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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(3)

“ラズパイ・オーディオ” の音質を高めよう! 「クロックダウン」で再生を追い込む

公開日 2015/07/31 11:48 海上忍
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Raspberry Piを「クロックダウン」する利点

その「クロック」は、端的にいえば上げるか下げるかの二択となるが、音質向上という文脈においては「下げる」以外考えにくい。クロックを上げれば処理能力/演算能力が上がり、符合化/復号化処理を伴うオーディオ再生はより安定するが、一方では電磁ノイズの増大とチップ温度の上昇が懸念される。クロックを下げすぎると再生が不安定化しかねないが、支障ないレベルまで下げれば電磁ノイズとチップの発熱を抑制でき、消費電力も減るのでバッテリーは長持ち、という利点がある。

一般的なPCでCPUのクロックを下げる場合、ローレベルなファームウェア(BIOS)にアクセスすることになるだろう。しかし、そのような項目がBIOSに用意されているとはかぎらず、用意されていてもメガヘルツ単位で調整することは難しい。少なくとも、大手メーカー製PC(Mac含む)でそのような細かいカスタマイズが可能な製品は聞いたことがない。

しかし、Raspberry Piならば「クロックダウン」は容易だ。ラズパイ・オーディオで扱うLinuxディストリビューション「Volumio」およびそのベースとなった「Raspbian」は、起動時に/boot/config.txtというテキストファイルの内容を参照し、そこに記載の内容をARMコア初期化前にGPUが読み込みシステムを起動するので(Raspberry PiはBIOSを持たない)、適当なテキストエディタを使い内容を書き換えるだけでいい。

/bootボリュームはVFATでフォーマットされているため、Windows/Macで直接マウントできる。Linuxでの作業に抵抗がある場合は、Windows/Macのテキストエディタで作業しよう

どのように書き換えるかだが、基本は「プロパティ=値(整数値)」の形式で1行ごとにら列していけばいい。リスト1では、1行目から3行目までは拙著の推奨設定をそのまま、5行目でプロセッサのクロック数(Raspberry Pi 2の初期値は900MHz)を500MHzに、6行目でGPUコアのクロック数(初期値は250MHz)を200MHzに、7行目で供給電力の最大電圧(初期設定ではcurrent_limit_overrideオプションが効くため、筆者の環境では1.3125V)を1.2Vに設定している。

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リスト1:/boot/config.txtの記述例

1: gpu_mem=16
2: hdmi_drive=2
3: max_usb_current=1
4:
5: arm_freq=500
6: gpu_freq=200
7: over_voltage=0
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