「ODNF」は最新Ver4.0へアップデート
【レビュー】ラックスマンの新・最上位ヘッドホンアンプ「P-750u」。さらに進化した“王道サウンド”
■最新技術で更に進化した新フラッグシップ「P-750u」
そしてP-700u発売から約5年。バランス駆動対応の点で大きな課題となっているジャック(端子)形状をどの規格とするか、その回答を含め、時代のニーズを取り入れつつ進化を遂げた「P-750u」が登場することとなった。歪成分のみをフィードバックし初期スルーレートの速さと超広帯域、低歪率を実現する独自の高音質増幅帰還回路「ODNF」も、3.0Aから最新のバージョンとなるODNF 4.0へとアップデートしている。
初段はパラレル構成、2段目アンプが2パラレル構成からダーリントン接続に進化。また、歪み検出アンプの入力についても2パラレル構成から3パラレル構成に強化され、高インピーダンスなヘッドホン駆動でもより安定度が増すとともに、広帯域に渡って伸びやかでS/Nの良いサウンドを獲得している。
P-700u同様、セパレーションやスルーレート、S/Nの点で有意なBTL構成となるバランス駆動を実現するために合計4台のODNF4.0アンプを装備。アンバランス駆動時は2台のODNF4.0アンプをパラレル駆動させ、出力電流の供給力を倍増させる従来からの手法を踏襲しているが、アンバランス出力端子は1系統減らされている。
一方、バランス駆動用は従来通り3ピンXLR×2個口に加え、ゼンハイザーやベイヤーダイナミックが採用する4ピンXLRが新たに採用された。この4ピンXLR端子の追加こそ時代の流れを象徴するものといえるが、3ピンタイプを廃止にせず、過去の資産も有効に活用できることが何よりありがたい。
この他、ハイイナーシャ(高慣性)電源の強化として、ドライバー段用の3300μFカスタム仕様のブロックコンデンサーを2基追加。高レギュレーションなOI型大型電源トランスや、パワー段用に設けられた2基の10000μFブロックコンデンサーは引き続き取り入れられている。高剛性なシャーシは3mm厚の鋼板を用いたベースシャーシと鋼板プレートによる二重構造としており、アルミ無垢材を用いていたインシュレーター脚部についてはグラデーション鋳鉄製へと変更し、不要な外部振動を徹底的に遮断。総重量も600g増え、重心もさらに低くまとめられている。
なお、音量調整機構は従来通り電子制御アッテネーター「LECUA」を採用し、音質劣化を抑えるとともに左右レベル偏差を極小化。3段階の感度切り替えや左右バランス調整、スルー出力の入/切も引き続き備えている。そしてP-1以来のアイコンともなっていたゴールドのオーナメントも本体色と揃えたロジウムメッキシルバーへと変更され、より精悍な顔立ちとなった。
■P-750uのサウンドを、従来モデルP-700uと比較しながらチェック
試聴には同社のUSB-DAC「DA-06」を用い、本機とはバランスXLRで接続。ヘッドホンにはゼンハイザー「HD800」を用い、P-700uと比較しながら確認を行った(バランス駆動時のチェックは3ピンXLR接続)。まずアンバランス接続から試聴してみたが、分離良く落ち着きの良いナチュラルなサウンドで、奥行きの深く澄んだ空間性が特長だ。そして、P-700uと比較しながら試聴を進めていくと、その進化の大きさを改めて実感させられることになった