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あの“世界初”モデルが更なる進化を遂げて登場

【速攻レビュー】オーディオテクニカ「ATH-CKR100」:イヤホン離れした広大な音場再現とリアルサウンド

公開日 2016/05/30 10:00 岩井 喬
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イヤホンらしからぬ音場の広がりと階調表現は見事
数段格上の価格帯製品に劣らぬクオリティ


肝心のサウンドについてであるが、まずATH-CKR10と比較し、大きく改善したのが中低域の制動感の高さに伴う音像の引き締め効果の向上だ。定位もより明確でフォーカスの良さも格段に上がっている。低域の量感と引き締めの高さをバランス良く両立しており、空間の見通しの深さもより良く表現できているようだ。しかしモニター系ほどタイトすぎることはなく、伸びやかですっきりとした味わいのローエンドを聴かせてくれる。対する高域はほぐれ良く爽やかな傾向で、管弦楽器の旋律もS/N良く軽やかなタッチで描き出す。


特にDUAL PHASE PUSH-PULL〈Hi-Res Audio〉DRIVERSの良さが感じられるのが、シンバルの微細な余韻を描き切る階調表現の深さだ。音場の広がりや奥行きの表現もイヤホンとは思えぬ自然な再現性を誇り、DSD音源との相性も高い。管弦楽器やアコギの弦のタッチは硬質ではあるが、アタックの切れ味鮮やかな分離良い描写性で、余韻の伸びもすっきりと展開。オーケストラのローエンドも密度良く引き締め、演奏の芯を引き出す。

ピアノの響きは涼やかで、ハーモニクスの響きも硬質だが、低域弦の響きは伸び良く適度に締まりのある描写となる。ホーンセクションの旋律は粒立ち細かく、息継ぎのキレも尾を引かずクリアに表現。ボーカルはボトムを絞ったソリッドな方向性で、ハキハキとした口元をナチュラルに浮き上がらせる。中高域の煌めき感は必要最小限に抑えられており、若干ドライな雰囲気も感じるものの、モニターライクな解像感と耳当たり良い音楽性豊かな鳴りっぷりの良さとのバランスも良好だ。

ATH-CKR100はハイレゾ音源の持つ瑞々しい表現を誇張なくリアルに引き出すモニター顔負けのトレース能力と、自然で躍動感ある高密度なハーモニーを高次元で融合させた、新時代のダイナミック型イヤホンといえるだろう。カナル型の狭い空間性を感じさせない広大な音場再現力と、音離れ良く丁寧な質感描写の生々しい表現も数段格上の価格帯製品と肩を並べることができる。エントリー機からのステップアップにも最適なハイC/Pモデルだ。



■試聴音源
【クラシック】
・イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ『ヴィヴァルディ:四季』〜春(HQM:192kHz/24bit)
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(e-onkyo:96kHz/24bit)
・レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜木星(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)

【ジャズ】
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋(OTOTOY:2.8MHz・DSD)
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)

【ロック&ポップス】
・デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜レディ・マドンナ(筆者自身による2.8MHz・DSD録音)
・Suara『DSDライブセッション』〜桜(OTOTOY:2.8MHz・DSD)

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