【特別企画】音質向上コンポーネント『Wind Bell』徹底解剖
注目の“音質向上コンポーネント”『Wind Bell WB-30』 − その効果を炭山アキラが多角度から徹底検証
■アナログプレーヤーへの効果は「ここまでとは思わなかった」 |
高度なスプリングとショックアブソーバーで完璧に振動を遮断するウィンドベルはアナログにも完璧に対応してくれる。そこで、ここではラックスマンの「PD-171」とラックの間に挿入して音を聴いてみることとした。
レコード1枚目の冒頭で弱音部のS/N感が劇的に向上していて舌を巻いた。弦の涼やかに伸びる感じ、音場のビロードをなでるような質感が何とも素晴らしい。S/Nの向上は明らかにインシュレーション効果の賜であろうが、弦の伸びと質感の向上は風鈴の効果ではないかと推察する。
ここでちょっとイタズラ心が起き、実験してみることとした。手持ちのレコードには高域方向が寂しく、今ひとつすっきりと楽しめないものが何枚もある。それらを風鈴効果で気持ち良く聴くことができないかと考えた次第だ。
まず、ナット・キング・コールの古いLPから「モナリザ」をかける。この盤はかなりコンディションの悪い中古盤で、寄る年波からか高域特性が落ちてしまっているのはもとより、声がジャリジャリとしてどうにももどかしかった。それが、ウィンドベル装備のプレーヤーでは一気にあの艶やかな声を彷彿させる鳴り方に変わったではないか!
察するに、声の帯域の豊かな倍音成分を風鈴が見事に整えてくれたのであろう。これなら十分以上に楽しむことが可能だ。
次に渡辺香津美「トチカ」を聴く。これはわが家にある数年前に発売された復刻盤では高域までしゃっきりと伸びているのに、たまたま手元にあった往年の通常盤はどうにもハイ落ちで詰まったような音なのだ。
というわけで、ウィンドベル装備のプレーヤーでそのハイ落ち通常盤をかけてみる。そうしたら、さすがの風鈴もここまでのハイ落ちは補整できないようだった。というより、本質的に伸びた音を美しく整える効果はあっても、そもそも出ていない音を付け加えるということはないのであろう。風鈴効果が「余分な音を出す」装置ではなく、「本来の素性をより磨き上げる」ものであることが確認できて、個人的にも非常に有意義な実験だった。皆さんにもぜひ追試してもらいたい項目である。
それにしても、効果があるだろうとは予測していたが、ここまでとは思わなかった。ウィンドベルが最も効果的なのはアナログではないかと思わせるほどだった。しかも副作用らしきものが聴こえてこないのは不思議なほどである。アナログのインシュレーションが十分でないと感じている人はもちろん、大きな不満を感じていない人もぜひ一度試してみてほしい。
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