【特別企画】VODをサラウンドで満喫する
音もこだわった高スペックタブレット「Kindle Fire HDX」で映画を楽しむ
■Kindle Fire HDXの内蔵スピーカーで『ローン・レンジャー』を楽しむ
ではいよいよ視聴時のインプレッションをレポートしていこう。『ローン・レンジャー』は、悪霊ハンターのトントと、死の世界から正義のために甦ったヒーロー・ジョンが主役の西部劇。本作における序盤の見せ場と言えば、走行する鉄道の上で繰り広げられるアクションだ。常時列車の走行音が聞こえ続ける中でドラマとアクションが繰り広げられ、BGMも挿入されるという音声再現的には難易度の高いシーンだが、Kindle Fire HDXの再生ではドルビーデジタルプラスの働きによって実に臨場感ある音空間が作り出される。
低く鳴り続ける列車の走行音はしっかり下方に位置しながら定期的な効果音を刻み続けるし、鎖を破壊する金属音、そして空間を飛び交う銃声や怒号と、音数の多いシーンでも細かい音までしっかり再現している。馬が併走するシーンの蹄の音まで低音のエネルギー感が見事だ。
バーチャルサラウンドの効果は「耳の後ろまで回る」という表現だけではその実力を語るに足りないほど、しっかりと「映画らしい音場」を作り出している。Kindle Fire HDXで動画コンテンツを視聴する際には、普通はテーブルなどに平起きするかスタンドのように立てることになると思うが、本機は目の前のテーブルに倒した状態〜顔の正面に置いた位置までのポジショニングで、しっかりとサラウンドを楽しめる。Kindle Fire HDXのスピーカーは背面上部に配置されており視聴者とは逆側を向けられているが、ドルビーデジタルプラスの「オーディオオプティマイザー」技術で内蔵スピーカーの周波数特性をチューニングした結果、それを感じさせず自然と正面から聞き取れるようになっている。
また、ドルビーデジタルプラス5.1chでエンコードされた音声については、手前方向の立体感を歯切れ良く出しているので、特に本機の内蔵スピーカーで視聴すると実に「映画らしい」し、さらに言えばタブレットの画面でありながら、きちんと「5.1chらしい」サウンドだ。先日Phile-webに公開されたインタビューでも、ドルビーのエンジニアがスピーカーも含めてチューニングをしたことが語られているが、バーチャルサラウンドでこれほどの完成度に到達したのは、内蔵スピーカーも含めた合わせ込みの技術あってのものだろう。
■ヘッドホン視聴でもドルビーデジタルプラスの効果は絶大
ドルビーデジタルプラスによるバーチャルサラウンドの効果は、手持ちのヘッドホンを装着して視聴した際にも健在だった。
筆者が自宅で音楽を聴く際に常用しているAKG「K712 PRO」をKindle Fire HDXに接続して、同じく『ローン・レンジャー』を視聴してみると、微細音まで歯切れ良く鳴らすチューニングはそのままに、サラウンドが完全に耳の後ろまで周り込んでくる。ヘッドホンによる視聴感は、ホームシアターやバーチャルヘッドホンで多数の採用実績があるドルビーヘッドフォン直系の技術といった印象で、背後の方向まで個々の音を鳴らし分け、ディテールをより明確に描き出している。
ヘッドホン視聴で特に圧倒されたのは、暴走した列車が開拓村の駅を通過するワンシーンだ。列車の音が頭の中を駆け抜けていき、継続して鳴り続ける低音の質感が実にパワフル。それでいてセリフの成分はしっかりとセンターに定位しており、映画の視聴感として実に満足度が高かった。
もう一つ、筆者が外出時に持ち歩いているソニーのノイズキャンセリングイヤホン「MDR-NC100D」を使って地下鉄内でも視聴してみたが、こちらもなかなか相性が良かった。インナー型でも5.1chソースのサラウンド感を大きなスケールで再現しており、低音の量感がしっかりしていて映画らしい臨場感を出す。こういったモバイル環境における視聴でもサラウンドを高品位に楽しめることは、Kindle Fire HDXとAmazonインスタント・ビデオの大きなポイントである。