JVCとケンウッドのコラボコンポ「JK-RB21」「JK-RS11」をレビュー
日本を代表する二つのオーディオブランド、JVCとケンウッドが合併して生まれたJVCケンウッド。合併以降はお互いの良いところを認めつつ、持てる強みを融合させながら製品開発を進めているが、基本的に各々のブランドでの展開となっており、BDレコーダーとデジタルアンプが融合したユニークなオールインワンAVシステムであった『RyomaX(RY-MA1)』など、一部のアイテムでは協業の成果を見せてきていた。
そうしたなか、お互いの直販サイトにて限定セットとしてJVCが長年培ってきたウッドコーンスピーカーとケンウッドの高音質なミニコンポシステム『Kシリーズ』が融合した「JK-RB21」「JK-RS11」が限定販売されることとなった。先着100セットのみ、特別価格にて販売される。
この2つのセットの構成はセンターユニットに『K-531』のCDレシーバー部「R-K531」(「JK-RB21」はブラック、「JK-RS11」はシルバー)が選ばれ、スピーカー部にはいずれもウッドコーン・フルレンジを搭載する「SX-WD21」(「JK-RB21」用・9cmユニットのグレードアップ仕様)と、「SX-WD11」(「JK-RS11」用・8.5cmユニットのベーシック版)が組み合わせられる。
「R-K531」は「K-531」のセンターユニットのみを取り出したモデルで、フルデジタルプロセッシングのうえ、左右独立構成のデジタルアンプを搭載しており、ドライブ能力も申し分ない。単品モデルでは、音響効果を部屋の特性に合わせる補正技術「CONEQ」の解除を選択可能。ウッドコーンスピーカーを含め、様々なスピーカーへの対応能力を向上させているという。
この「R-K531」の大きな機能性の特徴としては、Bluetoothレシーバーを搭載したことによるワイヤレス伝送の実現とBluetooth再生時の音質改善を行う『ブルートゥース・サウンド・エンハンサー』による無線伝送のサウンド向上を行っていること、そしてiPod/iPhoneドッグ(30ピンマルチコネクタータイプ)からのデジタル伝送、USBメモリーからの最高96kHz/24bit・WAVファイル再生を可能としている点など、低価格ながら非常に完成度、機能性の高いユニットに仕上げられていることが挙げられる。
またデジタル化の際に失われる高域成分を補間する『Supreme EX』も20kHz以上の高調波成分を付加させるCD再生やデジタル入力に有効な“音楽CDモード”と、USBやiPodなどからのファイル再生時(48kHzまで)に可聴域内の信号補間を行う“音楽ファイルモード”を実装。さらに音響パワー補正技術『CONEQ』を積み込んだことで小型スピーカーでも自然な球面状の波形伝達を助ける作用を付加させ、サイズを感じさせない自然な音場再生を可能としている。
2つのウッドコーンスピーカーは正面から見ると両モデルの違いはキャビネットのくみ上げ方の違い、口径の僅かな差が感じられるが、音質に対しても大きな差を生むのはその奥行きだ。「SX-WD11」は奥行き239mmであるが、「SX-WD21」の奥行きは266.5mmと幾分長い。共にキャビネットには天然無垢チェリー材を用いており、内部から補強材を仕込んで剛性を高めて響きの質をコントロール。ウッド振動板およびセンターキャップには樺材を採用している。
なお「SX-WD21」についてはアルミショートリングをユニットに用いて中高域の歪を抑制。フロントバッフルには継ぎ目をなくしてラウンド加工を施すフラッシュサーフェスデザインを取り入れ、すっきりとしたクリアなサウンド再生を助けたほか、内部の吸音材も木製吸音材として高域の解像度や透明感、低音の豊かさを実現。ウッドコーンスピーカーの瑞々しい響きと定位の素直な点音源再生、ナチュラルで弾力良いサウンドを存分に楽しめる構成となっている。
試聴においてはこの「SX-WD21」を用いた「JK-RB21」を中心に進めていこう。「R-K531」のセッティングとしてはニュートラルな設定として聴き始めたが、低域の量感を10段階調整できる“D-BASS”を3〜6ほどに増やしておくとバランス良い音質となった(試聴環境:15帖ほどの空間内へスピーカーをアコースティックリヴァイブ製スタンドRSS-450に置き、壁から離れた場所でセッティング。スピーカー〜リスニングポイントまでは一辺90cmほどの正三角形を結んだ関係性のニアフィールドリスニング)。
iPod touch(第4世代)を使い、まずはBluetoothでのサウンドを聴いてみたが、すっきりとして低域のダンピングが利いたメリハリ良い音色である。『ブルートゥース・サウンド・エンハンサー』を入れることでより音像の密度が増し、空間の余韻もスムーズに表現。ピアノや女性ボーカルの質感も瑞々しさが増す。Bluetooth伝送でありがちな質感の粗っぽさはかなり解消されるようだ。
以降、そのまま『ブルートゥース・サウンド・エンハンサー』を入れた状態で試聴を続けた。クラシックではフルレンジ1発というメリット、さらに「R-K531」に実装された『CONEQ』の効果もあり、大きさを感じさせない伸びやかで定位の良いステージの広がりと奥行きの深さを得ることができる。管弦楽器の旋律を粒立ち細かく描きつつ、ローエンドは歯切れ良くまとめ、クリアでウェットなサウンドとしてくれる。
ジャズピアノは透明感のある軽快なタッチでドラムのアタックとともに鮮やかに描写。ウッドベースはハリ良く弦のたわみ感はキレ良く際立つ。胴鳴りの弾力はむっちりとしており、倍音のエッジ感が耳当たり良い。ボーカルはソリッドかつクールな描写で口元の分離良く鮮明な音像である。ホーンセクションはクリアかつストレートな音伸びを聴かせ、エナジーのある旋律を味わうことができた。一方ロックサウンドにおいても低域を程よく引き締めたリズム隊のキレあるグルーブが全体をリードし、エレキの腰高なディストーションも粒が揃って小気味よい。
続いてiPod touchを「R-K531」本体のドッグに差し込み、デジタル伝送でのサウンドを確認することにした。そのサウンドはBluetooth伝送とは比較にならないほど、音像の密度感、ディティールの滑らかさが増しており、微小な音の再現性やS/Nの高さについても好ましいクオリティだ。
クラシックの管弦楽器は澄みきった鮮やかなタッチで密度感も程よく流麗な旋律を奏でている。ジャズピアノはボディ内で響くハーモニクスの階調が一層細かくなり、クリアでハードなアタック感も際立つ。ウッドベースやドラムの低域はタイトに引き締め、音場の透明感も見事だ。ホーンセクションのプレイニュアンスも細やかで、アンビエントの表現も素直に感じ取れた。
ボーカルは硬質なタッチだがソリッドでクールな口元の輪郭感を彩り良く浮き上がらせる。ロックも各楽器の密度感を残しつつシャープで解像度が高い描写となり、キレ鮮やかなサウンドを堪能できた。なおCDリッピング音源に対しては『Supreme EX』が有効に作用し、躍動的でスムーズな質感を軸とした一際アナログライクな厚みのあるサウンドとして楽しむことができる点も付け加えておきたい。
そして本システム最高のサウンドが味わえるUSBメモリーからの96kHz/24bit・WAVファイル再生であるが、「SX-WD21」の持つキリッとした鮮明で伸びやかな高域と密度ある低域をよりダイレクトに引き出してくれるようで、ボーカルや弦楽器の倍音成分をカラッと華やかに際立たせ分離高い描写となる。クリアで解像度が高くピアノは爽やかなタッチで極めてヌケが良い。ボーカルの口元の動きもリアルで立体的だ。澄みきった空間に放たれた音のリリースは素早く消え、付帯感のない高域のクール&ウェットなディティール感をより際立たせているようである。
最後に「SX-WD11」を組み合わせた「JK-RS11」のサウンドについても触れておこう。スピーカーが一回り小さいとはいえ、フルレンジならではの音場のリアルな空間性、明確な定位感を軸としながら、程よく厚みを持たせた中低域の落ち着きと誇張感を抑えた自然な高域の鮮明さによってバランスの取れたサウンド傾向となっている。
「SX-WD21」と比較すると音場の広がりや音伸びの良さは幾分抑えられるが、トータルでのバランス感では「SX-WD11」もナチュラルで捨てがたい魅力に溢れた音色を持つ。そうした点でも「JK-RS11」はウッドコーンシステムに初めて触れるユーザーにはぜひ一聴いただきたいエントリーモデルといえるだろう。96kHz/24bitファイル再生では若々しいボーカルのハリが艶良く鮮やかに感じられ、分解能の高いサウンドを聴くことができた。低域は程よい締まりと厚みを両立しており耳馴染み良い。高域には多少ピーキーに感じるポイントがあるものの音像はシャープで倍音の輪郭感をスムーズにまとめる。
