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ウォークマンやDP-X1、AK70、DX80とのマッチングは?

AKG「N40」との相性は?人気ハイレゾDAP 5機種と組み合わせレビュー

公開日 2016/08/15 10:16 岩井 喬
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■Astell&Kern「AK70」

最後に、リーズナブルなハイレゾ対応DAPの決定版とも目される、高性能なコンパクト機「AK70」も組み合わせてみた。

Astell&Kern「AK70」¥OPEN(直販サイト価格69,800円)

384kHz/32bit・PCM&5.6MHz・DSDファイルまで対応し、ネイティブでは192kHz/24bit・PCM(DSDは176.4kHz/24bit変換再生)が可能で、DACチップはシーラスロジック製CS4398を1基搭載。アンプ部もディスクリート構成でS/Nも高まった。バランス駆動にも対応するなど、前モデル「AK Jr」から音質を含めて大きな進化を遂げている。さらにUSB AUDIO出力が可能となった点など、AKシリーズの良さと発展性、機能性を含めた総合力の高さが凝縮されたハイC/P機といえるだろう。

N40とAK70との組み合わせは弾力良く伸びやかで、DP-X1の組み合わせとも似た自然なサウンドが持ち味だ。脚色感が少なく空間性豊かで爽快な音色で、クラシックは管弦楽器の潤い良い旋律を朗々と描き出し、低域の響きも適度に締めつつもふくよかなボディ感を素直に引き出し、リッチなホールトーンを聴かせてくれる。

ジャズピアノはクリアでハーモニクスを爽やかに表現。ウッドベースは弾力良く伸びやかで朗々とした胴鳴りを響かせる。スネアブラシも粒立ち細かくすっきりとまとめ、ヌケ良く描く。基本的に丁寧かつ滑らかなAKGらしいトーンでまとめられているが、ロックでも低域の粘り良いグルーブ感溢れる表現となっており、ボーカルの音像はシャープでスネアもスカッとヌケ良く決まる。エレキギターの刻みは太くどっしりとしており、爽やかなシンバルワークと好対照。自然で耳当たり良いサウンド傾向である。

AKシリーズのエントリー機ということもあり、やや駆動力の点では低域の制動性が甘めに感じる側面もあるのだが、メカニカル・チューニング・フィルターにおいてはHIGH BOOSTを選び、高域の鮮度感と低域のタイトなアタック感を与える方向性の方がよりバランスが整うように感じた。

ポール・スタンレー「Tonight You Belong To Me」(『KISS:Paul Stanley』192kHz/24bit)ではコシのあるギターワークとどっしりとしたリズム隊の太く安定感あるビートが心地良い。ボーカルの輪郭もクリアで、リヴァーブの伸びもナチュラル。分離良さと力強い音像の密度感を両立しており、シンバルワークの澄んだタッチや余韻の付帯感のなさが際立つ。すっきりとした音場に浮かぶ音像の質感も丁寧にまとめてくれる。

LiSA「Rising Hope」(『Launcher』96kHz/24bit)では密度感を持たせつつ、適度な締まったリズム隊がキレ良くタイトにまとまり、シャープで鮮明なボーカルの爽快なヌケ感を際立たせているようだ。音場のS/N感も高く、ギターワークもすっきりとエッジを立てる。全体的にブライトなタッチでクリアな空間性を楽しめるが、REFERENCEの時の素直で自然な厚みのある音像感もまた魅力だ。基本的にAKGならではの中高域の質感を丁寧に描く方向性はどちらのフィルターでも感じられるので、気分に応じて換えてみるのもよいだろう。

   ◇   ◇   


試聴を行い、N40は各DAPの個性をしっかりと引き出してくれるイヤホンであると感じた。そしてだからこそそれぞれにフィルター交換等で好みのサウンドを探っていくことができるのが面白みだ。今回ピックアップしたDAPを既にお持ちの方は多いことだろう。ぜひ自分でも試して、色々遊んでみてはいかがだろうか。

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