【特別企画】シリーズごとの最適プレーヤーを探る
オーディオテクニカ新VMカートリッジ & 人気アナログプレーヤー6機種スクランブルテスト!
VM530EN×アナログプレーヤー3機種 スクランブルテスト
■TEAC「TN-350」 ¥OPEN(予想実売価格52,000円前後)
まずは500シリーズとの組み合わせであるが、最初のプレーヤーはベルトドライブ方式のティアック「TN-350」である。
本機は高密度MDFコア材に天然木突板・光沢多層塗り仕上げを施し、入門クラス機の常識を超える美しい木目を生かした品位の高い一体型キャビネットが特長だ。S字ユニバーサルアームもしっかりとしたつくりで、オーディオテクニカ製「AT100E」相当のVMカートリッジが付属。新日本無線製の高音質オペアンプNJM8080を用いたMM型専用フォノイコライザーを内蔵し、48kHz/16bitまでの出力が可能なUSB出力を備えるA/Dコンバーター機能も設けているが、今回の試聴ではフォノイコライザーはスルーさせた。
シェル一体型「VM530EN/H」と付属シェル+カートリッジを交換して試聴を行ったが、ボーカルの明瞭な輪郭感、ストリングスの華やかな浮き立ちなど、高域にかけての倍音成分を豊かに表現。リズム隊をはじめとした中低域は密度が高く、パワフルに押し出す。質感は自然なテイストであるが、ピアノやギターなど、ブライトな輝きが強く、明瞭度は高い半面f特的にはレンジの詰まった感じもする。ウッドベースの胴鳴りの締まり具合はちょうど良く、スネアブラシのタッチも爽やかだ。
■オーディオテクニカ「AT-LP5」 ¥OPEN(予想実売価格50,000円前後)
続いてはオーディオテクニカ「AT-LP5」である。脚色を配した精悍なブラックカラーで、アルミダイキャスト製プラッターをDCモーターで直接回転させるダイレクトドライブ方式を採用。大型インシュレーターを装備し、フォノイコライザー+USB出力つきA/Dコンバーターも搭載。アームはシェル交換が可能なユニバーサル式のJ字型で、カートリッジは専用設計の同社製VM型「AT95EX」が付属する。
こちらもシェルごとVM530EN/Hへ交換して試聴を実施。比較的ドライなサウンド傾向で、リズム隊の低域は押し出し良くタイトな方向性。女性ボーカルや弦楽器の質感は艶良くクールに描き、エレキギターのジャキジャキとしたエッジの荒々しさもダイレクトに表現してくれる。
音像は肉付き感があり、中低域に至る帯域はどっしりと腰を据えた安定感を持つ。ストリングスも力強い旋律で、切れ味よい高域の鮮やかさはピアノの輪郭もヌケ良く描き切る。S/Nは中庸であるが、ロックのシャープな音像描写によってフォーカスの良い定位感と、グリップ力のあるリズムのパワフルなサウンドを堪能できた。アナログシンセの厚みやエッジの表現も魅力的だ。
■デノン「DP-500M」 ¥85,000(税抜)
次はVM530EN/Hを用いた試聴では最後となる、デノンのロングセラーモデル「DP-500M」である。木目調のどっしりとしたキャビネットに裏面を振動吸収ラバーでデッドニングした直径331mmの大型アルミダイキャスト製プラッターを装備するダイレクトドライブ機だ。モーターはハイトルク対応を用い、エンコーダー方式のスピード検出を取り入れた。上級機譲りの高剛性・高感度S字アームはシェル交換に対応したユニバーサル方式。MM型カートリッジも付属する、シンプルで基本に忠実な本格派プレーヤーといえるだろう。
こちらもシェルごと交換し試聴を行ったが、バランス良く伸びやかで、密度良く落ち着きあるサウンドだ。シンセサイザーやボーカルは軽やかにすっきり浮かび上がり、エレキギターはブライトな倍音を豪快に響かせる。高域成分の輝き感が強めで全体的にゴージャスな音色を持つ。質感そのものはアナログらしい自然かつ滑らかなもので、重心の低いどっしりとした音像の安定的な存在感が心強い。低域は力強く腰があり、ウッドベースはむっちりとした艶のある胴鳴りを響かせる。ストリングスも軽快で爽やかなハーモニーを聴かせ、華やかに拡散。女性ボーカルは肉付きをほんのり持たせた艶良く滑らかな傾向で、潤いに満ちた描写となる。