<山本敦のAV進化論 第102回>
世界初のDTS Headphone:X対応タブレット、ASUS「ZenPad 10」レビュー
国内ではLTE対応のSIMフリーモデルとWi-Fiモデルが発売される。例えばCPUはSIMフリーモデルがインテルのAtom Z3560を採用しているのに対して、Wi-Fiモデルはメディアテックの「MT8153」を載せている点など、仕様に細かな違いがある。
内蔵ストレージは共通で16GBとやや少なめだが、外付けストレージとしてmicroSDカードが利用できる。本体は薄くて軽量。フロントパネルにスピーカーユニットの開口部を配置したことで音声は聴きやすくなっている。価格はSIMフリーモデルが3万円台前半、Wi-Fiモデルが2万円台後半で買えるので、入門者向けのタブレットとしても最適だ。
では、このASUSのZenPad 10が何をもって「初のDTS Headphone:X対応タブレット」なのかという点を少し整理しておきたい。というのも、実は先行してiOS/Android向けに無料配信されているモバイルアプリ「MusicLive」を使えば、アプリ内でモバイル向けのDTS Headphone:X対応コンテンツを購入・ダウンロードし、ASUS以外のAndroidタブレットやiPad、iPhoneなどでも最大11.1chのサラウンド音声が楽しめるからだ。
ASUSのZenPad 10にはDTSデコーダーを含む、DTS Headphone:Xの7.1chコンテンツまでサポートするデコーダーを内蔵していることが、他のタブレットとの大きな違いだ。
本機には加えてさらに、自社開発のアプリ「AudioWizard」が搭載されている。これを起動して、通常の2ch音声やネット動画を再生してみると、DTS Headphone:Xの効果を活かした立体的なサラウンド音声が楽しめる。
MusicLiveは最大11.1chまで(ハイトスピーカー4chぶんが加わる)のサラウンド音場を再現できるところが強味だが、ヘッドホン・イヤホンでしか楽しめない。一方、AudioWizardを搭載するASUSのタブレットなら、内蔵スピーカーにでの5.1chサラウンド再生も可能だ。
MusicLiveで楽しめるモバイル向けのDTS Headphone:X対応コンテンツは、今のところMusic Liveアプリ内のプレーヤー機能でしか再生ができないため、アプリによる音質の違いを比較することは難しい。DTSでも、音質の差はヘッドホンやイヤホンの性能によって生まれてくると説明している。
■ZenPad 10のサラウンド再生をチェック
手始めにまず、MusicLiveによる11.1chのコンテンツを体験してみた。組み合わせたヘッドホンはオーディオテクニカの「ATH-MSR7」だ。一般的なオーディオ用の密閉型ヘッドホンである。
アプリを起動すると、最初に2種類のメニューが表示される。作品ごとに買い切り、ダウンロードして聴く「MusicLive」と、月額1,080円の定額サブスクリプション型サービス「iConcerts」への入口だ。