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【特別企画】4Kのパイオニアがまた新技術を投入

4K新サービスで先行する「ひかりTV」。HDRやIP放送の実力を鴻池賢三がチェック!

公開日 2016/02/25 10:30 鴻池賢三
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今回は特別にVOD提供中のHDRコンテンツと、SDRグレーディングしたコンテンツの2種類を用意いただき、LG製のHDR10対応有機ELテレビEG9600を2台使って同時に比較視聴する機会を得た。その中から、HDRならではと思える見どころを紹介して行こう。

<行ってみたい!人気動物園>

ひかりTVのオリジナル作品。全国の人気動物園を収めた作品で、象、猿、トラなど普段我々が見慣れた動物が登場するので、記憶との照合もしやすい。

HDR(左)とSDR(右)を比較視聴

HDR版は一目で自然かつ立体的に感じるが、特に逆光シーンでHDRの真価を発揮する。動物の毛が背面から照らされて輝く様と陰になる表情を同一画面内で描写できるレンジの広さは、SDR版との決定的な違いだ。

動物が動き回り、逆光、順光、日陰など、照明環境が目まぐるしく変化する状況でも、終始毛並みのやわらかな風合いを維持できるのもHDRならではで、こうした画の安定感が、肉眼で風景を見ているかのような錯覚を作りだすようだ。

今までの4K-SDR版も決して画質が悪い訳ではないが、HDR版の記憶に近い自然な画を体験してしまうと、もう元には戻れないと感じた。

ほか、気が付いたのはテロップの白文字が眩しく見えないこと。HDR対応テレビではメニュー画面の文字が高輝度過ぎるケースがあり課題に感じていたが、ひかりTVではその点に配慮し、現在、テロップは50%の輝度で制作して様子を見ているという。こうした実験やノウハウの蓄積も先駆者ならではと感心した。

<自衛隊観艦式 2015>

うす曇りのグレーの空に同じくグレーの船、そして鈍色の海という、本来ならば撮り直すであろう絵面。しかしながら、船体は実際に目の当たりにしいるかのようなリアリティーがあって面白い。

HDRだと空や海、艦船の様子がより一層リアルに感じられる

日光を受けている面は明るくも諧調を維持、真逆に陰となって暗い面もグラデーション豊かに描かれ、感性レベルで“本物”と感じてしまうのだ。細かな装備も位置関係が明瞭で立体感があり、ミニチュアモデルを眺めるような楽しさも味わえた。

空のグラデーションにはバンディングやブロックノイズが目立つなど課題も残るが、今後はエンコーダーのチューニングなど工夫の余地があるという。NTTの関連企業で、エンコーダーの開発にも関わることができる「ひかりTV」なら期待できそうだ。

<鶴ヶ城プロジェクションマッピング はるか 2015 あかべこものがたり」>

NHKエンタープライズらによる作品。夜空を背景に、真っ白な城壁に投射されるプロジェクターの映像光が映える。赤べこの赤色が象徴的だが、明るく鮮やかな発色はHDRならではと思えるパワフルさ。

会津若松 鶴ヶ城にプロジェクションマッピングで様々な映像が投映される様子を収録した作品

明部の色乗りと諧調をしっかり確保しつつも、背景の夜空が黒潰れしないことで、自然な奥行き感を保てるのも、HDRが可能にした新時代の表現力だ。白飛びや黒潰れのない真のワイドレンジでダイナミックな明暗の対比は、心を揺さぶり感動の要素となる。高画質の要素として、コントラスト比がいかに大切か再認識させられた。

■IP放送には“4Kの実力を堪能できる”独自コンテンツ

現在4K-IP放送は、総合編成の「ひかりTVチャンネル 4K」と、エンタメ系情報を主に扱う「モデルプレスTV by ひかりTV 4K」の2つのチャンネルがあり、生放送も行われている。今回は、放送中のスタジオを見学する機会を得たこともあり、「モデルプレスTV by ひかりTV 4K」の詳細をレポートしよう。

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