映像鑑賞のためのスペックを搭載
“家で観る”ならやっぱりホームプロジェクター! エプソン「EB-W05」を手乗りサイズ小型PJと比較した
部屋の明るさをある程度残した状態まで落とし、2台のプロジェクターから映像を投写してみた。炎の赤色がくすまず、正確に再現できているのはEB-W05の方であることがわかるだろう。きらめく炎の明部と暖炉の薄暗い影に潜んでいるディテール、繊細な階調感もしっかり残してリアリティを伝えてくる。映像から得られる没入感はケタ違いだ。
エプソンのEB-W05が採用する3LCD方式は色彩の再現力が非常に高い投写方式だ。炎は紅から黄色、そして明るさのピークに向かう白色へのグラデーションがきめ細かく、映像が色彩にあふれている。カラーブレーキングがなく鑑賞時に気が散らないのも本機の利点だ。
ドラマ系の作品は人の肌色の透明感に差が現れてくる。暗部に潜む情報の再現力が高いので、例えば海外ドラマ「デアデビル」のように暗いシーンが多用される作品では、役者のわずかな表情の変化が語りかけてくるストーリー展開も見逃さないし、暗部に含まれている色彩やテクスチャーも引き立ってくるので、ひと味違う没入感を楽しむことができた。
本機で投写した静止画も色彩の鮮やかさが段違いなので、ビジネスシーンでプレゼンテーションなどの場面に使ってみると違いが実感できるはずだ。
映像モードは明るい室内での投写にも最適な「ダイナミック」や、部屋を暗くしてより引き締まった映像が楽しめる「シネマ」など5種類が選べる。小型プロジェクターには複数の映像モードを搭載するモデルが少ないので、場面に合わせて映像の明るさを調整できるEB-W05は頼りがいがある。
輝度やコントラストの面で高い表現力を備えていることは、すなわちホームシアター向けの専用スクリーンを導入しなくても、少し凹凸がある家庭の壁面の空きスペースへダイレクトに映像を投写しても、十分に視認性の高い映像が見られるメリットにつながっている。
そしてWXGA解像度のパネルを搭載していることも、ここで活きてくる。壁に映像を投写した場合でも、被写体のシャープな輪郭やきめ細かな質感を蘇らせてくれるのだ。解像度や輝度性能の低いプロジェクターで長時間映画やドラマを見るとストーリーが頭に入ってこず、次第にストレスに感じられるのは、このあたりの底力の差から生まれている。
EB-W05は本体に2Wのスピーカーを内蔵するオールインワンモデルだ。筐体のサイズも十分に確保しているだけのことはあって、本体だけで十分にパワフルなサウンドを鳴らせる。ここも小型プロジェクターと比べて大きなアドバンテージとして感じられた部分だ。
小型プロジェクターの多くはコンパクトでスリムなサイズ感を重視するあまり、本体には映像出力用のHDMIと充電用のUSBぐらいまでしか端子を積んでいない場合が多い。エプソンのEB-W05は本体背面にはミニD-Sub15pinやアナログRGB端子も充実している。様々な種類のビデオプレーヤー機器や、少し旧式のPCとの接続性も確保でき、使用範囲がとても広いのが特長だ。
重さは約2.5kgと軽く、専用のキャリングケース「ELPKS69」も用意されているので、実際にはビジネスシーンでも大活躍できるプロジェクターとして太鼓判を押したい。
価格は実販価格約5万〜7万(税込)。画質・機能性の充実ぶりを考えれば、一般的な小型プロジェクターと比べてどちらが家庭での使用に適しており、結果的にお得な買い物になるのか。答えは明白だ。
(山本 敦)