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<IFA:レビュー>各社の4Kを折原一也がチェック(2) − 海外メーカー編

公開日 2013/09/08 17:51 折原一也
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IFA 2013の薄型テレビ関連の展示は、日本、韓国、そして中国のメーカーもほとんどのブースで4Kテレビを見ることができた。各社の4Kへの取り組みを改めて振り返っていこう。第1弾でお送りした国内メーカー編(関連記事)に続き、今回はサムスンやLGの韓国勢をはじめ、中国や欧州など海外メーカーの4Kについてレポートをお届けする。

■韓国勢の有機ELは「湾曲した」デザインがトレンドに!?

サムスン、LGら韓国勢も、日本では未発売の有機ELテレビ、4Kテレビの両方で競争を繰り広げている。

まず、サムスン、LGともにソニー、パナソニック同様に4K OLEDの試作機の展示を実施。サムスンは65型の蒸着方式のもので、フラット型と湾曲型の2タイプ。LGは77型の湾曲型1タイプで、他のLG製有機ELテレビと同様にRGBWの4色の画素構造を持つ。

サムスンの4K OLED。このほか湾曲版も展示

LGの4K OLED。77型モデル

有機ELテレビについては、フルHDのモデルであれば両社とも韓国、米国、そして欧州でも発売済みで、価格はサムスン、LGともに8,000ユーロ程度。前述のように両社とも「Curved(湾曲した)デザイン」を採用している。

なぜ画面を湾曲させるのかというと、視聴者から見て画面中央までの距離と端までの距離を一致させる、というのが基本的な考え方だ。この発想自体は10年以上前から存在するもので、LGによると、製品化にあたっては日本のラボからの提案も反映されているものだという。技術的には有機ELのほうが液晶と比較して湾曲デザインを作りやすく、サムスン、LGともにフラットな有機ELテレビより湾曲している方が消費者の反応が良かったとのことで、有機ELテレビ=湾曲ということにつながっている。

サムスンの湾曲OLED

LGの湾曲OLED

実際の画質については、サムスン、LGともにデモ映像に非常に鮮やかなコントラストの強い映像を見せており、有機ELらしい黒の沈みと発色の鮮やかさは見られるが、BDや放送など一般的なソースでの見え方は確認できなかった。

「湾曲している」という作りについては、角度がゆるやか(LGによると1.5Hより若干近い程度の距離に最適化しているとのこと)なこともあり、臨場感が高まる効果が実感でき、特に3D映像を視聴した際の没入感もより高く得られる。センター以外の位置や視聴距離が外れると意図しない湾曲した画面を眺めることになるが、思いのほか違和感は小さいように感じられた。

なお、この「画面を湾曲させる」というアイデアは、IFA 2013ではOLED以外でも見られた。サムスンが4K液晶の65型で湾曲モデルの試作機を作っていたほか、ソニーのブースにもフルHD液晶の変わり種モデルとして、「カーブした液晶」モデルである「KDL-65S995A」が登場している。

LGの額縁デザインOLED。フレーム部にスピーカーも内蔵。同社による名画のVOD配信と合わせて絵画を展示しているかのようにも利用できる

サムスンによる湾曲4K液晶

■4Kディスプレイは最大110インチまで展示

韓国勢の4Kテレビについては、まず圧倒的なサイズラインナップを見せつけたのがサムスンだ。既に発売済みのLED TV「S9」の65/55型モデルに加えて、最大サイズの110型、98型、85型という巨大モデルのバリエーションを展開。この大型ラインナップのうち唯一発売を予定している85型のみ直下型LEDを採用し、発売価格は35,000ユーロと他社と比べても割高な価格設定となっている。そのほか同社4Kテレビについては、新モデルはHDMI 2.0対応、発売済みのモデルについてもソフトウェアアップデートで対応を予定する。

なお、サムスンは4Kも含めて画質エンジンの働きについても技術デモを展開。MicroDimming、精細化、コントラスト処理などをクアッドコアプロセッサで行っていることを紹介しており、実際に効果を上げてられている様子がデモから感じられた。

サムスンの110型4K液晶

4Kでもローカルディミング対応。これは65型モデルに対する説明

そしてLGは、既に発売している84型をリニューアル、65型にも最新モデルを発表した。特に65V型は直下型LEDを採用し、電源オフの際に隠れるスライド式スピーカーを採用したハイエンド機に加えて、エッジライト型の廉価モデルを追加。トゥイーターに京セラの技術を利用した透明デザインとしており、2.1chの構成となっている。価格は直下型モデルの65型が米国で8,000ドル、55型が5,000ドル。なお、HDMI 2.0についてはアップデートで対応を予定しているとう。

なお、LGの4Kテレビは、4K放送やスーパーハイビジョンの圧縮方式として採用が見込まれているH.265(HEVC)のデコーダーを内蔵している。現在はHEVCの放送は存在しないが、欧州でリオ五輪に向けて4K 衛星放送が始まる動きがあり、また、DivXなどによるHEVCフォーマットでのネット配信といった動きがあるほか、ドイツ国内の事業者もHEVCサービスによる配信を検討している。

LGの4K液晶ラインナップ

LGの4K液晶、65型のエッジライト採用新モデル

さて、ここまでは韓国メーカーの動向を紹介してきたが、IFA 2013の会場内では、オランダPhilips、トルコのVESTELなど欧州メーカー、そして中国メーカーも含めて、4Kテレビのラインナップを展示していないメーカーはないという程に、大型サイズにおいて4Kは一般的なものになりつつある。

フィリップスのデザインTV

筆者が各メーカーにストリートプライスを取材して回った中で最も低価格の回答があったメーカーは中国のHisenseで、85型モデルが7,000ユーロ、65型が4,000ユーロ、58型が3,000ユーロ、50型では2,000ユーロ(すべてドイツ国内での想定価格)を提示していた。

ハイセンスの展示

今回のIFAのテレビ関連の展示をまとめると、有機ELは4K OLEDをターゲットにデバイス開発が着々と進んでいることが分かる。一方で、フルHDモデルを既に発売している韓国勢も含めて、高価な製品をどう商品として打ち出すかを模索している段階で、4K液晶と比較するとやや旗色が悪いようだ。

4K液晶については既にパネルも市場で購入できるため、「55/65型以上は4K」という認識が業界内では定着してきている印象だ。さらに、東芝など50型まで4Kを拡大する動きもあり、ラインナップが拡大すれば4Kはより身近になっていくだろう。

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