「JK-RB21」「JK-RS11」とも「R-K531」の素直で制動高いドライブ力にも支えられ、ウッドコーンの持つ独特な響きと瑞々しさを純度高く味わうことができた。これまでのウッドコーンシステムとも違う落ち着いた密度感が伴ったサウンドは単品コンポーネントにも繋がるオーディオの楽しさの一端を感じることができるだろう。
そうしたなか、お互いの直販サイトにて限定セットとしてJVCが長年培ってきたウッドコーンスピーカーとケンウッドの高音質なミニコンポシステム『Kシリーズ』が融合した「JK-RB21」「JK-RS11」が限定販売されることとなった。先着100セットのみ、特別価格にて販売される。
この2つのセットの構成はセンターユニットに『K-531』のCDレシーバー部「R-K531」(「JK-RB21」はブラック、「JK-RS11」はシルバー)が選ばれ、スピーカー部にはいずれもウッドコーン・フルレンジを搭載する「SX-WD21」(「JK-RB21」用・9cmユニットのグレードアップ仕様)と、「SX-WD11」(「JK-RS11」用・8.5cmユニットのベーシック版)が組み合わせられる。
「R-K531」は「K-531」のセンターユニットのみを取り出したモデルで、フルデジタルプロセッシングのうえ、左右独立構成のデジタルアンプを搭載しており、ドライブ能力も申し分ない。単品モデルでは、音響効果を部屋の特性に合わせる補正技術「CONEQ」の解除を選択可能。ウッドコーンスピーカーを含め、様々なスピーカーへの対応能力を向上させているという。
この「R-K531」の大きな機能性の特徴としては、Bluetoothレシーバーを搭載したことによるワイヤレス伝送の実現とBluetooth再生時の音質改善を行う『ブルートゥース・サウンド・エンハンサー』による無線伝送のサウンド向上を行っていること、そしてiPod/iPhoneドッグ(30ピンマルチコネクタータイプ)からのデジタル伝送、USBメモリーからの最高96kHz/24bit・WAVファイル再生を可能としている点など、低価格ながら非常に完成度、機能性の高いユニットに仕上げられていることが挙げられる。
またデジタル化の際に失われる高域成分を補間する『Supreme EX』も20kHz以上の高調波成分を付加させるCD再生やデジタル入力に有効な“音楽CDモード”と、USBやiPodなどからのファイル再生時(48kHzまで)に可聴域内の信号補間を行う“音楽ファイルモード”を実装。さらに音響パワー補正技術『CONEQ』を積み込んだことで小型スピーカーでも自然な球面状の波形伝達を助ける作用を付加させ、サイズを感じさせない自然な音場再生を可能としている。
2つのウッドコーンスピーカーは正面から見ると両モデルの違いはキャビネットのくみ上げ方の違い、口径の僅かな差が感じられるが、音質に対しても大きな差を生むのはその奥行きだ。「SX-WD11」は奥行き239mmであるが、「SX-WD21」の奥行きは266.5mmと幾分長い。共にキャビネットには天然無垢チェリー材を用いており、内部から補強材を仕込んで剛性を高めて響きの質をコントロール。ウッド振動板およびセンターキャップには樺材を採用している。
なお「SX-WD21」についてはアルミショートリングをユニットに用いて中高域の歪を抑制。フロントバッフルには継ぎ目をなくしてラウンド加工を施すフラッシュサーフェスデザインを取り入れ、すっきりとしたクリアなサウンド再生を助けたほか、内部の吸音材も木製吸音材として高域の解像度や透明感、低音の豊かさを実現。ウッドコーンスピーカーの瑞々しい響きと定位の素直な点音源再生、ナチュラルで弾力良いサウンドを存分に楽しめる構成となっている。
試聴においてはこの「SX-WD21」を用いた「JK-RB21」を中心に進めていこう。「R-K531」のセッティングとしてはニュートラルな設定として聴き始めたが、低域の量感を10段階調整できる“D-BASS”を3〜6ほどに増やしておくとバランス良い音質となった(試聴環境:15帖ほどの空間内へスピーカーをアコースティックリヴァイブ製スタンドRSS-450に置き、壁から離れた場所でセッティング。スピーカー〜リスニングポイントまでは一辺90cmほどの正三角形を結んだ関係性のニアフィールドリスニング)。
iPod touch(第4世代)を使い、まずはBluetoothでのサウンドを聴いてみたが、すっきりとして低域のダンピングが利いたメリハリ良い音色である。『ブルートゥース・サウンド・エンハンサー』を入れることでより音像の密度が増し、空間の余韻もスムーズに表現。ピアノや女性ボーカルの質感も瑞々しさが増す。Bluetooth伝送でありがちな質感の粗っぽさはかなり解消されるようだ。
