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【レビュー】ボーズの新しいWi-Fi/Bluetoothスピーカー“次男坊”「SoundTouch 20 III」
■音質レビュー! コンポとして、デスクトップスピーカーとして
SoundTouch 20 IIIの音は、低域がはっきり強調される“最近のコンパクトスピーカーで聴くボーズの音”とは趣が異なる。低域はしっかりと出るものの、控え気味で押しつけがましさはない。一方、ボリュームを絞ってもバランスを損なわない程度に低域の存在感が残るため、夜間でも心地よく音楽を愉しめる。
だが、ボリュームを上げれば“地力”を発揮する。ベースやドラムのリズム隊が繰り出す音は、低域に漲るパワーを感じさせ、スピード感をもって突き抜けていく。ボーズスピーカーとしての真価を発揮するのはやはりボリュームを上げたときで、周囲の環境と時間帯が許せば大音量で楽しみたいところ。街乗りは快適性重視だが、高速に乗れば爽快感を味わわせてくれるクルマのような、いい意味での二面性を備えたスピーカーだ。
同じシリーズの製品だけあってSoundTouch 10と音の傾向は似ているものの、左右のスピーカーがあるぶん音像の定位と音場感、奥行き感は大きく異なる。やや指向性があることを考慮すれば、リビングのソファ前に置きコンポ代わりとして、PCと組み合わせデスクトップスピーカーとしての利用に適しているといえる。
あえてひとつ難癖をつけるとすれば、電源オン後スマートフォンと接続したときの「ピョロッ」という電子音に雰囲気がないことか。ギターのアルペジオを聴かせるなどさり気ないひと工夫があれば、このSoundTouch 20 IIIというサウンドシステムにより潤いを与えてくれるのではないか。音楽がともにある生活、その喜びを伝えることに磨きをかけてほしいと思う次第だ。
(海上 忍)