【特別企画】ミックスウェーブがプロデュースする高品位デジタルオーディオの世界
“日本限定”仕様の秘密とは? Unique Melody初ユニバーサルイヤホン「MAVERICK」「MASON」に迫る
【2】 初ユニバーサルモデル2機種登場!日本限定発売の理由とは?
ここからは、いよいよUnique Melody初のユニバーサルモデルあるMAVERICKとMASONに迫っていこう。まずは2機種の製品プロフィールから。
▼「MAVERICK」と「MASON」の製品プロフィール
MAVERICKは、ダイナミックドライバーとBAドライバーを搭載するハイブリッドモデル。高域にBAドライバーを2基、中域にBAドライバーを1基、そして低域にダイナミックドライバーとBAドライバーをそれぞれ1基ずつ搭載するという、こだわりの4ウェイ5ドライバー構成としている。周波数特性は10Hz〜19kHzで、入力感度は111dB、インピーダンスは51Ω。
MASONは、高/中/低域それぞれに4基ずつ・合計12基ものBAドライバーを搭載するモデル。周波数特性は20Hz〜20kHzで、入力感度は110dB、インピーダンスは22Ωとなる。
2機種とも、今年6月に開催されたe☆イヤホン主催のポータブルオーディオイベント「ポタフェス」のミックスウェーブブースで参考展示されており(関連ニュース)、同イベントの直後から本格的に製品化に向けて開発が始まったという。注目のポイントは、日本限定発売であることと、日本向けモデルとして国内代理店のミックスウェーブが携わり特別なチューニングを施していることだ。
▼日本限定発売の理由とは?
そもそもなぜ日本限定発売なのか? これは、まずUnique Melody本社内で、製品の世界展開に関する方針が変わったことが関係しているのだという。
具体的にいうと、これまではUnique Melodyが本国で企画開発した自社製品を、各国の正規輸入代理店を通じて世界展開していくというスタンダードなやり方であった。それが今季になり、「各国の正規輸入代理店の意見を組み入れながら、それぞれの土地にあった製品を投入していく」という方針に変わったのだ。
そこで、日本の正規輸入代理店であるミックスウェーブが携わり、“日本市場に合うモデル”として開発されたのが、今回のMAVERICKとMASONの2機種だったというわけだ。同時に、この2機種が同ブランド初のユニバーサルモデルとなった。前頁でご紹介したような従来のカスタムIEMラインナップとは、製品企画時点から性格が異なるモデルなのである。なお、日本に先駆けて欧州・シンガポール・ロシアなどでも既にこのような取り組みが始まっており、各国の市場に合うUnique Melody製品が展開されている。
▼日本向け製品として“ユニバーサルモデル”を展開する理由は?
ミックスウェーブとしては、日本市場において「ブランドイメージの拡散がカスタムIEMより容易であること」を大きな理由として、ユニバーサルモデルの展開を決定したという。カスタムIEM市場におけるUnique Melodyの認知度は高いが、そもそもカスタム市場自体の規模はユニバーサル市場に対して小さい。そこで、さらにブランドイメージを広げることを目的に、市場規模の大きいユニバーサルモデルを展開することになった。
また、同時に「製品の持つ音質クオリティを広く拡散すること」も大きな狙いの1つであるという。当たり前のことではあるが、カスタムIEMは個人の耳型にあわせて制作されているため、1人のユーザーが所有するモデルを他の人が試しに使用するということができない。ユニバーサルモデルであれば、所有者以外の人間が“試しに使ってみる”という行為が可能であり、これによって製品の音質クオリティがより拡散し、広く認知されていく効果が期待できるというわけだ。
なお、そんな音質クオリティを決定する音質チューニング作業にも、ミックスウェーブがしっかり携わっている。2機種のチューニング作業を主に担当した同社K.M氏によれば、2機種とも「実際にスタジオモニターで聴いた場合にどう聴こえるかを重視した、“原音忠実再生”の実現を目指した」という。
シェルの造形に3Dプリンターを使用したことはユニバーサルモデルだけの新しいポイントだが、2機種とも「これまでUnique MelodyがカスタムIEM開発で培ってきた技術を、全てユニバーサル向けに注ぎ込んだ」とのことで、同氏は「これまでのカスタムIEM開発があったからこそ実現したユニバーサルモデル」と語っている。
では、2機種それぞれ実際にどんな音がするのだろうか? いよいよ次頁では、高橋敦氏による2機種の音質レビューをお届けしよう。