以降、そのまま『ブルートゥース・サウンド・エンハンサー』を入れた状態で試聴を続けた。クラシックではフルレンジ1発というメリット、さらに「R-K531」に実装された『CONEQ』の効果もあり、大きさを感じさせない伸びやかで定位の良いステージの広がりと奥行きの深さを得ることができる。管弦楽器の旋律を粒立ち細かく描きつつ、ローエンドは歯切れ良くまとめ、クリアでウェットなサウンドとしてくれる。
ジャズピアノは透明感のある軽快なタッチでドラムのアタックとともに鮮やかに描写。ウッドベースはハリ良く弦のたわみ感はキレ良く際立つ。胴鳴りの弾力はむっちりとしており、倍音のエッジ感が耳当たり良い。ボーカルはソリッドかつクールな描写で口元の分離良く鮮明な音像である。ホーンセクションはクリアかつストレートな音伸びを聴かせ、エナジーのある旋律を味わうことができた。一方ロックサウンドにおいても低域を程よく引き締めたリズム隊のキレあるグルーブが全体をリードし、エレキの腰高なディストーションも粒が揃って小気味よい。
続いてiPod touchを「R-K531」本体のドッグに差し込み、デジタル伝送でのサウンドを確認することにした。そのサウンドはBluetooth伝送とは比較にならないほど、音像の密度感、ディティールの滑らかさが増しており、微小な音の再現性やS/Nの高さについても好ましいクオリティだ。
クラシックの管弦楽器は澄みきった鮮やかなタッチで密度感も程よく流麗な旋律を奏でている。ジャズピアノはボディ内で響くハーモニクスの階調が一層細かくなり、クリアでハードなアタック感も際立つ。ウッドベースやドラムの低域はタイトに引き締め、音場の透明感も見事だ。ホーンセクションのプレイニュアンスも細やかで、アンビエントの表現も素直に感じ取れた。
ボーカルは硬質なタッチだがソリッドでクールな口元の輪郭感を彩り良く浮き上がらせる。ロックも各楽器の密度感を残しつつシャープで解像度が高い描写となり、キレ鮮やかなサウンドを堪能できた。なおCDリッピング音源に対しては『Supreme EX』が有効に作用し、躍動的でスムーズな質感を軸とした一際アナログライクな厚みのあるサウンドとして楽しむことができる点も付け加えておきたい。
そして本システム最高のサウンドが味わえるUSBメモリーからの96kHz/24bit・WAVファイル再生であるが、「SX-WD21」の持つキリッとした鮮明で伸びやかな高域と密度ある低域をよりダイレクトに引き出してくれるようで、ボーカルや弦楽器の倍音成分をカラッと華やかに際立たせ分離高い描写となる。クリアで解像度が高くピアノは爽やかなタッチで極めてヌケが良い。ボーカルの口元の動きもリアルで立体的だ。澄みきった空間に放たれた音のリリースは素早く消え、付帯感のない高域のクール&ウェットなディティール感をより際立たせているようである。
最後に「SX-WD11」を組み合わせた「JK-RS11」のサウンドについても触れておこう。スピーカーが一回り小さいとはいえ、フルレンジならではの音場のリアルな空間性、明確な定位感を軸としながら、程よく厚みを持たせた中低域の落ち着きと誇張感を抑えた自然な高域の鮮明さによってバランスの取れたサウンド傾向となっている。
「SX-WD21」と比較すると音場の広がりや音伸びの良さは幾分抑えられるが、トータルでのバランス感では「SX-WD11」もナチュラルで捨てがたい魅力に溢れた音色を持つ。そうした点でも「JK-RS11」はウッドコーンシステムに初めて触れるユーザーにはぜひ一聴いただきたいエントリーモデルといえるだろう。96kHz/24bitファイル再生では若々しいボーカルのハリが艶良く鮮やかに感じられ、分解能の高いサウンドを聴くことができた。低域は程よい締まりと厚みを両立しており耳馴染み良い。高域には多少ピーキーに感じるポイントがあるものの音像はシャープで倍音の輪郭感をスムーズにまとめる。
「JK-RB21」「JK-RS11」とも「R-K531」の素直で制動高いドライブ力にも支えられ、ウッドコーンの持つ独特な響きと瑞々しさを純度高く味わうことができた。これまでのウッドコーンシステムとも違う落ち着いた密度感が伴ったサウンドは単品コンポーネントにも繋がるオーディオの楽しさの一端を感じることができるだろう。