[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第66回】iOS 7で実現! iPhoneからハイレゾ出力する方法を徹底ナビ
■ヘッドホンアンプ「HERUS」でハイレゾ再生音質チェック!
この環境でのHERUSの音質についても軽く触れておこう。
まず気になる(不安に思う)ところは「こんな小さくてiOS機器からのバスパワー駆動でヘッドホンアンプとしてのパワーは足りてるの?」というところだろう。
答えとしては「余裕があるわけではないが十分ではある」という感じだ。AKG K712 PROやSHURE SRH1840など駆動しにくい類の大型モニターヘッドホンと組み合わせた場合、iPhone側での音量調整を80%ほどまで上げると、僕の感覚での適当な音量を確保できる。大きめの音量を好む方が音量を出しにくいヘッドホンを使った場合には、音量が足りないと感じるかもしれない。しかしほとんどの場合、問題ないだろう。
なおK712 PROやSRH1840をiPhone 5のヘッドホン端子に直結した場合は、僕でも明らかに音量が足りないと感じる。それと比べればパワーは明確に向上しているわけだ。
基本的な音質面は、ESSの最新DACチップ「ES9010-2M」の威力なのか、この価格と小ささから多くの方が想像するレベルをおそらく上回っていると言えるだろう。ちなみにResonessence LabsはESSに在籍していたメンバーによって設立されたブランドであり、ESSチップの使いこなしには自信ありとのことだ。
K712 PROで聴くと、低音側はタイト傾向。量感を求めるはちょっと不足を感じるかもしれない。しかしその分だけ空間のすっきり感は高まっており、全体にクリアな印象だ。音調もよい具合にかっちりとしており、やや硬質だが耳障りではない。そのすっきり感とかっちり感のおかげで、ひとつひとつの音の周囲に広がる、ハイレゾらしい細かな成分といった要素も確かに感じられる。iOS環境でのハイレゾ再生の意義を十分に実感、納得できるだけの性能を備えたUSB-DAC/ヘッドホンアンプだ。
なお、HERUSをPCと普通にUSB接続した場合と音質の差があるかも…とチェックはしてみたが、明確な差というほどのものは感じられなかった。
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