上位機の技術も投入
【製品批評】OCTAVE「RE320」− “現代の玉の音” が聴ける最新鋭真空管アンプ
ステレオパワーアンプ
OCTAVE
RE320
¥1,450,000(税抜)
別売強化電源BLACK BOX ¥163,000(税抜)
SUPER BLACK BOX ¥430,000(税抜)
新しい真空管も積極的に取り入れる野心あふれるブランド・OCTAVEは、1968年設立のHofmann Transformers(ホフマン・トランスフォーマーズ)という各種トランスやコイルのメーカーが源流だ。同社アンプの技術的特徴は、出力トランスの2次側がひとつの出力タップで2〜8Ωという幅広いインピーダンスのスピーカーシステムに対応することと、そのトランスのコアのギャップ部が変換効率の高い“PMZ”と呼ばれる独自形状になっていることだ。
これら以外で注目すべきは、オクターブならではのインテグレーテッドアンプとパワーアンプのための電源部強化ユニットBLACKBOXとSUPERBLACKBOXの存在である。BLACKBOXは、400V/470μF(YAGEO製)のブロックコンデンサーを12個収容し、直列/並列接続で耐圧と容量を確保。SUPERBLACKBOXはハイエンドユーザー対象で大規模化。350V/1500μF(EPCOS製)を12個搭載。やはり直列/並列接続で耐圧と容量を確保している。通常、アンプ類は購入後に直接的グレードアップはできないが、オクターブの場合は、これらの電源部強化ユニットを付加することで驚くほどの音質の向上を図ることが可能である。
最新ステレオパワーアンプ「RE320」は、1990年に誕生した同社初のステレオパワーアンプRE280を源流に持つ第四世代モデル。出力段はKT150プッシュプルで五極管接続。出力は4Ω負荷で130W/chに増力。電源トランスはパワーアンプ「MRE220」のそれをそのまま採用。さらに出力トランスは新設計している。
なお、KT150の採用はオクターブにとってはインテグレーテッド型のV80SEに次ぐ2機種目である。初段、位相反転段、ドライブ段は全てECC82(12AU7)を使用。回路構成は、電源回路を含めてRE290と同一。入力はRCAとXLR(2番HOT)。XLR入力回路にはOPアンプが介在する。
試聴はOPアンプが介入せず、信号経路が全て真空管のRCA入力で行った。
聴けば、相変わらず音質・音調は、“昔の球の音”では決してない。いわば、“現代の球の音”で、特に本機はKT150という歴代五極出力管で最高の能力を保有することもあって、聴こえに余裕度がある。帯域内に固有の癖がなくリアル&ストレートだ。
もしも購入後に何らかの不満が出た場合、例えばスピーカーシステムを高級化したといった状況では、上級アンプの購入は考えず、前述した電源部強化ユニットBLACKBOXあるいはSUPERBLACKBOXを付加することを絶対にお薦めする。特にSUPERBLACKBOXはちょっとばかり高価だが、誰もが驚愕する信じ難いほどの能力を発揮する。低域の伸張と音圧が豊かになり、分解能、解像度も高まって音像もシャープになる。トータルで言えば、ダイナミックレンジが一気に拡大するのだ。
Specifications
●出力(4Ω):High→130W×2(連続)、200W×2(ピーク) Low→75W×2(連続)、140W×2(ピーク)(※8Ω時の出力はそれぞれ20%減)●出力段構成:5極管接続プッシュプル●周波数特性:25Hz〜85kHz/-3dB(フル出力時)、5Hz〜85kHz/-3dB(5W出力時)●ノイズ:100μV以下、150Hz〜15kHz>-110dB●ハムノイズ:250μV以下(出力管による)●増幅度:28dB(RCA)●NFB値:9dB●入力感度:RCA→0.8V(220kΩ入力負荷)、XLR→1.6V(20kΩ入力負荷)●全高調波歪率:0.1%以下(10W/4Ω)●SN:100dB以上●最少負荷インピーダンス:2Ω●バイアス:Low→35mA、High→40mA●出力管:KT150×4(出力管はOCTAVEオリジナルのバイアス調整機能により、KT120等の同等管と差し替え可能)●ドライバー管:ECC82×3●エコモードのトリガーレベル:0.5mV●消費電力:180W最小(無信号時)、550W最大、20Wエコモード時●入力:RCA×1、XLR×1●スピーカー出力:バインディングポスト×2(4mmバナナプラグ、Yラグ6mm以上対応)●BLACK BOX/SUPER BLACK BOX接続端子搭載●ヒューズ:6.3A(スローブロータイプ)●サイズ:488W×210H×410Dmm(ノブ・端子・グリル含む)●質量:27.6kg(グリルカバー含む)●仕上げ:シルバー/ブラック●取り扱い:(有)フューレンコーディネート
※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」162号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから