【特別企画】Fazor Technology採用モデルの実力検証!
米AUDEZEの最新平面駆動ヘッドホン「LCD-X」「LCD-XC」に迫る
■岩井喬がLCD-X/LCD-XCの実力を据え置き&ポータブル環境で徹底検証
「Fazor Technology」などの最新技術を採用したAUDEZEの平面磁界・全面駆動式ヘッドホンLCD-X/LCD-XC。今回は評論家・岩井喬氏が、据え置き&ポータブルなど様々な環境における2機種の実力を徹底検証する。
・開放型「LCD-X」
平面駆動型の高級機として国内でも広く認識されるようになってきたAUDEZEのLCDシリーズ。その新たなオープン型上位機であるLCD-Xであるが、従来機に比べ抑揚の勘所を上手に掴んだ低歪かつ素直でレスポンスに優れたサウンドを獲得したように感じる。
まず据え置き環境としてラックスマンのUSB-DAC「DA-06」とフラッグシップヘッドホンアンプ「P-700u」の組み合わせで試聴を行ってみたが、平面駆動型ならではの密度の高い音像と、癖のないスムーズなアタック&リリースを生かしたナチュラルな音場感を味わうことができた。
低域はむっちりとした弾力良い肉厚な表現となるが、鈍重にはならずレスポンス良く押し出してくる。192kHz/24bit音源におけるオーケストラの旋律もきめ細やかで、音離れの良い高解像度なハーモニーが展開。中高域にかけての質感も素直で厚みがあり、質感の滑らかさが耳当たりの良さに繋がっている。ボーカルに関しても肉厚で密度の高いボディ感を持たせており、口元の流麗ですっきりとした輪郭を感じることができた。DSD音源では立体的でナチュラルな音像表現となり、広がり豊かな音場は澄みきっている。質感の滑らかな描写によってより生々しさが際立つようだ。バランス駆動に切り替えると制動感や空間表現力が格段に向上し、付帯感のないシャープな音像定位と奥行きも適度に感じられるリアルな立体感が得られるようになる。
さらにポータブル環境での試聴であるが、まずは今注目されているハイエンドハイレゾ対応DAP、Astell&Kern「AK240」へ直結したサウンドから確かめてみた。厚みのある音像はウェットな艶を持ち、ほぐれ良く安定感ある音質傾向である。ハイレゾ音源では低域のダンピングも良く、レスポンスも素早い。DSD音源のネイティブ再生では自然な空間性に加え、弦楽器やボーカルのヌケの良さ、ディティールにおける倍音のリッチな艶乗りを味わえた。
続いて「iPod touch」に直結したサウンドである。こちらも音量感に不足もなく、音像を滑らかかつスムーズに描き出し、リッチでふくよかなサウンド傾向となるが、アタックはやや弱めである。弦楽器やピアノはウォームな響きとなり、ボーカルはハリ艶良く厚めの描写だ。さらにポータブルDAC/アンプのCEntrance「HiFi-M8」へiPod touchをデジタル接続。LCD-Xはバランス駆動でドライブさせてみると解像感や制動力が向上し、太く安定感あるサウンドとなった。艶良く滑らかな傾向はそのまま継承され、耳当たり良い。USB接続での192kHz/24bit再生では麗しいウェットな音色を聴かせ、厚み良くどっしりとした低域と爽やかな中高域のバランスが整う。余韻もゴージャスに響き、温かみのあるサウンドに包まれる。
HiFi-M8 LXを用いてiBasso audio「HDP-R10」を光接続した場合は、角が丸いマイルドな傾向となるが、粒立ち細かく分離の良い空間表現と肉付き良くナチュラルな落ち着きを持つボーカルを楽しむことができた。
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