。

夜間のカーチェイスシーンでは、ボディに映り込む光の反射が鋭く、金属の質感、光源のピーク感も高く官能的だった。これは、ピークの明るさ、黒の沈み、クロストークの無いクリアさの相乗効果と言え、これほどの高画質3Dが手軽な価格で入手できるのは驚きだ。

ほか、3Dメガネ「3DGS-02」は軽量で開口部も大きく、視力矯正用のメガネを掛けたままでも装着感が良い。また、メガネによる輝度落ちが少ないお陰で、3Dメガネを掛けたまま薄暗い部屋の中を見通す事ができ、照明の調節やリモコン操作も可能だった。映像面でも機能面でもストレスを感じにくいのは美点だ。

■基本に忠実な2D画質

2Dの画質は、一見してナチュラルな発色が印象的だ。一般的にエントリークラスの製品は色を派手に見せる傾向があるが、本機は充分に豊かな色再現が出来つつ、誇張したような不自然さが無いのだ。BenQは、ワールドワイドに販売する巨大メーカーであり、その見識も世界クラスと見た。

メニュー画面

明るさを重視したためか、筆者の測定では、色域がRec709にほんの少し届かなかった。昨今のホームシアター専用機がDCIレベルの広色域を誇る事を考えると、色の再現性は相対的に低く見えるが、我々が手にできるデジタル放送やブルーレイはRec709に沿って制作されているので、制作者の意図を忠実に再現するという点では、実用上問題ない。

色温度の測定データ。Pre-Calibrationは工場出荷状態の「Cinema」モード、Post-Calibrationは、同モードをキャリブレーションした後の状態を示している。キャリブレーション後も緑はRec709の色度点に届かず、彩度不足が見て取れ、シアンもやや彩度不足が否めないが、短時間で適正に追い込めた。実際の映像は、HDTVの制作基準を満たしていると考えて差し支え無い。明るいプロジェクターとしては優秀と言える


色温度の測定データ。Pre-Calibrationは工場出荷状態の「Cinema」モード、Post-Calibrationは、同モードをキャリブレーションした後の状態を示している。出荷状態でもまずまず良好な特性。キャリブレーションを行うと業務用途でも通用するレベルまで短時間で追い込めた。きちんと設計されている証だ

なお、映像モードを選択したり映像調整を行えば好みに調整できるが、制作者の意図した色調を忠実に再現するなら、「スタンダード」や「シネマモード」での視聴がおすすめだ。ダイナミックモードは明るさを稼げるが、緑色成分を増やす手法なので、プレゼンなどでは活用できそうだが、映画視聴にはおすすめできない。

次ページ2D画質をチェック − 設置性も魅力

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: