注目ブランドが日本上陸!
アクティブに0Vを作るオーディオ・アース「GROUDING NOISE REDUCER」の効果とは? 福田雅光がレポート
■アクティブに「0V」を生み出すバーチャルアース「GNR」
『オーディオアクセサリー』164号の『福田屋』では、バーチャルアース(仮想アース)についてそのメリットに触れた上でその製品群をテストしたが、またひとつ、このジャンルに新しい製品が上陸した。「Telos Audio Design」(以下、テロス)という台湾のブランドの「Ground Noise Reducer(GNR)」という機器である。まだまだ日本に上陸したばかりということもあって、仕組みそのものは公開されていない部分もあるが、今回、初めてそのテストを行うことになった。
バーチャルアースといっても、一般的なそれとGNRは根本が大きく異なる。一番の特徴は電源を必要とするアクティブ・タイプであり、内蔵するDSPから基準電圧を生成するということだ。そんなことが本当にできるのかとテスト前は思いもしたが、その効果は極めて大きなものである。
バーチャルアースを使用することによる効果は、主にS/Nの向上がある。ノイズ成分がアースへと流れ、まるで消滅されるような印象だ。これは結果的にそういう動作をしているということだが、そのメカニズムはまだまだ謎の部分が多い。オーディオシステムをインターコネクトケーブルで接続しない状態でCDプレーヤー、プリアンプ、パワーアンプのアース電位(E電圧)を計測すると、例えば5Vや3Vといったようにそれぞれに違いがでる。これらはインターコネクトケーブルで接続することで、アース側の線で結ばれ、例えば2V程度となる。E電圧は高い方から低い方へと流れ平均化されるので、ここにバーチャルアースを接続してもE電圧は変化しない。
しかし、GNRをプリアンプに接続してE電圧を計測すると、なんと0・9Vという値までガクンと下がることが確認できた。これはとても不思議なことで、どういうメカニズムで起きているのかは分からない。ただし、このことによるメリットは明らかに音となって表れてくる。これは昔から言われることだが、グラウンドと音の信号との差がそのままでてくるため、シャーシ電位は低い方が有利だということだ。電子回路の教科書どおりである。
こういうことが起きる機器というのは、とても珍しい。しかし、これをオーディオシステムに活用することは、非常に有効であることは間違いない。
■積極的に共通シャーシ電位を下げることで、音質が大幅に向上
その効果も、普通のバーチャルアースとは異なるものだ。S/Nを高めてノイズ感を少なくすることや、歪感を少なくするとか、そういう質的な問題を改善する点は共通だが、テロスのGNRの場合はもっと明確に音を構成する。音の輪郭がはっきりして、高音も繊細な響きをすっきりと表出し、ヴォーカルの音像もしっかりと出す。
接続ケーブルはYラグのものと、アース端子を持たない機器のためにYラグ‐RCAが用意されているが、このケーブルの変化も敏感に音に出してくる。Yラグのケーブルは非常に硬く引き締まった印象で、コントラストの表現やダイナミックレンジの表現をより高める。全体としてタイトになり、音の出かたが明快な方向となるようだ。このサウンドは、筆者が普段からレファレンスで使用しているアース線とほとんど遜色がない。その一方でYラグ‐RCAのケーブルは、RCA端子側に金メッキを施しているためかダイナミック感というよりは滑らかにS/Nを高める印象だ。リアリティの高さ等は多少弱まる傾向にあるので、筆者としてはアース端子がある場合はそちらに接続するのが好ましかった。
GNRはバーチャルアースと同じような使い方をするものだが、これはバーチャルアースというより積極的に共通シャーシ電位を下げてくるというところに特徴があるもので、もはや全くの別物と考えるべきだ。グラウンド・ジェネレーターとうたっていることには、そうした理由もあるのだろう。
GNRのような効果を発揮する製品は、少なくとも筆者の経験のなかではこれまでまったくなかったことだった。今回は愛用するラックスマンのプリアンプC‐700uのアース端子に接続して聴いている。普通、アースループの問題から、あれもこれも複数の機器に使用するよりも、ひとつの機器で使用した方が良い結果となる。しかし、テロスは一般的なバーチャルアースとは違うため、このことが当てはまるかは分からない。この点はまたいずれ実験したいところだ。
