【特別企画】鴻池賢三が画質や使い勝手をチェック
「入門機と侮れない高コスパプロジェクター」 − Rec.709を正確に再現するBenQ「HT3050」の魅力に迫る
入力端子はバージョン1.4a対応のHDMIを3系統備え、うち2系統はMHLに対応し、スマホやタブレットとの相性も良い。ほか、ステレオスピーカーを搭載し、本機のみで音声も再生できる。なお、HDMI入力端子(MHL対応)は、本体左部ランプのカバー内部にも装備されているが、海外版専用のオプション用となり、外部機器との接続には使用できない。
本機の特長は何と言っても、正確な色の再現にこだわった点である。本体天面にも大々的に「Rec.709」と表示されていることからもその意気込みが感じられる。
背景を説明すると、そもそもデジタル放送やブルーレイをはじめとするHDTVは、コンテンツ制作者が意図した色調がそのまま視聴者に届けられるよう、色の表現に関わる「色域」に関してRec.709という基準を定めている。
近年は4Kの登場で、より色の再現範囲が広い規格「BT.2020」がキーワードとして浮かび上がり、「広色域」であることが良しとされる風潮があるが、Rec.709ベースで制作されたコンテンツを視聴する場合は、色を拡張することになる。鮮やかな色を楽しむという観点では否定しないが、制作者の意図した色調ではない事は理解しておきたい。
本機の場合、Rec.709を正確に再現できるよう配慮されており、出荷時に一台ずつ調整を行っている点は興味深い。この価格帯としては前代未聞で特筆に値する。
ユーザーのメリットとしては、制作者が意図した色調や、色に込めた想いが、本機を通す事によって家庭でも忠実に再現できることにある。例えば映画作品では、淡いブルーのトーンを好む監督もいる。こうした記憶色とかけ離れた色調の場合、本来の色合いかどうか判断するのが難しいが、Rec.709に高精度に準拠した本機なら、安心して任せることができる。映像マニアや映画マニアなら、きっと制作者の意図を100%表現してくれる「Rec.709準拠」を気に入ることだろう。特殊な操作は必要なく、映像モードで「シネマ」を選択するだけと簡単だ。
■使い勝手もさらに向上
映像は本体よりも高い位置に投写される打ち上げタイプ。ローテーブルの上に設置すれば、投写映像の高さがおおよそ目線の高さに来るイメージだ。映像の高さは光学式のレンズシフト機能を用い、画質を損なう事なく105%-115%の間で調整できる。なおスペックで105%と記されているのは、映像の下端がレンズの高さよりも5%高いからだ。
過去のモデルではレンズシフト調整にドライバーを必要としたが、本機ではダイヤル方式に改められた。設置場所を変更しても自在に調整でき、使い勝手が向上したと言える。