写実基調の中で純度の高いクオリティが追求されている
洗練された音調のミドルクラスA級パワーアンプ「M-600A」
M-600Aは最高級機B-1000fを頂点にするシリーズの第3作目となるミドルクラスのA級パワーアンプである。電力増幅回路は1000fで開発された3段ダーリントン4パラレルプッシュプル構成のモジュールが採用されている。1000fではこのモジュールを4基、M-800Aは2基搭載した8パラレル回路。M-600Aは1基で構成、出力は30W+30W(8Ω)としたもので、このクラスのA級アンプとして標準的な出力量である。
パワーリニアリティーは大型680VAのEI型ハイレギュレーション電源トランスの搭載により、4Ω負荷で60W+60Wの理論値に達成する連続実効出力が確保されている。また、ラックスマンの特徴に独自の帰還回路ODNFがある。これは超広帯域、ハイスルーレート、低歪回路を目的に開発されたもので、NFBの方法は歪成分だけをフィードバックさせ音楽信号から切り離す手法である。最新のODNF(Ver.2.3A)の搭載や高品質カスタムパーツの採用などが高純度な再生音に貢献しているようだ。
M-600Aの魅力は高S/Nで洗練された高解像度基調である。中低域はダンピングを効かせ引き締まる力強さがあり、低音の躍動も彫りを深く表現して十分にダイナミックな立体性や分解力の高い表現を楽しませる。
パワーモジュールはM-800Aと同じバージョンということもあり、ピュアで明晰な表現力は同系のものになっているが、600Aの方はより繊細な再現力を感じる面もある。バイアンプ構成をするのであれば低域に800A、中高域に600Aという選択が適しているだろう。高域の倍音スペクトラムが精彩に美しく伸びて、純度が高いため中高域のニュアンスは冴えて新鮮な感触を伝えてくる。繊細な倍音スペクトラムなど帯域情報の豊富なクラシック音楽にも適したものである。
M-600Aのニュートラルで明確、コントラストや解像度を重視した音質は、いかにもA級アンプらしい特別な芸術性を加えていない設計であることに特徴がある。ラックスマンのA級アンプは写実基調の中で純度の高いクオリティが追求されていることがわかる。
A級動作は無信号でも一定の最大電流を流しておく方式であるため効率は悪くなるが、2個の電力素子を交互に動作させるB級に対し、切り換え動作がないため原理的にスイッチングノイズが発生しないのがメリットだ。ただ、そのことが柔らかいなど特別な性質をもたらすとは考えにくい。A級は低歪化、クオリティの改善として作用するもので、A級アンプもメーカーによって音質に違いがあるのは、理想とする考え方に違いがあるためと思われる。
パワーというエネルギー密度は上級M-800Aに負けるが、広帯域で立ち上がりに優れ明晰な解像度を持つ表現がM-600Aの魅力である。セパレートアンプ構成では最終的な音質、駆動力を決定するのがパワーアンプである。このことからパワーアンプの描写性能、クオリティ、エネルギーの瞬発力は重要だ。
高級機と中級機では、価格の違いが電源規模や筐体構造といった物量が影響してくるため、力の差はどうしても発生しやすい。しかし、上級機に対し不利な要素はあっても、大切なのはプリアンプから受けた信号情報を正確、ストレートに電力エネルギーとしてスピーカーへ供給する性能である。パワーという固まりではなく、広帯域、高速レスポンス、トランジェントに優れた繊細な高域特性といったデリケートな性能があれば、ミドルクラスも格別なサウンドを楽しむことができる。
音質レポートは主にXLRケーブル7N-A2070で接続したもので、報告にある音の傾向はRCA系よりも有利なように思う。ただ、低域、中低域はダンピングが強力に作用して余分なふくらみが発生しにくいため、もう少し肉厚なボリュームが欲しいという場合は、RCA入力を使うと解決されるような傾向がある。この系統もクオリティが高く、好みや相性によって接続方法を選ぶといいだろう。
C-600、M-600AをXLRケーブルによってる組み合わせると、これはパワーアンプを最良の状態にした場合と同等のクオリティが得られる。プリアンプの魅力も十分に発揮されている。極めて相性良く設計されたセパレートアンプだ。プリ、パワーとも高/N、広帯域で性質が揃っているためである。ラックスマンのセパレートはこの音だというポリシーが貫かれている。セパレートアンプの現状の中で、この価格はコストパフォーマンスが高い。高純度、広帯域を目指すピュアステレオの魅力を追求するマニアに薦められる製品である。
