<山本敦のAV進化論 第83回>
専用の機材は不要! Xperiaでお手軽「バイノーラル録音」のススメ
バイノーラル録音をはじめる前に、モードを「ステレオ」に設定しておく。ここで特に「バイノーラル」モード等を選ぶ必要もない。録音レベルは「最高」で44.1kHz/16bitのWAV形式、それ以下はAAC形式でファイルに記録される。
あとは「REC」アイコンをタップして録音を始めるだけ。MDR-NC750との組み合わせなら、イヤホンを着けたまま現在録音中の音声をモニタリングできるので便利だ。MDR-NC750を装着しない状態では、Xperia本体のマイクによる通常のステレオ録音になり、他のイヤホンを装着してもモニタリングはできなかった。
■通常のステレオ録音との違いははっきりわかる
バイノーラル録音と通常のステレオ録音のソースを聴き比べてみるとその違いははっきりとわかる。
道行く歩行者が右から左へと移動していく足音や、後方からロータリーを旋回して左手を走り抜けていくバスのエンジン音、高い所から聞こえてくる吉祥寺駅の中央線ホームのアナウンスなど、音の定位感が非常に鮮明なので、音を録った瞬間の情景が生々しく蘇る。イヤホン搭載の小型マイクだからと侮っていたが、歩行者の声もクリアに聞こえるほど解像度も高い。通常のステレオ録音の音が明らかに平板なものに感じられてしまった。
ちなみに録音済みのファイルは「録音履歴」タブの中にどんどんストックされていく。バイノーラル録音のファイルは先頭に「(Binaural)」と名前が付くので、リスト上での識別は簡単にでき、PCに取り込んだ後も管理がしやすい。
続いて自分の耳にマイクを着けた状態で、手元でアコギを弾きながらバイノーラル録音をするとどうなるのか、興味に駆られて試してみた。
ギターを爪弾きながら通常のステレオ録音と聴き比べてみると、バイノーラル録音の方がやや立体的ではあるものの、通常の録音と比べて大きな差は感じられない。
そこで次に弾き語ってみたところ、自分の声ばかりが前面に押してくる感じで、あまりオーディオ的には気持ちの良い録音にならなかった。まあ、これはこれでプレーヤーのポジションで聴いている音場感がリアルに再現されていると言えなくもない。