iOS 11.4で追加された新機能
アップル「AirPlay 2」を試す。マルチルームだけじゃない “本当に便利” なポイントとは
■AirPlay 2の「本当に便利」なポイント
とはいえ、特に日本では「複数の部屋で同時再生なんて要らないよ」という方も多いだろう。そもそもワンルームや1LDKなどの家にお住まいなら、複数台で同時再生する意味はほとんどない。
また音質も、これまでと同様の44.1kHzもしくは48kHz/16bitであり、従来のAirPlayに比べて音質向上が実現しているわけでもない。
では、マルチルーム/マルチゾーンを使わなければAirPlay 2は不要かというと、そんなことはない。こちらの海上忍氏の解説記事にあるとおり、AirPlay 2ではストリーミング再生が開始されるまでのスピードが速くなる。さらに、バッファーする時間が分単位になるため、音切れも減少。また、音声と映像との同期精度も向上するという。
実際に試してみた。まず通常のAirPlayに対応している自宅のAVアンプに、Apple Musicの音楽をストリーミング再生してみた。バラつきを抑えるため何回かテストしたが、再生ボタンをタップしてから音楽が流れはじめるまでの時間は、おおむね3 - 4秒程度だった。
次に出力先を、AirPlay 2に対応したApple TV 4Kに変更。先ほどのAVアンプで再生した曲とは全く違う曲を選び、再生ボタンをタップ。すると、わずか1秒弱で音が出た。その後、曲を変えて何度も試したが、いずれも1秒程度で再生が開始された。
これまで、AirPlayで音が出るまでの時間を遅いと思ったことはなかったが、AirPlay 2のスピードに慣れてしまうと、モタついて感じられるようになってしまった。地味ながら、AirPlay 2によって使い勝手が大きく向上したことを実感した。
一方、音切れについては、もともとこれまでのAirPlayでもほとんど音切れを体験したことがなく、そのため今回も実感できなかった。ただ、Wi-Fi環境によっては、現在音切れに悩まされている方もいるはず。そういう方にとってはありがたいアップデートと言えるだろう。
映像と音声の同期精度が向上するというアップデートも、動画を見る際のリップシンクが向上するので、嬉しい機能増強だ。試してみたかったのだが、今回検証した機器はどちらもApple TVのため、映像と音声が同時にAirPlayでストリーミングされてしまう。このため当然ながら、映像と音声はきちんと同期されている。
今回のAirPlay 2では、たとえばiPhoneで映像を見ながら、音だけをAirPlay 2対応機器でストリーミングするといった、映像と音声が異なるデバイスで再生されるときにも、音と画がきちんと同期されるのがポイントだ。
この映像と音声のデバイスが異なる場合の挙動については、AirPlay 2対応スピーカーが手元にないため実証できなかったが、これがアップルの言葉どおりに実現すると、たとえばYouTubeで音楽ビデオを見る際にも口の動きと声がピッタリ揃うし、映画を見る際にもセリフと映像のズレが無くなる。またゲームをする際にも有用だろう。今後、アンプのアップデートなどで準備が整ったら検証してみたい。