【特別企画】Sound Reality Sereiesの新モデルを聴く
野村ケンジが聴く「ATH-SR9」。家でも外でも高音質!使い勝手と音質を見事に両立したヘッドホン
力強さと高い解像感を両立、演奏がダイレクトに伝わってくる
まずは、鳴らしにくい高級ヘッドホンもぐいぐいとドライブする高い駆動力を持つ「QP1R」を組み合わせてみる。
音量だけでなく、駆動力としてもゲイン設定“L”で十分な印象。特に低域のフォーカス感が素晴らしく、ドラムやベースの音が鮮明に聴こえ、グルーヴ感の高い演奏が楽しめる。いっぽう中高域は「ATH-MSR7」のようなパワフルさや熱気感の高さを保ちつつも、これに高い解像感が加わることで、演奏がダイレクトに伝わってくるようになった。特にロック系の名盤とはベストマッチングで、ツェッペリンからドゥービーまで、ライブハウスの最前席に居るかのような臨場感の高さを味わうことができた。また、キレが良くトランジェントも良好であるため、アニソンなど速いテンポの楽曲も、スピード感溢れる演奏が楽しめる。
このように、どちらかというとパワー押しのサウンドであるものの、高い解像感を保ち、ピアニッシモな表現も粘りよく伝わってくるため、アコースティック楽器との相性も悪くなかった。たとえばヴァイオリンのソロを聴くと、ボウイングが力強い、感情表現豊かな演奏が楽しむことができるし、ピアノの演奏は、高域の倍音がしっかり乗った、伸びやかなサウンドを聴かせてくれた。
「QP1R」で十分なクオリティチェックができたが、「AK70」でも試聴をおこなってみた。
こちらは、音量に関して全く問題なく、クオリティに関してもそれほど遜色を感じることはなかった。低域のフォーカス感は実力も価格も勝る「QP1R」に分があるが、音質面で両プレーヤーの差はそれほど大きく感じられず、「AK70」クラスであれば充分に満足できる組み合わせとなってくれるだろう。
ちなみに、iPhone5S直でもつないでみたが、こちらもけっして悪くはないものの、さすがに歴然としたクオリティ差を感じてしまうため、その実力を充分に発揮させたい場合は「AK70」以上のハイレゾ対応DAPと組み合わせることをオススメしたい。
このように、「ATH-SR9」はポータブルヘッドホンとしての手軽さと、高品位なサウンドを巧みに両立させた製品。使い勝手の良さ、そして良質なサウンドを引き出しやすい点において、なかなかに魅力的な製品といえる。屋外でもヘッドホンでいい音を楽しみたいという人には、魅力的な選択肢のひとつとなってくれるだろう。