新開発30cmウーファーを搭載
【製品批評】伝統と先進の響きが朗々と轟く、スペンドールのフラッグシップ「SP200」
スピーカーシステム
SPENDOR
SP200
¥2,400,000(ペア・税抜)
■「LS3/5a」を起点に歴史と伝統を持つブランド
イギリスのスピーカーシステム専門メーカー「スペンドール」が、これほど大きなシステムを発売するとは想像もしなかった。まったく驚いた。スペンドールはかつて、「LS3/5a」というBBC(イギリス公共放送)の規格に準拠した2ウェイ・ブックシェルフ型モニタースピーカーを、ロジャースやKEFなどBBC関連の多くのメーカーと競合して生産。1976年以降ではスペンドールを知らないオーディオファイルはいなかった。
スペンドールは、BBCの音響研究開発部門に所属していた創立者のスペンサーとその妻、ドロシーの名を合成した社名である。英和辞典で調べても一切意味不明なのはこのためだ。創立は1960年(昭和35年)。今年で56年が経過している。それでは以下、スペンドール初の大型システムの概要である。
この大型システムの型番は「SP200」である。本機は高級クラスの「クラシック・シリーズ」に属し、これまでトップモデルだった「SP100R2(120万円/ペア・税抜)」の上位モデル、つまり、シリーズの最高峰という位置づけである。
ユニット構成は、スペンドール伝統のベクストレン振動板で30cm口径の新開発ウーファー×2(並列駆動)と、18cm口径ポリマー(ep77)コーン振動板で、中央に独立したフェーズプラグを持つミッドレンジ、そしてφ22mmのポリアミド・ドーム型トゥイーターによる3ウェイ構成。クロスオーバー周波数は550Hz、3.8kHz。出力音圧レベルは89dB。ネットワークは高品位部品が採用されている。
キャビネットはフロア型で、大型スピーカーとしてはとても珍しい密閉型である。本体は、高さ調整可能な4点スパイクを装備した30mm厚の鋳鉄製ベースで支えられている。これまでトップモデルだったブックシェルフ型のSP100R2とは横幅が同じ。しかしながら見掛けはかなり異なり、スペンドールのシステムを昔から知っている方々には信じ難いほど大きく思えるのだ。入力は6端子でトライワイヤリングに対応している。
本機の音質を一口で言えば「大人向きの音質・音調」だ。様々な楽器の直接音をストレートに聴かせる方向ではなく、スペンドールの歴史と伝統を絡ませて響かせている印象。このため、昨今の内外の高級システムとはかなり異なる。高域方向は繊細感よりも大らかさ、ふくよかさがポイント。フォルテピアノや現代ピアノ、声楽はなかなか自然な響きを聴かせ、低域方向はキャビネットが密閉型のため、伸張はないが、妙なブースト感がなくスムーズだ。
(藤岡 誠)
Specifications
●形式:3ウェイ4スピーカー、密閉型フロアスタンディング ●ユニット:22mm広帯域ソフトドームトゥイーター×1、18cmEP77ポリマーコーン・ミッドレンジ×1、30cmベクストレンコーン・ウーファー×2 ●出力音圧レベル:89dB ●インピーダンス:8Ω ●クロスオーバー:550Hz、3.8kHz ●周波数特性:20Hz〜25kHz ●最大入力:300W ●入力端子:金メッキバナナプラグ対応、低域/中域/高域独立(4mm穴)●サイズ:370W×515D×1,085Hmm(スパイク、端子除く)●質量:55s ●取り扱い:(株)トライオード
※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」162号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから