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手頃な価格の開放型モデル

実力派モデル再検証 − SHUREの開放型ヘッドホン「SRH1440」

公開日 2013/06/25 14:50 折原一也
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ハイレゾ再生で実感するSRH1440の空間描写力


次に、iBasso Audioのヘッドホンアンプ「D55」を接続し、PCからハイレゾ音源を試聴してみる。この試聴環境では本機の空間描写力の高さを実感することができた。

SHANTIの『Killing Me Softly With His Song』(96kHz/24bit)を再生すると、ヌケが極めて良く、試聴感はより“スピーカー的”だ。広さ方向だけではなく、高さ方向の空間も明確に描き出している。低音の質感もブーミーなものにはならず、ウーファーのような手応えを残す。硬質なサウンド傾向という特性を活かしながらも、より圧迫感のないリスニングと、自然なつながりを体感させるチューニングだ。男性ボーカル「Sing for Japan vol.2」よる『Don’t Give Up Your Mind』(24bit/96kHz)を再生すると、ダイナミックな音の再現性がより曲調と合って楽しめた。

なお、筆者が本機と特にマッチしたと感じたのは、ローリング・ストーンズ「GRRR! [Deluxe Version]」の収録曲『She's a Rainbow』(24bit/88.2kHz)だ。この曲はハイレゾ音源ではあるが、どちらかといえば高解像度サウンドを聴くというよりも“時代の味を鳴らす”楽しみがある。左右のチャンネルをめいっぱいに活かしたボーカルの鳴らし分けは、空間描写力に優れるSRH1440が得意とするところだ。

なお、本機の価格はオープンだが、想定売価が36,800円。価格帯を見ると同社のスタジオリファレンスヘッドホンシリーズの上位に位置するが、その中でも“スピーカー的”なフルレンジサウンドを実現するモデルだ。ハイエンドモデルが増えている開放型ヘッドホン市場において、SRH1440は強力な選択肢のひとつである。

折原一也 プロフィール
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。

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