音質ファーストインプレッション
ケンウッドのハイレゾヘッドホン「KH-KZ1000」レビュー。上位機「KZ3000」とどう違う?
ケンウッドから2009年春以来となる新ヘッドホンが登場! このヘッドホンブームの中であえて沈黙していたケンウッドがなぜいま復活なのか? 実はマーケティング調査では2009年以降も「ケンウッドのヘッドホン」への期待は常にあり、同社としてもそれを把握していたとのこと。
ケンウッドといえばモータースポーツへのサポートでも知られ、その放送等ではピットクルーが同社のロゴの入った無線ヘッドセットを装着している姿もなじみがあり、ケンウッドファンにはケンウッドブランドを身にまといたい気持ちがあったようだ。ならばその期待に応えていこうというのも、このプロジェクトの原動力だったらしい。
ラインナップはヘッドホンとイヤホンのスタンダードモデルとその上位となるモデルの2組4モデル。ここで紹介する「KH-KZ1000」はヘッドホンのスタンダードモデルだ。ベーシックデザインは上位モデルの「KH-KZ3000」(レビュー記事)と共通している。
技術面でいうと、最大の特長は「クアッドダクトエンジン」だ。
空気孔による調整で低域の特性をコントロールすること自体はよくある手法ではある。ではこの技術は何が独特なのかというと、空気孔(ダクト)を4つ(クアッド)設置し、それぞれが低域内での異なる周波数を持ち上げるように調整されていることだ。
ピーク(強調する帯域の山)を適切にずらして配置することで、その重なり合いによってピークがなだらかにつながってよりフラットに幅広く低域全体を持ち上げることができる。おかげで低域の存在感が素直に自然に豊かになるわけだ。
外観デザインは妙な奇抜さは狙わずソリッド。
しかし細部には、「KENWOOD」ロゴの「W」に配されているレッドトライアングルをハウジング上部に仕込むなどのちょっとした主張が込められいる。ハウジングのスピン加工の中心がハウジング全体の中心点ではなく、レッドトライアングルの先端部分になっているのもポイントとのことだ。
オンイヤー型のイヤーパッドはKZ3000だとソフトPUレザーなところこちらは普通の合皮。肌触りは少し硬い。しかし金属製の制振パーツをいくつか搭載するKZ3000よりもこちらの方が軽量なので、そこは装着感の面での好条件だ。
なお、KZ3000と共通で脱着式ケーブルのヘッドホン側の端子は3.5mm "4極"となっている。
そして実際のサウンドだが、方向性としては当然ながらKZ3000と共通している。量感や厚みを稼ぐタイプではなく、タイトでスパンとしたキレの良さを強みとするタイプだ。
しかしトリプルマグネットや各種制振パーツ等で駆動力と制振性を高めているKZ3000よりは音の遊びが少し残されており、あちらよりは少し親しみやすいと言えるタイプかもしれない。
相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」では、冒頭のバスドラムの音場を揺らす低域の空気感はKZ3000よりも少し控えめと感じる。しかし例えばその底の帯域だけとか音の太さを出す帯域だけとかが抜けているとかそういった癖はなく、低域全体のバランスはやはり良好。
だが強いて言えばベースの音像はこちらの方が少し大柄。こういった部分が前述の「少しの遊び」を感じさせるところだ。といってもあくまでも「少しの」であり、音がぼわんと緩むわけではない。こちらくらいの大きさ太さの方が好みという方もいそうだ。
音色や空間のすっきり感はやはりKZ3000が上ではあるが、こちらもそこが弱いわけではない。KZ3000を「豊かな透明感」とすればこちらは「ばしっとさっぱり感」といったニュアンス。
実際にはそこまでの振り幅ではないが極端に表現すると、KZ3000には大人の落ち着きを、KZ1000には若い活発さを感じる。なので喜多村英梨さん「掌 -show-」のようなメタリックなサウンドだとこちらKZ1000の方がしっくりきたりもするのだ。ギターのエッジの荒さなどはこちらの方がよい具合に派手にしてくれる。