『オーディオアクセサリー』164号の『福田屋』では、バーチャルアース(仮想アース)についてそのメリットに触れた上でその製品群をテストしたが、またひとつ、このジャンルに新しい製品が上陸した。「Telos Audio Design」(以下、テロス)という台湾のブランドの「Ground Noise Reducer(GNR)」という機器である。まだまだ日本に上陸したばかりということもあって、仕組みそのものは公開されていない部分もあるが、今回、初めてそのテストを行うことになった。
バーチャルアースといっても、一般的なそれとGNRは根本が大きく異なる。一番の特徴は電源を必要とするアクティブ・タイプであり、内蔵するDSPから基準電圧を生成するということだ。そんなことが本当にできるのかとテスト前は思いもしたが、その効果は極めて大きなものである。
バーチャルアースを使用することによる効果は、主にS/Nの向上がある。ノイズ成分がアースへと流れ、まるで消滅されるような印象だ。これは結果的にそういう動作をしているということだが、そのメカニズムはまだまだ謎の部分が多い。オーディオシステムをインターコネクトケーブルで接続しない状態でCDプレーヤー、プリアンプ、パワーアンプのアース電位(E電圧)を計測すると、例えば5Vや3Vといったようにそれぞれに違いがでる。これらはインターコネクトケーブルで接続することで、アース側の線で結ばれ、例えば2V程度となる。E電圧は高い方から低い方へと流れ平均化されるので、ここにバーチャルアースを接続してもE電圧は変化しない。
しかし、GNRをプリアンプに接続してE電圧を計測すると、なんと0・9Vという値までガクンと下がることが確認できた。これはとても不思議なことで、どういうメカニズムで起きているのかは分からない。ただし、このことによるメリットは明らかに音となって表れてくる。これは昔から言われることだが、グラウンドと音の信号との差がそのままでてくるため、シャーシ電位は低い方が有利だということだ。電子回路の教科書どおりである。
こういうことが起きる機器というのは、とても珍しい。しかし、これをオーディオシステムに活用することは、非常に有効であることは間違いない。
■積極的に共通シャーシ電位を下げることで、音質が大幅に向上
その効果も、普通のバーチャルアースとは異なるものだ。S/Nを高めてノイズ感を少なくすることや、歪感を少なくするとか、そういう質的な問題を改善する点は共通だが、テロスのGNRの場合はもっと明確に音を構成する。音の輪郭がはっきりして、高音も繊細な響きをすっきりと表出し、ヴォーカルの音像もしっかりと出す。
接続ケーブルはYラグのものと、アース端子を持たない機器のためにYラグ‐RCAが用意されているが、このケーブルの変化も敏感に音に出してくる。Yラグのケーブルは非常に硬く引き締まった印象で、コントラストの表現やダイナミックレンジの表現をより高める。全体としてタイトになり、音の出かたが明快な方向となるようだ。このサウンドは、筆者が普段からレファレンスで使用しているアース線とほとんど遜色がない。その一方でYラグ‐RCAのケーブルは、RCA端子側に金メッキを施しているためかダイナミック感というよりは滑らかにS/Nを高める印象だ。リアリティの高さ等は多少弱まる傾向にあるので、筆者としてはアース端子がある場合はそちらに接続するのが好ましかった。
GNRはバーチャルアースと同じような使い方をするものだが、これはバーチャルアースというより積極的に共通シャーシ電位を下げてくるというところに特徴があるもので、もはや全くの別物と考えるべきだ。グラウンド・ジェネレーターとうたっていることには、そうした理由もあるのだろう。
GNRのような効果を発揮する製品は、少なくとも筆者の経験のなかではこれまでまったくなかったことだった。今回は愛用するラックスマンのプリアンプC‐700uのアース端子に接続して聴いている。普通、アースループの問題から、あれもこれも複数の機器に使用するよりも、ひとつの機器で使用した方が良い結果となる。しかし、テロスは一般的なバーチャルアースとは違うため、このことが当てはまるかは分からない。この点はまたいずれ実験したいところだ。
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