独自の騒音キャンセリング回路搭載
装着感◎の小型イヤホン+定評のNC機能が一つに! AKG「N20NC」レビュー
■落ち着いた高域と存在感ある低域で、AKGらしい“屋外向け”サウンド
音質チェックは室内にて行った。やはりベースやドラムスなど低音楽器のボリューム感は少しプッシュされているが、過剰ではなく、落ち着いた高域と合わせてAKGらしいサウンドを維持した上での“屋外向けチューニング”といった印象だ。
豊崎愛生「ハニーアンドループス」は、ディスコサウンドを現代的に洗練したポップス。重心の低いベースがグルーヴのポイントだが、ボーカルに対して目立ちすぎないようにしているのかミックスは控えめ。このイヤホンはそのベースをしっかり拾い上げてどっしりとした存在感で届けてくれる。それでいて低重心は維持して沈み込んでいるのでボーカルの邪魔にはならない。このあたりの巧みさはさすがAKGで、単なる重低音強調になっていないことは特筆したい。
主役である歌声の感触も期待に応えてくれるものだ。他のシンガーでも確認したが、嫌な刺さり方をするシャープさではなく、しかしぼんやりとしたソフトさでもなく、自然にほぐれた心地良い声を聴かせてくれる。そういった雰囲気を求める方には特にオススメしたい。
Robert Glasper Experiment「Human」はジャズにヒップホップ、ソウルなどのハイブリッドミュージック。バスドラムとベースのズシンという重みはこちらでもやはり光る。また、エレクトロニックな音色や処理による豊かな空間性もこの曲の特徴。ここは屋外試聴時の印象になるが、ノイズキャンセリングによって音の余白がより余白として聴こえやすくなることで、その空間性を屋外でも感じやすくなることもポイントだ。
ノイズキャンセリングで騒音を低減したからこそ、穏やかで聴き疲れないサウンドが屋外でも綺麗に届いてくる。このコンビネーションもおそらくは計算されたものだろう。実売2万2000円ほどの製品だが、価格に見合う性能を備えている。
ただでさえ疲れる通勤通学、せめて騒音からは逃れて音楽で癒されたい。再三触れている装着性の良さも含め、そんな気持ちに寄り添ってくれるイヤホンだ。