音にもこだわったBluetooth対応ヘッドホンアンプ
お気に入りのイヤホンを手軽にBluetooth化! ー オーディオテクニカ「AT-PHA55BT」をチェック
はじめに抵抗値スイッチを「A」にセットしてATH-CKR100を試した。大貫妙子のボーカルは明るく伸びやかで、若々しい張りを感じる。ピアノのメロディは煌びやかで、濃厚な余韻が残る。弦楽器の倍音もリッチだ。イヤホンが持つ個性がよく引き立っている。プレーヤーにイヤホンを直につないで聴くよりも低音がタイトに引き締まる印象がある。リズムの安定感も高い。
オーケストラを聴くと金管、弦楽器の輪郭がとてもシャープでキレ味に富んでいる。空気感の見晴らしがクリアだ。微小音の一粒ずつにピタリとフォーカスが合っている。50mW×2のパワフルなアンプを搭載しているので、イヤホンの実力が余すところなく引き出される。さらに32ステップのデジタルボリュームにより音量設定が細かくアレンジできる使い勝手も良い。なおイヤホンを変えずに抵抗スイッチをBの位置に持っていくと、音が暴れてちぐはぐな演奏になってしまった。
続いて「高域×1・中域×1・低域×2」というクアッドBAドライバー構成のイヤホン、ATH-LS400を試そう。抵抗値のスイッチを「B」にセットすると、GRANBEATに直接つないで聴くよりも空間スケールが一段と豊かになった。大貫妙子のボーカルはわずかな粗っぽさが消えてしっとりと潤ってきた。輪郭の表情がきめ細かくなってきて、抑揚の移り変わりが鮮明になる。ウッドベースの低音もクリーンで雑味がなく、鋭く深く沈み込む。オーケストラはトランペットの高音が晴れやかに抜けてきた。ストリングスのハーモニーも艶やかになる。
本機を通すことで、高域の情報量はいっそう豊かになったという手応えを感じられた。確認のためスイッチをAの位置に切り替えてみると、高域がつぶれて全体にこもった音になってしまった。マルチBAドライバーに組まれているネットワーク回路のインピーダンスに干渉しないように、アンプ側の抵抗値を最適化した成果が現れているようだ。
BAとダイナミックのハイブリッド方式のドライバーを搭載するイヤホンでは出力抵抗値切替の効果がどう出るのか。9mm口径のダイナミックドライバーを基本にBAドライバーで不足している音のエッセンスを補うよう、内部でネットワークを組んで一体感のあるサウンドに仕上げたカスタムIEM「FitEar Air」で試聴してみた。その結果、Aの位置ではダイナミックドライバーのパフォーマンスに良い効果が表れて、全体に音像の骨格が明快になった。高域の広がりはやや抑えられるようにも感じるが、中低域がタイトに引き締まってスピード感が生まれてくる。
「B」の位置にセットすると、今後はBAドライバーの方にプラスの影響が表れてくる。高域に艶っぽさが増して、比べるとどこか窮屈そうに聴こえていたボーカルや弦楽器のメロディが限界を超えて押し出してくる。奥行きの距離感をますますリアルに感じられるようになった。
■ウォークマンと組み合わせてLDAC/aptXを比較視聴
さらに今回は最新ウォークマン「NW-ZX300」を借りて、Bluetoothの送り出しをLDACとaptXでスイッチしながら音を聴き比べてみた。