【SPEC】●連続実効出力:30W+30W(8Ω、ステレオ)、60W+60W(4Ω、ステレオ)、120W(8Ω、モノラル) ●最大出力:120W+120W(2Ω、ステレオ)、240W(4Ω、モノラル) ●入力感度:55mV/30W(8Ω) ●全高調波歪率:0.009%(1kHz、8Ω)、0.1%以下(20Hz〜20kHz、8Ω) ●SN比:114dB(IHF-A) ●消費電力:290W ●外形寸法:440W×189H×420Dmm ●質量:26.5kg
パワーリニアリティーは大型680VAのEI型ハイレギュレーション電源トランスの搭載により、4Ω負荷で60W+60Wの理論値に達成する連続実効出力が確保されている。また、ラックスマンの特徴に独自の帰還回路ODNFがある。これは超広帯域、ハイスルーレート、低歪回路を目的に開発されたもので、NFBの方法は歪成分だけをフィードバックさせ音楽信号から切り離す手法である。最新のODNF(Ver.2.3A)の搭載や高品質カスタムパーツの採用などが高純度な再生音に貢献しているようだ。
M-600Aの魅力は高S/Nで洗練された高解像度基調である。中低域はダンピングを効かせ引き締まる力強さがあり、低音の躍動も彫りを深く表現して十分にダイナミックな立体性や分解力の高い表現を楽しませる。
パワーモジュールはM-800Aと同じバージョンということもあり、ピュアで明晰な表現力は同系のものになっているが、600Aの方はより繊細な再現力を感じる面もある。バイアンプ構成をするのであれば低域に800A、中高域に600Aという選択が適しているだろう。高域の倍音スペクトラムが精彩に美しく伸びて、純度が高いため中高域のニュアンスは冴えて新鮮な感触を伝えてくる。繊細な倍音スペクトラムなど帯域情報の豊富なクラシック音楽にも適したものである。
M-600Aのニュートラルで明確、コントラストや解像度を重視した音質は、いかにもA級アンプらしい特別な芸術性を加えていない設計であることに特徴がある。ラックスマンのA級アンプは写実基調の中で純度の高いクオリティが追求されていることがわかる。
A級動作は無信号でも一定の最大電流を流しておく方式であるため効率は悪くなるが、2個の電力素子を交互に動作させるB級に対し、切り換え動作がないため原理的にスイッチングノイズが発生しないのがメリットだ。ただ、そのことが柔らかいなど特別な性質をもたらすとは考えにくい。A級は低歪化、クオリティの改善として作用するもので、A級アンプもメーカーによって音質に違いがあるのは、理想とする考え方に違いがあるためと思われる。
パワーというエネルギー密度は上級M-800Aに負けるが、広帯域で立ち上がりに優れ明晰な解像度を持つ表現がM-600Aの魅力である。セパレートアンプ構成では最終的な音質、駆動力を決定するのがパワーアンプである。このことからパワーアンプの描写性能、クオリティ、エネルギーの瞬発力は重要だ。
高級機と中級機では、価格の違いが電源規模や筐体構造といった物量が影響してくるため、力の差はどうしても発生しやすい。しかし、上級機に対し不利な要素はあっても、大切なのはプリアンプから受けた信号情報を正確、ストレートに電力エネルギーとしてスピーカーへ供給する性能である。パワーという固まりではなく、広帯域、高速レスポンス、トランジェントに優れた繊細な高域特性といったデリケートな性能があれば、ミドルクラスも格別なサウンドを楽しむことができる。
音質レポートは主にXLRケーブル7N-A2070で接続したもので、報告にある音の傾向はRCA系よりも有利なように思う。ただ、低域、中低域はダンピングが強力に作用して余分なふくらみが発生しにくいため、もう少し肉厚なボリュームが欲しいという場合は、RCA入力を使うと解決されるような傾向がある。この系統もクオリティが高く、好みや相性によって接続方法を選ぶといいだろう。
C-600、M-600AをXLRケーブルによってる組み合わせると、これはパワーアンプを最良の状態にした場合と同等のクオリティが得られる。プリアンプの魅力も十分に発揮されている。極めて相性良く設計されたセパレートアンプだ。プリ、パワーとも高/N、広帯域で性質が揃っているためである。ラックスマンのセパレートはこの音だというポリシーが貫かれている。セパレートアンプの現状の中で、この価格はコストパフォーマンスが高い。高純度、広帯域を目指すピュアステレオの魅力を追求するマニアに薦められる製品である。
【SPEC】●連続実効出力:30W+30W(8Ω、ステレオ)、60W+60W(4Ω、ステレオ)、120W(8Ω、モノラル) ●最大出力:120W+120W(2Ω、ステレオ)、240W(4Ω、モノラル) ●入力感度:55mV/30W(8Ω) ●全高調波歪率:0.009%(1kHz、8Ω)、0.1%以下(20Hz〜20kHz、8Ω) ●SN比:114dB(IHF-A) ●消費電力:290W ●外形寸法:440W×189H×420Dmm ●質量:26.5kg