【特別企画】aptX/AACなどでの高音質化に加え「Qi(チー)」にも対応
“音にこだわる”マクセルのBluetoothスピーカー「MXSP-WP2000」実力検証レポート
音質の特徴は? |
ではサウンドの印象を紹介していこう。
まず全体の印象をまとめておくと、コンパクトさに反して狙い通りに充実の中低域を主役に、高域は強い主張はさせずに、落ち着いた音調とバランスが特徴だ。
上原ひろみのピアノ・トリオの作品「MOVE」は、大枠としてはジャズということになってはいるが、プログレッシブハードロック的なアグレッシブな展開と演奏が特徴だ。
しかし本機で聴くとその攻撃的な部分、例えば音色のアタックやキレ、鋭さよりも、音色の厚みや落ち着きの方が際立つ。演奏の重厚さが引き出されて、これはこれで魅力的な表現だ。バランスとしてはやはりベースが強めにプッシュされ、またバスドラムはその低音の空気感まで届いてくる。ベースはややソフトタッチで、しかもその太さや厚みを明らかに強めているにも関わらず、音像を緩い膨らみにはしていないことがポイントだ。ふらつかず明確なリズムを叩き出してくれる。
それらの低音楽器と対照的に、高域は控えめでピアノの硬質さやシンバルのシャープさは出さない。また他にボーカルが主役のポップスを聴くと、声もクリア系ではなくかなりウォームな傾向。好みは分かれるだろう。
しかしそのおかげで、音量を下げても中低域がしっかりと残りバランスがよく、音量を上げても高域がうるさくならないという特長も得ている。シビアに聴き込むのではなく生活に音楽を溶け込ませるような使い方には、特に合っているかもしれない。
Perfume最新アルバムのオープニング「Enter the Sphere」はハードエレクトロな曲だが、本機はソフトタッチ傾向なので、この曲のバキバキのアタック感やハードなエッジ感の再現は控えめ。一方で中域の下の方と言うか低域の上の方と言うか、そのあたりの帯域が充実しているので、ベースやドラムスのその帯域の太さは存分に味わえる。
ヒラリー・ハーン「バッハ ヴァイオリン協奏曲」でも、前述の印象を再確認できる。弦の凛とした部分や軋みの凄みは緩めなものの、この全体に落ち着いてゆったりとした表現を好む方もいるだろう。気に障る音を出さないので、繰り返しになるが、一日中音楽を流し続けておきたいという方にはやはり合いそうだ。
イコライザーや低音強化の機能は用意していない。素直なサウンドを楽しんでほしい。そういった意図が伝わってくる。そして実際、その柔らかなサウンドはそのままで心地よいのだ。