結果的にはKZ3000と同系統でありつつも異なるニュアンスも備えており、シリーズの幅を広げてくれているモデルだ。
ケンウッドといえばモータースポーツへのサポートでも知られ、その放送等ではピットクルーが同社のロゴの入った無線ヘッドセットを装着している姿もなじみがあり、ケンウッドファンにはケンウッドブランドを身にまといたい気持ちがあったようだ。ならばその期待に応えていこうというのも、このプロジェクトの原動力だったらしい。
ラインナップはヘッドホンとイヤホンのスタンダードモデルとその上位となるモデルの2組4モデル。ここで紹介する「KH-KZ1000」はヘッドホンのスタンダードモデルだ。ベーシックデザインは上位モデルの「KH-KZ3000」(レビュー記事)と共通している。
技術面でいうと、最大の特長は「クアッドダクトエンジン」だ。
空気孔による調整で低域の特性をコントロールすること自体はよくある手法ではある。ではこの技術は何が独特なのかというと、空気孔(ダクト)を4つ(クアッド)設置し、それぞれが低域内での異なる周波数を持ち上げるように調整されていることだ。
ピーク(強調する帯域の山)を適切にずらして配置することで、その重なり合いによってピークがなだらかにつながってよりフラットに幅広く低域全体を持ち上げることができる。おかげで低域の存在感が素直に自然に豊かになるわけだ。
外観デザインは妙な奇抜さは狙わずソリッド。
しかし細部には、「KENWOOD」ロゴの「W」に配されているレッドトライアングルをハウジング上部に仕込むなどのちょっとした主張が込められいる。ハウジングのスピン加工の中心がハウジング全体の中心点ではなく、レッドトライアングルの先端部分になっているのもポイントとのことだ。
オンイヤー型のイヤーパッドはKZ3000だとソフトPUレザーなところこちらは普通の合皮。肌触りは少し硬い。しかし金属製の制振パーツをいくつか搭載するKZ3000よりもこちらの方が軽量なので、そこは装着感の面での好条件だ。
なお、KZ3000と共通で脱着式ケーブルのヘッドホン側の端子は3.5mm "4極"となっている。
そして実際のサウンドだが、方向性としては当然ながらKZ3000と共通している。量感や厚みを稼ぐタイプではなく、タイトでスパンとしたキレの良さを強みとするタイプだ。
しかしトリプルマグネットや各種制振パーツ等で駆動力と制振性を高めているKZ3000よりは音の遊びが少し残されており、あちらよりは少し親しみやすいと言えるタイプかもしれない。
相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」では、冒頭のバスドラムの音場を揺らす低域の空気感はKZ3000よりも少し控えめと感じる。しかし例えばその底の帯域だけとか音の太さを出す帯域だけとかが抜けているとかそういった癖はなく、低域全体のバランスはやはり良好。
だが強いて言えばベースの音像はこちらの方が少し大柄。こういった部分が前述の「少しの遊び」を感じさせるところだ。といってもあくまでも「少しの」であり、音がぼわんと緩むわけではない。こちらくらいの大きさ太さの方が好みという方もいそうだ。
音色や空間のすっきり感はやはりKZ3000が上ではあるが、こちらもそこが弱いわけではない。KZ3000を「豊かな透明感」とすればこちらは「ばしっとさっぱり感」といったニュアンス。
実際にはそこまでの振り幅ではないが極端に表現すると、KZ3000には大人の落ち着きを、KZ1000には若い活発さを感じる。なので喜多村英梨さん「掌 -show-」のようなメタリックなサウンドだとこちらKZ1000の方がしっくりきたりもするのだ。ギターのエッジの荒さなどはこちらの方がよい具合に派手にしてくれる。
結果的にはKZ3000と同系統でありつつも異なるニュアンスも備えており、シリーズの幅を広げてくれているモデルだ。